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再会 15  〜ジューネスティーンの試し斬り〜


 ジューネスティーンとメイリルダは、シュレイノリアが人見知りをしていて、メイリルダの影から出ようとしないので、2人はセルレイン達に申し訳なさそうに詫びを入れた。


「ふん! ジュネス。お前の持っている剣で、今の試し斬りを見せてやれ!」


 シュレイノリアは、メイリルダの後ろに隠れながら試し斬りするように指示してきたので、その失礼な物言いにジューネスティーンは引き攣った笑いを浮かべていた。


「どうした。お前の実力を見せるチャンスだ。さっさとやれ!」


 流石に、それにはセルレイン達のメンバーも少しムッとしたような表情をしたので、メイリルダも困ったような表情をした。


「ジュネス!」


 シュレイノリアは、動こうとしないジューネスティーンに催促するように名前を呼んだので、仕方なさそうにセルレインの方に歩いて行った。


「あのー、こっちの剣で僕も試し斬りをしたいのですけど。よろしいですか?」


 セルレインは、ジューネスティーンが試し斬りするのに自分に断りを入れるとは思っていなかったように意外そうな表情をした。


 セルレインとしたら自分達パーティーはゲストとして入っている事もあり、どちらかというと自分達が許可をもらって試し斬りをするべきじゃないかと思ったのだ。


「あ、ああ、別に構わない。君の思うように行っていいと思うぞ」


「ありがとうございます」


 お礼を言うとジューネスティーンは、剣を腰のベルトの間に差し込みながら試し斬りの棒がある場所まで歩いて行った。


 そして、置いてある試し斬り用の棒の中から、8センチ角のものを手に取って台座の方に持っていった。


 その様子をセルレイン、ストレイライザー、そして、アジュレンも見て本当かよといった表情をした。


 ジューネスティーンの体は、まだ、11歳の子供の体つきであり、大して筋力も無いと見受けられる。


 セルレインは、大剣を扱うストレイライザーなら、そんな太さでも問題無いだろうが、ジューネスティーンには、そんな太い角材を斬ってしまうことは難しいと思い、それは、ストレイライザーもアジュレンも同じように思っていた。


 女子達は、ウィルザイアもアイカペオラも半信半疑で見ていたが、メイノーマは理由が分かっていないのか感心するような表情で見ていた。


「ジュネス! それは、ちょっと細くないか?」


 セルレイン達が、ジューネスティーンには斬れない太さだろうと思っているところに、シュレイノリアが声をかけてくると、それを聞いてセルレインとストレイライザー、アジュレンは、何を言っているというような表情をした。


 そして、セルレインは、シュレイノリアの方を見るが未だにメイリルダの影に隠れているだけで、表情まで見て取れなかったが、何でそんな事を言うのか気になっていた。


 そんなセルレインの様子を伺っていたアジュレンは、肩が当たる位までストレイライザーに近寄った。


「なあ、ストレイライザー。あの子、あんな太い角材を斬れると思うか?」


「いや、無理だな」


 ストレイライザーとアジュレンは小声で話をしていたので、ジューネスティーンには聞こえそうもなかったがセルレインには聞こえていた。


 セルレインは、2人の方に視線を送った。


「いいじゃないか。とりあえず見ておこう」


 セルレインの言葉を聞くと、2人とも黙ってジューネスティーンの様子を見るだけだった。


 ジューネスティーンは、8センチの角材を台座に収めると間合いを取った。


 その間合いは、ジューネスティーンの腕の長さと剣の長さより少し離れていた。


 そして、腰に刺してある剣を鞘から引き抜き中段に構えると、アジュレンとメイノーマが耳を手で覆って嫌そうな表情をした。


 セルレイン達も何か違和感を覚えたようだと思った時、ジューネスティーンは、剣を振りかぶって踏み込み剣を一気に振り下ろした。


 剣は、僅かに斜めに振り下ろされ、そのまま、試し斬りの棒を一気に斜めに斬って、切り落とされた棒が地面に落ちた。


 ジューネスティーンは、一回剣を振ると腰の鞘を片手で握り少し鞘を引き抜くようにすると、鞘の端から親指を立てるようにし、そこにハバキを当てると自分の親指に剣の峰を這わせるようにして剣を引いた。


 そして、切先が鞘の入り口にくると鞘に切先を入れ、ゆっくりと剣を鞘に収める頃には、アジュレンとメイノーマも抑えていた耳から手を離していた。


 剣を鞘に収めると、斬り落とした試し斬りの棒を拾いシュレイノリアの方に、それを持って歩いて行った。


「シュレ。ほら、こんなに太い棒でも簡単に切れたよ。お前の作った魔法紋は有効だったよ」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアに報告するように斬り落とした棒の切り口を見せていた。


「ふん。私の魔法紋は完璧だ! 切り口を見せなくてもわかる。だが、まだ、改善の必要がありそうだ」


 そう言うと、シュレイノリアは、メイリルダの後ろからアジュレンとメイノーマを見た。


 一方、そんなジューネスティーンの様子を気にする事もなく、セルレインとストレイライザーは台座に残っていた角材を見に行っていた。


 ただ、アジュレンはホッとした様子でメイノーマを見ていた。


「お前も、あれが聞こえていたのか?」


 アジュレンが、メイノーマに声を掛けた。


「うん。ぴーっだか、キーッだか、とても、ひどい音だった」


「ああ、鼓膜が破れるかと思ったよ」


 2人は、ひどい音を聞いたと話しているが、他のメンバーには、そんな様子はなかった。


 そして、アジュレンとメイノーマの話を聞いていたウィルザイアとアイカペオラは、何を言っているのか分からないという様子でアジュレンとメイノーマを見た。


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