再会 27 〜無防備なメイノーマ〜
ジューネスティーンは、憧れるような目でストレイライザーを見た。
それは、魔法紋を使わずに綺麗に試し斬りの棒を斬った事から、剣の特性を一瞬で見極めて一番使い勝手の良い方法を見抜いていた事と、使いこなすだけの剣技も備えていた事に有ったが、自身の視線の先に見えるものが気になった事にあった。
メイノーマとしては、今の会話でジューネスティーンはストレイライザーの剣技と才能に憧れるような表情をしていたので、メイノーマは少し寂しそうな表情をして見つめていた。
(何よ。目の前に居る私よりストレイライザーの方が気になるの? それに、さっきから何で私から目を逸らすようにするのよ!)
そして、少し膨れたような表情をした。
ジューネスティーンとしたら、メイノーマの格好ではシャツの胸元から中の谷間が見えてしまう事を紛らわすつもりで言ったのだがメイノーマには伝わらなかった。
(目の前に私が居るのだから、こっちを向いて話をしてくれてもいいじゃない。何でこっちを向いてくれないのかしら)
メイノーマは、黙ったままジューネスティーンを見つめており、そして、少し面白くなさそうな表情をした。
ジューネスティーンは、目の前に年頃の女性が、自分と同じ目線になるように腰を曲げて上体が前に折れている事でシャツの胸元が重力に引かれて下がってしまい身体と隙間が空き、また、首元のシャツのボタンも2つ閉じられていない事から中が覗けてしまっていた。
その為、前を向いて顔を見たら顎の下に胸の谷間が見えてしまったので、顔を前に向けられずにいた。
意識しないように顔だけを見たとしても視界に入ってしまう事が恥ずかしく、そして、その事をメイノーマに知られてしまったらと思うと、自身の目を前に向けられないでいた。
「あ、あの。あなたも冒険者なら、こっちの剣で試し斬りしてみますか?」
ジューネスティーンは顔を赤くしながら、辿々しく思いついた事を言ったようだ。
もし、自分がメイノーマの胸元の谷間を見たと知られた時の事を考えたら、当人が何を言い出すか気になっていた。
ギルドから一緒に魔物の狩を行うようになるパーティーと聞いていた事もあり、今後、一緒に魔物を狩に行く時にも顔を合わせるのだから、自分が胸元の谷間を見たと知られたら、会うたびに雰囲気を悪くしてしまうかもしれないと考えていたので話を逸らしたかった。
「こっちの剣は、魔法紋も入っていますから、振動させると意識したら、勝手に振動してくれます」
ジューネスティーンは、視線を逸らしつつ辿々しく言うと、メイノーマは、キョトンとした表情から嬉しそうな表情になった。
(えっ! 大事な剣じゃないの? ストレイライザーに渡した時、悩んであっちの剣を渡していたのは、こっちの方が、シュレちゃんの魔法紋が刻まれているから、大事だったんじゃないの? そんな剣を私に使わせてくれるの?)
ジューネスティーンは持っていた剣を前に出そうと腕を上げると、また、メイノーマを見たが、直ぐに恥ずかしそうに視線を逸らした。
(この剣は、子供の力でも太い試し斬りの棒を簡単に斬ってしまったのよ。……。だったら、私にも達人のような試し斬りができるんじゃない! この剣を使ったら、さっきのような無様な事にはならないじゃん! フォローされなくても綺麗に斬られた棒が下に落ちるんじゃないの)
メイノーマは、ニヤニヤしながらジューネスティーンの持つ剣を見て、むず痒そうに肩を揺らしたので、ジューネスティーンの思惑とは違ってしまった。
しかし、視線を逸らしてはいたが視界の隅にとらえていた事から様子は伺えていた。
メイノーマは、喜んで自身の肩を振るわせたので、シャツの中でユラユラと揺れる胸の谷間が隙間から見えてしまい、ジューネスティーンは恥ずかしそうに視線を自身の剣に向けたり他の人に移していた。
本来なら、メイノーマの顔を見て話さなければいけないのだが、顔に視線を向けると、その下に見えるシャツの内側にある胸の谷間が見えてしまい、そして、肩を振るわせるたびに胸の谷間が動くので、なかなかメイノーマに視線を向ける事ができずにいた。
しかし、その無防備に揺れるものを見たいという欲望もあったせいで、直視はしないものの、キョロキョロと視線を動かしつつ視界の中にとらえていた。
しかし、意を決したように赤い顔でメイノーマと視線を合わせた。
すると、メイノーマにも真剣な様子が受け取れたのか、肩の揺れが止まりシャツの中に見えている胸の谷間の揺れも止まった。
赤くなった顔でも真剣そうな目でジューネスティーンはメイノーマを見たので、メイノーマも表情を戻した。
「いいの? 私が使っても」
聞かれると、ジューネスティーンは恥ずかしそうに頷いたので、メイノーマは嬉しそうに剣を受け取ったが体は曲げたまま、メイノーマの腕が動いた方の胸のシャツの隙間が広がって、抑えている下着にも隙間が空いてしまった。
ジューネスティーンは、顔だけでなく耳まで赤くしたが、今度は、視線を外す事なく固まった。
「あの亜人の2人には、魔法紋の周波数が聞こえるので、ウルサイみたいだから、注意してください」
ジューネスティーンは、自身の視線を外す事なく、少し高い声で言うとメイノーマが受け取ったので手を離した。
メイノーマは、受け取った剣を嬉しそうに胸に抱えるように持って身体を戻した。
ジューネスティーンは、自分より少し背の高いメイノーマが真っ直ぐになると、今まで見えていたシャツの胸元は見えなくなっても固まったままメイノーマの顔ではなく、先程まで見ていた部分から視線を動かせずにいた。