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再会 28 〜シュレイノリアのコンプレックス〜


 メイリルダに言われてシュレイノリアは、自身の魔法に関する考え方がウィルザイア達とは異なると言われ納得するとウィルザイアを見た。


「すまなかった」


 一言謝ると軽く頭を下げた。


「魔法紋の変更を行なった。振動した時の音は聞こえなかった。これで問題無く使える」


 シュレイノリアは、事実だけを伝えただけだったので、ウィルザイアは困った表情は変わらなかった。


 その様子をシュレイノリアは不思議そうに覗き込んだ。


「あのね、ウィルザイアさんは、どうやって変更したのかが知りたいのよ」


 2人の様子を見てメイリルダはウィルザイアの気持ちを代弁するように伝えた。


「ああ、最初の魔法紋を消して、新たな魔法紋を描いたら、この人には聞こえなくなった」


 そう言ってメイノーマを見た。


「あのね。さっきも言ったように、変更した事が分からなかったのよ」


「魔法紋は剣のハバキの下に有る。だから今は見る事ができない。剣を分解したら見れるはずだ」


 メイリルダは、シュレイノリアを困ったように見た。


(あー、ダメだわ。私じゃ、上手く伝えられないみたい)


 そして、ジューネスティーンを見ると、さっきの場所で、まだ、固まっていた。


「ジュネス」


 ジューネスティーンに助けを求めたのだが、メイリルダの言葉は伝わらなかった。


(何よ、ジュネスったら、ボーッとして!)


 メイリルダは、ジューネスティーンの態度が面白く無かった。


「ジュネス! ボーッとしてないで、こっちに来て!」


 さっきより大きな声で呼ぶが、聞こえていなかった様子で赤い顔をし固まったままだったので、メイリルダは、ムッとした表情をするとジューネスティーンの前に歩いていった。


 そして、その手を取って引っ張りシュレイノリアの方に歩き出したので、驚いた様子でメイリルダの後ろ姿を見た。


 メイリルダに引っ張られてシュレイノリアの前に出ると、シュレイノリアは面白くなさそうにジューネスティーンを見た。


「そろそろ、気持ちを落ち着かせろ!」


 ジューネスティーンはギクリとしたので、シュレイノリアは確信したようにジト目で見返した。


「ふん! やっぱり、見ていたな!」


 その言葉にジューネスティーンはギクリとした。


「メイ以外のを見るのは初めてだろうから無理もない」


 シュレイノリアは、ヤレヤレといった表情をしたが、残りの3人には、何の話なのか理解できなかったようだ。


「シュレ? 何の事」


 不思議そうにメイリルダが聞くと、シュレイノリアはムッとした。


「ふん! やっぱり、メイはメイなのだな」


 何も分かっていないメイリルダを歯痒く思ったようだ。


「まあ、その話は後だ。それよりジュネス! この2人に魔法紋の変更を説明しろ!」


「え、ん? 魔法紋?」


 言われてジューネスティーンは何の事だというように答えたので、シュレイノリアは面白く無いと睨みつけた。


「お前、言わないと、分からないのか!」


「ちょっと、シュレ? 魔法紋の説明をして欲しいのだけど」


 シュレイノリアの様子を見たメイリルダは、何か不味い事が起きるかもしれないと思った様子で声を掛けたのだが、シュレイノリアの怒りは収まらないといった表情でメイリルダを見た。


 そして、突然メイリルダの胸を鷲掴みにした。


「ヒッ!」


 メイリルダは、慌ててシュレイノリアの手を引き離して自身の胸を覆い隠した。


「な、な、何をするの、シュレ!」


 顔を赤くして抗議するが、シュレイノリアの怒りは収まらない様子で、今度は、メイノーマを見ると、飛び付いて胸を鷲掴みにした。


「へッ!」


 メイノーマは、赤い顔をして睨みつけるシュレイノリアを見たが、何で自分の胸を揉むのか不思議に思うだけで、されるがままにしていた。


 見ていたウィルザイアが、その様子を慌てて止めに入った。


「待ちなさい! そんな事をしちゃダメでしょ!」


 すると、今度はウィルザイアの胸を両手で鷲掴みにしたが、シュレイノリアの表情が変わった。


 ウィルザイアは鷲掴みにされた手を振り払わずシュレイノリアの腰に両手を回すと持ち上げた。


「もう、悪い子ね」


 ウィルザイアは、仕方なさそうな表情をしたまま自身の胸を鷲掴みにしている手を確認するとシュレイノリアを見た。


 その表情には母親のような余裕が浮かんでおり、視線を合わせたシュレイノリアは驚いたような表情をしていた。


(やっぱり、子供ね。こっちが大人の対応をしたら怯んでいるみたい)


 ウィルザイアは笑顔を向けた。


「どお? 私のが一番大きいでしょ」


 大人の余裕を見せつけられると、シュレイノリアは手を離したので、ウィルザイアは、腰に回していた右手を上に回して自身の胸に顔を埋めるように抱きしめた。


「ダメよ。若い娘達は胸を人に触らせる事に慣れてないんだから、恋しくなったら私の所にいらっしゃい」


(何だか良く分からないけど、シュレちゃんは2人の胸にコンプレックスを持ったみたいって、10歳程度の女の子なんだから無くて当たり前なのに、おませさんだこと)


 ウィルザイアは愛おしいそうにしていると、ジューネスティーンの視線に気がついた。


(そう言えば、この2人は1日違いで現れたのだから、ここで生活しているのか。まあ、兄妹みたいなものね)


 ジューネスティーンは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。


(おや、そういえば変な事を言ってたわね。見てたとか、……)


 ウィルザイアは、何かを思い出すような表情をした。


(そう言えば、さっき、メイノーマが剣を渡す時に腰を曲げていた。アッ!)


 何かを察した様子になると、納得したような表情をした。


(そうか、メイノーマの胸の谷間が見えてたのをシュレちゃんは知っていたのね)


  ウィルザイアは、全てを察した様子でニンマリすると、嬉しそうにギュッと抱きしめた。


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