再会 27 〜アイカペオラの反応〜
男同士では、女子の美味しい部分が見えている時に、無駄に声を掛けて邪魔をする事はなく、その時、見てはいけない物を覗いている男子の様子を見て楽しむ傾向にあり邪魔をするような事は少ない。
そんな男子3人の内緒話の様子をアイカペオラは少し離れた所から見ていた。
アイカペオラは、後ろからメイノーマの様子を伺っていたので、ジューネスティーンの心配というより、メイノーマの暴走の方が気になっていた事もあり、セルレイン達より2人の状況が把握できずにいた。
(何よ! 男3人でニヤニヤしながら内緒話って、……。男達があんな顔して内緒話なら、話している内容はイヤラしい話にしか思えないわね。案外、夜に3人で何処の娼館に行くかの話をしているのかしら!)
ムッとしたような表情をして3人とは反対の方に向くが、直ぐに気を取り直した表情をした。
(まあ、私達に、そんな事を求められても、困るわ、ね)
そして、顎に手を当てると考えるような表情になった。
(恋人同士、夫婦とか、男女の関係があるパーティーは、あぶれている者の死亡率が高くなるってギルドが言っているから、あの3人の誰かが、メイノーマとか、ウィルザイアと良い仲になったら犠牲の可能性は私が一番高くなるのよね)
アイカペオラは、面白くなさそうに上を向いた。
(ウィルザイアは美人だし、メイノーマは可愛い系だから、どっちにも属さない私に声をかけるメンバーは居なそうだし、……)
そして、何かを思い出したのか苦虫を噛むような表情をした。
(今まで、それらしいアプローチも無かったから、男女比が同じでも私に靡くメンバーは居ないでしょうね)
すると、下を向きため息を吐いた。
(今のメンバーの誰も男女の関係になっていないというのは、私にとってはありがたいけど、……)
何か考えるものが有るというように男子3人を睨んだ。
(でも、この状況で、今晩、どこかの娼館でガス抜きの話をヒソヒソと話すのは面白くない!)
アイカペオラは、少し離れていた3人の方に歩き出した。
「……。メイノーマに、その格好だと胸の中が見えるって!」
アイカペオラは、聞こえてきた言葉を聞いて、一瞬、自身の考えていたこととは違うことにホッとするが、直ぐにゾッとした表情をすると、メイノーマのさっきの様子を思い出すようにジューネスティーンを見た。
ジューネスティーンは、赤い顔をしたまま固まっていた。
(そう言えば、メイノーマったら腰を曲げて目の高さを合わせてたわね)
アイカペオラはメイノーマを見ると胸元にジューネスティーンの剣を嬉しそうに抱いていたが、その胸元はボタンが開いており首の下の肌が露出していた。
(今日は少し大きめのシャツに、いつものようにボタンを開けているわ。まあ、暑がりだから大きめのシャツも胸のボタンも一つ多く開けているけど、……)
アイカペオラの表情が変わった。
「あっ!」
緩めのシャツは、上から二つボタンを外しており、前屈みになればどうなるか、今までは、メイノーマの後ろに居たので分からなかったが、アジュレンの言葉で3人が何をヒソヒソと話していたのか察すると、アイカペオラはムッとした表情を3人に向けた。
「ちょっと、あんた達!」
ドスの聞いた強い口調ではあるが、メイノーマに聞こえない大きさの声でセルレイン達に声をかけた。
セルレイン達は、ビックリした様子で声の主のアイカペオラを見た。
「メイノーマの胸が、彼に覗けていたんでしょ! なんで、教えてあげなかったのよ!」
3人は、しまったという表情をした。
男同士の優しさだと思っていたが、その内容を女性であるアイカペオラに知られてしまった事は、男同士なら許される内容ではあっても、内容が内容なだけに女性のアイカペオラには許されない事である。
自身が同じ立場になって、それを面白そうに男子に見られていたと思ったら、自身の事ではないと分かっても同性として面白いとは思わない。
その事はセルレイン達も理解していたので、メイノーマとジューネスティーンの様子を見て何が起こっていたのか知ってて楽しんでいた事を、アイカペオラには許せなかった。
「一言、メイノーマに声を掛ければ済んだ事でしょ!」
ストレイライザーは申し訳なさそうな表情で、セルレインは困ったような表情でアイカペオラの視線を受け止めていたが、アジュレンだけは何を言っているといった表情でアイカペオラを見た。
「なあ、そうは言うけど、あの状況でどうやって声をかけるっていうんだ? 腰を曲げる前にならともかく、曲げた後に伝えたらどうなる? それにメイノーマの様子を見ろよ。あのウルサイ剣で試し斬りが出来るって喜んでいるのに、お前、坊主に胸を見られていたぞって、教えてやるのか?」
アイカペオラは、戸惑った表情になった。
本来なら、アイカペオラは、予め注意をしなかった事を指摘していたはずだが、アジュレンは当たり前の事を言ってくるので、自分の言っている内容が理不尽な事だと思えていた。
「それに、この状況で、さっきの事を伝えて、どうするって言うんだ? 坊主に、胸を見た事を謝らせるっていうのか?」
アイカペオラは、畳み掛けるように言われ、困った表情をしてメイノーマを見たので、アジュレンはしめたと思ったようだ。
「お前なら、後から、お前の胸、坊主が見ていたぞって、伝えられるのか?」
アイカペオラは俯いて自身の胸を見たので、勝ち誇ったように最後の仕上げだというように、その様子を伺うと口を開いた。
「逆にお前がメイノーマの立場だったら、今になって伝えられたら、どう思うんだ?」
アイカペオラは、アジュレンの言葉を自身と照らし合わせると、少し恥ずかしそうに顔を赤くした。
(そうよね。後から知った時の方が、恥ずかしさは増すわね。……。前屈みでしか胸の中を覗く事は出来ないから、あの状態なら黙っていた方が良いわね。それに、ズボンのファスナーが開いていた訳じゃないから、証拠になるようなものも無いのか)
そして、メイノーマを頭からつま先まで確認するように見ると納得するような表情をした。
「そうね。今更、メイノーマに伝えたら、とても恥ずかしいと思うわね」
ポロリと漏らすように言うと、セルレインとストレイライザーはホッとしたが、アジュレンは、してやったというように悦にいった表情を2人に向けた。