再会 13 〜フォロー〜
メイノーマは、自分が斬った試し斬り用の棒切れが、ストレイライザーの方に飛ばしてしまった事で、自分がやらかしてしまったと思い青い顔をしてストレイライザーを見た。
「ご、ごめん。ごめんなさい!」
慌てて謝ったが、謝れたストレイライザーとしたら、特に問題はなさそうに自分が手刀で打ち落とした棒切れを確認した後、撃ち落とした時に木の棘が刺さってないか確認していた。
「ああ、大丈夫だ。木屑の棘が刺さった様子も無いから平気だ」
ストレイライザーは、メイノーマの謝罪に平然とした態度で答えた。
メイノーマとしたら、不可抗力とはいえ切れ端を飛ばしてしまい申し訳なさが勝っていたが、他のメンバー達には事故だったという様子も驚くようでもなく、当たり前のようは表情で2人の様子を見ていた。
「メイノーマ。あなたが、構えた瞬間にストレイライザーは、あの位置に移動したのよ」
ウィルザイアが呆れたような言い方をしたが、メイノーマは、まだ、何を言っているのか、よく理解できてない様子で話を聞いていたので、アイカペオラは残念な子を見るような表情で見ていた。
ウィルザイアの表情を見てアイカペオラが、もう少し分かるように説明が必要と思ったようだ。
「あれは、変な事にならないようにストレイライザーが、貴女をフォローするための行動だったの。だから、気にしなくてもいいわよ」
アイカペオラに言われると、メイノーマは大きな目をパチクリさせて何の事だというような表情をした。
「お前、試し切りの棒を斬った後の事を考えてなかったから、周りがフォローに入ったんだよ。あのまま斬れた棒が飛んでいって花壇の花に当たったり、あっちの窓に当たったら大変だからな」
「お前は、後の事を考えないから、周りは、その後の事を考えて行動しているのさ」
セルレインが、棒切れの飛んでいった方向を指差して、その方向にあるもの言葉にしたのだが、アジュレンは、イタズラっぽい表情をして、どう考えても窓まで棒切れが飛んでいくとは思えそうも無かったのに指摘した。
「行動が危なっかしいしから、周りは、お前の考えなさを常に気にしているんだ。お前がヘマしたら、俺達のパーティーの評価が下がる。まだまだだな」
アジュレンはヤレヤレといった表情で少し辛辣な内容を言った事もあり、セルレインは、メイノーマとアジュレンの様子を確認してから話し始めた。
「まあ、それも、お前の若さもだが、後輩が居ないことからだろうな。メイノーマは、年齢的にもメンバーになったのも一番最後だから、常に自分より下になるものが居ない状況が長すぎだのかもしれない。考えさせる為にも、もっと早く新しいメンバーを入れられたら良かったんだがな」
アジュレンの言葉を聞いて不味いと思ったのか、メイノーマを弁護するように言った。
「だが、今回は、年齢的にも若い2人がメンバーと一緒に行動する事になるんだ。まあ、ギルドからの依頼されたメンバーだが、メイノーマにも2人の後輩が出来たから、2人の面倒を見るようになれば今のような事もなくなってくるだろう」
セルレインとしたら、メイノーマに後輩を作ってくれなかった事が、今のような行動を取らせてしまったのだろうと考察していた事を話す事で、アジュレンの棘のあった言葉を緩和させていた。
「これからは、常に8人で行動する事になるから、メイノーマは2人の世話役になる。ちゃんと面倒を見るんだぞ」
セルレインは、ジューネスティーンを見てから隣にいるメイリルダの後ろに隠れるようにしているシュレイノリアを見た。
これからは、メイノーマがジューネスティーンとシュレイノリアの世話をして、2人に冒険者パーティーとしての基礎を教えていく事により、自身を見つめ直す事になり教える側も成長することになる。
セルレインとしたら、今回のギルドからの依頼によってジューネスティーンとシュレイノリアをメンバーに入れた事によってメイノーマの成長も促そうとしていた。
人は、教わるだけより人に教える事によって理解を深める。
教えられ覚えた事を説明する事によって、更に理解を深める。
セルレインも経験から知っており、メイノーマの成長も含めてジューネスティーン達の世話役に指名した。
メイノーマは、助けた後に会うことも叶わなかったジューネスティーンとシュレイノリアの2人の世話役になれたのなら、これからはメンバーの誰よりも2人との接触の機会が増えるので、メイノーマとしたら嬉しい事なのだが、世話役と言われて指導する立場として接触する事になり、自分に2人を指導する力があるのかという不安とが入り混じった感情にとらわれた。
そんなメイノーマの様子を、ウィルザイアとアイカペオラは面白そうに見ていた。
「よかったじゃないの、メイノーマ」
「そうよ。今まで会えなかった2人と、これからは一緒に過ごせるじゃないの」
メイノーマの気持ちを知っていたウィルザイアとアイカペオラは、面白そうな表情でメイノーマに言うのだが、2人は、メイノーマの気持ちが理解できていた事もあり、わずかではあるがニヤけた表情で伝えていた。
2人に声をかけられても、メイノーマとしたら初めて冒険者に指導する立場になるので不安そうに2人を見た。




