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再会 25 〜セルレインの考え〜


 セルレインは、ジューネスティーンとシュレイノリアに冒険者としての基本を教えるために、2人には剣と魔法の指導役を付ける事にした。


 シュレイノリアには、魔法職のウィルザイアを付けるが、魔法に関する内容を教えるより魔法を使うタイミングといった戦略や戦術に関する内容を主に教える事になる中でシュレイノリアの開発した魔法紋付与の魔法をウィルザイアに覚えてもらおうと考えていた。


 そして、ジューネスティーンの試し斬りを見て、太い試し斬りの棒を斬っていたが、それは魔法紋の効果による性能の違いで剣の腕が良いからではないと分かったことから、メンバーの中で剣の腕が一番のストレイライザーに頼んだ。


 ジューネスティーンは、シュレイノリア程の評価はされていなかったので発展途上と思われている事から、ストレイライザーなら幼いジューネスティーンに剣技についても体の鍛え方も教えられる。


 冒険者としての技能面について専門のメンバーを付ける事でギルドに対する面目も立つ。


 ギルドからの依頼は、2人に冒険者としての基本を教える事にあるなら、ジューネスティーンの剣技を上げる事は、シュレイノリアを教育するより効果が見えやすいと思えた事もあり、依頼に効果があったと言わせられる。


 セルレインとしたら、メンバーそれぞれに高額な前金をもらっている事もあり、可能な限り自分達のノウハウは教えておこうと考えていた。


(今は、この2人を担当に付けるけど、アジュレンの斥候としての技術も冒険者なら必要になるはずだ。それに、まだ、子供なら別の才能が有るかもしれないから、可能な限りメンバーの得意分野を教えて様子を見た方がいいだろうな)


 セルレインは、メイリルダの後ろに隠れているシュレイノリアを見てからジューネスティーンを見ると何かを思い出すような表情をした。


(そういえば、ジュネスは剣以外には興味が無いのか? いや、男の子なら物心がついた時期から棒を剣代わりに遊ぶ事が多い。ジュネスが剣を作ったのも、その延長線なのかもしれないのか。俺達が助けてから、このギルドの寮で保護されていたのだから、弓に触れる事も無かったのかもしれないな)


 セルレインは、アイカペオラの顔を確認してジューネスティーンを見た。


(それなら、アイカペオラの弓をジュネスに教えさせてもいいのか。アジュレンの斥候としての能力もだが、弓に関しても使えるようにしたら選択肢は増える事になる。剣を作ったから剣だけを使うとは限らないし、冒険者として成功させるなら色々な武器の使い方を知っていたら、その武器の活かし方も熟知できる)


 セルレインは、自分の考えに納得したという表情をした。


(このジュネスとシュレに冒険者の全てを教えられないが、俺達の知っている事の全てを教える事は可能だ。弓はアイカペオラが使うのだから、アイカペオラ次第では弓を使わせる事もできるが、果たしてアイカペオラが自分の弓を貸してくれるかだな)


 セルレインは考えるような表情になり自身の剣に視線を向けてから、アイカペオラを見ると悩むような表情をしたが、何かに気がついた様子でメイリルダを見た。


(いや、待てよ。ジュネス達の為なら、ひょっとすると経費としてギルドが認めてくれるかもしれないな。……。後で相談してみるか)


 納得したような表情をしてからジューネスティーンの持つ剣を見た。


(剣以外の武器を知る事によって、これから先、新たに組む連中を活かす事も可能になる。なら、カリキュラムを決めて教えていけばいいな。おや)


 セルレインは、ジューネスティーンが自分を見ている事に気がついた。


(あの目は、俺を観察している? 俺が何を考えているのか、知りたいみたいだな)


 視線を外して含み笑いをすると、今度はジューネスティーンと同じように観察するような視線を向けていた。


 ジューネスティーンは目が合うと少し驚いた表情をしてセルレインから視線を外したので、セルレインは面白いと思ったようだ。


(いいだろう。俺の知っている事も全て教えてやる。どれだけ詰め込む事になるか? いや、少年のジュネスには、話を覚えられればいい。理解できなくても覚えていたら、経験を積めば理解できる日がくる。俺はジュネスの記憶に残るように教えるって事だな。ん?)


 セルレインは、ニヤリと笑った。


(そうか。これは俺の成長にも繋がるな。俺の教える力を試す為には都合がいい。2人のお陰で俺も俺達も成長できる可能性が出てきたって訳か。そうだな、人に教える事は、俺の理解も深める事になるし、それによって新しい発見もあるかもしれないしな)


 自身が納得するような表情をすると、メンバー全員とジューネスティーンとシュレイノリア、そして、メイリルダの表情を確認した。


(この依頼は、金額だけが魅力じゃない。むしろ、俺達の成長にも繋がる。やっと、この大して稼げない場所から移る事もだが、もっと、強い魔物とも十分に渡り合える可能性が見えてきた)


 セルレインは納得すると、希望に満ちたような表情をした。


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