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再会 14  〜世話役〜


 メイノーマは、ジューネスティーンとシュレイノリアの世話役として指名され微妙な表情をしていたのは、セルレインのパーティーに入って初めての世話役になった事で、自分に2人の世話をする事ができるのか心配になっていた。


 今まで、メイノーマはパーティーの中で一番下っ端だった事もあり教えられる事はあっても教える事は無かった。


 その不安な様子が、表情に出てしまっていたが、セルレインと他のメンバー達には経験している事なので、初めて世話役になったメイノーマが不安になっているのを見て微笑ましくもあり面白がってもいる。


「うー、世話役って、……。私、自信がないですよ」


 泣き言を言うと、メンバー達は、やっぱりといった表情をした。


 メンバー達は、メイノーマなら、そう言うだろうと思っていたので期待を裏切られなかった感が強かった。


 セルレインとしても、返ってくる答えが思い通りだった事から困る様子もなく納得するような表情をしていた。


「これは、ギルドからの依頼じゃないですか。私が失敗したら、パーティーとして困るって事じゃないですかぁ」


 メイノーマの言葉を聞いても他のメンバー達は全く気にする様子はなく、今の答えも全て知っているといった様子でメンバー達はメイノーマを見ていた。


「なあ、メイノーマ。何事も最初は有るんだ。それに、新人の世話は、一番下の役目なんだよ」


「そうよ。最初の世話役は、なるべく早くした方がいいのよ」


「そう、今まで私達から吸収したノウハウとか、覚えた事を新しい人に教えるのよ。私だって、あなたの世話役をしたのは初めてだったのよ。だから、あなただって出来るわよ」


 セルレインの話を聞いて、ウィルザイアもアイカペオラも同じようにメイノーマに世話役を勧めてきた。


 それを聞いていたメイノーマは、世話役を逃げられそうもないと思ったのか困ったような表情を浮かべた。


 メンバーの3人に言われて、メイノーマは世話役から逃げられそうもないと表情に出したので、まだ、言葉をかけていないアジュレンとストレイライザーはその様子が面白く映ったようだ。


「これで、俺達の苦労も少しは減りそうだな」


 アジュレンが、少しイヤラシそうな表情で思わず口に出してしまうと、メイノーマは露骨に嫌そうな表情をした。


「世話役は、自分のためになる。教える事によって、理解を深める意味もある」


 ストレイライザーがフォローするように言うのだが、これだけではメイノーマに伝わらなかったようだ。


「メイノーマ。教えるというのは、自分自身で一通り理解できてないと上手に教える事が出来ないんだ。順序立てて言葉にするにしても、説明するには細かな部分まで理解が必要になるから、自分の理解した内容を確認するには、人に教えることが一番良い確認になるんだよ」


 セルレインが、ストレイライザーの言葉を説明すると、メイノーマは、そういうものなのかと思ったような表情をした。


「そうよ、あなたの理解を深めるためでもあるのだから、2人の世話をしてあげなさい」


「大丈夫よ。上手く説明できなかったら、私達がフォローするんだから安心して」


 ウィルザイアとアイカペオラは、メイノーマを安心させるように伝えたので、説明できなかった時には助けてもらえると分かり少し気持ちが楽になったように、わずかに肩の力が抜けた。


「そうなれば、さっきのような試し斬りも無くなるだろうな」


 アジュレンが、棒切れを飛ばした事を揶揄うような言い方をしたので、ストレイライザーが今の言葉を咎めるように視線を送った。


 アジュレンは、その視線を見て黙ると視線を別の方に向けた。


「世話役になったからといっても、だいたいメンバー全員だったり、誰か一緒の者がいるはずだから心配する事はないさ」


「そうよ。あなた1人で、2人の面倒を見るなんて事は無いから安心して」


 セルレインもウィルザイアも、丸投げするつもりは無い事を示したので、メイノーマは、それなら自分にも出来るかと思った。


「まぁ、そう言う事なら、……。分かったわ」


 セルレインは、メイノーマの返事を聞いてジューネスティーンを見た。


「これから先、君は、俺達とパーティーを組む。冒険者としての基本はメイノーマが教える事になる。何か有ったら、まず、メイノーマに聞くようにな」


 ジューネスティーンは、今まで黙って話を聞いていたが、自分とシュレイノリアに冒険者としての基本を教えてもらえるメイノーマと決まりメイノーマに笑顔を向けた。


 そして、メイリルダの後ろに隠れるようにしていたシュレイノリアを確認すると、また、メイノーマを見た。


「よろしくお願いします」


 そう言うと、頭を下げたが、シュレイノリアは、隠れたままだったので、ジューネスティーンは困ったような表情をした。


「ごめんなさい。シュレは、まだ、慣れないみたいだから、もう少し慣れたら、きっと、普通に話せるようになると思うから、少し、待ってください」


 ジューネスティーンは、申し訳なさそうにシュレイノリアの態度について言い訳をした。


「ごめんなさいね。シュレは、本当に人見知りなの。だけど、慣れてしまえば、どうって事ないから、それまで辛抱してもらえるかしら。本当に、慣れたらエリスリーンともタメ口をきく位だから、きっと、時間が経てば解決すると思うわ」


 メイリルダも申し訳なさそうに言うが、シュレイノリアは、メイリルダの後ろから出ようとはしてなかった。


 ただ、エリスリーンとタメ口を聞くと聞いて、セルレイン達は少し驚いたようだが、時間が経てばなんとかなるなら、それでもいいかというようにメンバー達は、お互いを見ていた。


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