再会 17 〜魔法剣〜
さっきまで人見知りをしていて、メイリルダの後ろに隠れていたシュレイノリアがメイリルダの横に立ってセルレイン達を見ていたが、声に反応したセルレイン達が見るとシュレイノリアは、また、メイリルダの後ろに隠れてしまった。
「なあ、今の剣が振動すると言うのは、どういう事なんだ? それに、メイノーマとアジュレンが、すごい音がしたと言ってたが関係があるのか?」
セルレインが、シュレイノリアに質問すると、メンバー達も同じ事を聞きたいと思っていたように見て次の言葉を待っていたが、シュレイノリアは、セルレイン達全員に見られても隠れたままだった。
「あのー、こっちの剣には魔法紋が仕込んであるんです。その魔法紋は、剣を振動させるようになっているんです。でも、人の可聴域を超えた、25キロヘルツにしていたはずなんですけど、お二人には聞こえてしまったみたいですね」
シュレイノリアが、恥ずかしがってしまったのでジューネスティーンが代わりに説明した。
その答えを聞いたセルレインとストレイライザーは、何となく理解できたようだった。
「ねえ、それが何で斬れ味に繋がるの?」
メイノーマは、その説明だけで理解できず理由を聞いてきた。
「それは、細かく振動している刃なら切断させるのに有利だからです」
そう言われてもメイノーマは、原理をつかめないようだったが、アイカペオラは納得したような表情をした。
「ああ、鶏肉とか滑って切りにくいお肉とか、細かく前後させるけど、あれと同じような原理なのか」
その一言で、ウィルザイアとアジュレンも納得したようだが、メイノーマだけは難しい顔をしていた。
「成る程、面白い事を考えたんだな」
ストレイライザーは感心したように言葉にした。
「おい、それって他の剣にも有効なのか? 例えば俺の剣に、その魔法を付与したらどうなんだ?」
自分の剣に付与し剣の斬れ味が今以上になれば、魔物との戦い方が楽になり、いつもの力より弱くても斬れるなら、剣の手入れも楽になるかと思ったようだ。
特に、刃の手入れが、楽になるのであれば手入れの時間短縮になり、空いた時間を休憩なり別の事に使う事ができることになり、その余裕をストレスの解消の時間にあてる事も可能となり狩りの時に集中できる事になる。
斬れ味が魔法によって上がるのであれば、その効果は大きい。
ストレイライザーは剣を振動させる魔法が、大いに気になっていた。
「この魔法紋は失敗だ!」
ストレイライザーが、興味を示したのだが、水を差すようにシュレイノリアが声を上げた。
「あれでは、その人達に迷惑をかける。だから、その魔法紋は改善が必要だ」
メイリルダの後ろから顔だけ出して言いたい事だけ言うと、また、メイリルダの後ろに隠れてしまった事を、メイリルダとジューネスティーンは申し訳なさそうな表情をしてセルレイン達を見ていた。
セルレイン達は、ジューネスティーンの試し斬りの時に耳を塞いでいたメイノーマとアジュレンの事を思い出すように2人を見た。
「まあ、あれじゃぁな」
「2人は、今の剣を使えないだろうし、それに、あの距離で他の誰かが使ったらメイノーマとアジュレンは戦闘力ゼロって事よね」
セルレインが、ポロリと言うと、その言葉を説明するようにアイカペオラが続けた。
「いやいや、あれじゃあ戦闘力ゼロどころかマイナスになってしまうわ。だって、動けなくなってしまうんだから、2人を守りながら戦う事になるのよ」
そして、ウィルザイアが冷静に判断した言葉を聞いて、セルレイン達は納得した表情を浮かべた。
「なあ、シュレ。発振周波数をもっと高い周波数に変えることはできないのか?」
ジューネスティーンが、対応策をシュレイノリアに聞くのだが、セルレイン達には対策案だろうと思ったようだが、何で高くするかまでは理解できなかったように不思議そうな表情をした。
「多分、大丈夫だと、思う」
シュレイノリアは答えるのだが、あまり、自信が無さそうな声で答えた。
「剣は、柄・鍔・ハバキを使って、目釘・目貫を使って固定して柄巻の紐で巻いて固定している。周波数が高くなったら剣を押さえる力がどんな影響を及ぼすか分からない」
その説明を聞いてジューネスティーンは納得するような表情をするが、他の人達は何を言っているのか理解できないようだ。
「じゃあ、色々試してみたらどうだろうか? 魔法紋なら消して書き直せばいいだろう。剣を押さえている部品の影響を確認しつつ、魔法紋を決めればいいんじゃないのか? それに、この剣で斬れ味の確認ができたんだから他の剣を使ってもいいだろう」
ジューネスティーンの指摘を受けて、シュレイノリアは一瞬納得するような表情をしたようだが、直ぐに面白くないというようにメイリルダの服を掴む拳に力が入っていた。
シュレイノリアも納得する内容だったのだが、それをジューネスティーンに指摘されたことが気に食わなかったようだ。
ただ、2人の会話を聞いていたセルレイン達は驚いたような表情をしていた。




