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黒竜の登場 〜ジューネスティーンの反省会〜


 西の空には、大きな翼を持った、黒い鳥のようなものが、飛んでいるのが見えた。


 それは、徐々に大きくなってくる。


 近づくにつれて、その大きさもだが、形も明らかになってくる。




 翼は、コウモリのような翼をしており、背中に翼を備えている。


 そして、翼とは別に腕も有るのだ。


 細長い首、ワニのような顔付きだが、その顔には、耳もあり、そして、角も生えている。


 その角は、途中から何度も枝分かれをしており、雄鹿の角のような形をしているが、雄鹿のように顔の数倍も無くはなく、ほぼ、顔と同じ程度の長さしかなかった。


 また、胴体の後ろには、力強そうな足、その間から、足の太さより太い尻尾が長く伸びている。


 そして、体は鱗に覆われており、背中には、縦に2本の波打つような突起が出ている。


 その突起は、頭の後ろから背中を通じて尻尾まで、大きさは異なるものの、同じような形の物が、幾つも整列して付いている。


 形から明らかに竜である。




 その竜は、ジューネスティーン達の上空を一度旋回する。


 かなり近い距離なので、首・胴・腕・羽・足・尻尾が、目視で確認できる程度の所を旋回している。


 見ると、尻尾の長さは、全長の半分も有る。


 胴体と首から頭にかけてを考えると、尻尾:胴体:首=9:7:2程度の比率である。


 その竜が、上空で旋回した後に、ゆっくりと降りてくる。


 その竜は、上空で少し横にずれると、ジューネスティーン達から少し離れた所に舞い降りる。


 今度は、ユックリと歩いて近づいてくるのだが、地面に足を下ろすたびに大きな音を立てていたが、先程の10メートル級の魔物よりは、小さな音で、それ程、重そうな音は立ててない。


 上空を飛ぶ竜と地上を闊歩する魔物では、その体重が大きく異なるようだ。


 竜は、自分が地上に降りる時の風圧が、ジューネスティーン達に、影響が出ないところを狙って、降りてきたようだ。


 舞い降りたその竜は、両足で立ち、尻尾は、地面に触れないように上を向くように軽く弧を描くようにして先端を空に向けて立てている。




 竜は、ジューネスティーン達に近づく。


『上手く倒せたみたいじゃないか。 この前作っていた武器も上手く使えたみたいだな』


 ジューネスティーン達の言葉が伝わってくるのだが、音として伝わっているのではなく、耳というより、頭の中で声が聞こえるように聞こえるのだ。


 その声の持ち主は、今降りてきた黒い竜から発せられていた。


「ああ、黒竜さん。 倒せることは倒せましたけど、ライフル銃を外すのに、アンジュとカミューに手伝ってもらって、やっと取り外したので、今回のような狙撃なら使えますけど、直ぐに近接戦になる場合は、ちょっと使えないかもしれません」


 ジューネスティーンは、ライフル銃の評価を正直に話すと、黒竜は、瞬きを何度かする。


『ほーっ、そんな物なのか。 あの威力なら、我も倒せそうに見えたのだが、そんな問題があったのか』


 黒竜は、ジューネスティーンのライフル銃の威力を知っていた。


 以前、試し撃ちの時に立ち会っており、その時の貫通力や威力を熟知していたのだ。


 威力だけなら、圧倒的だと理解していたのだが、どんな戦闘においても使えるとは限らない。


 全てのものには、それぞれの持つ長所も短所も有るので、全ての道具が万能に使える事はない。


 実際に使ってみて、長所と短所を見極めて、長所は利用して、短所は、それを補う事を考える。


 それは、物だけに限らず、人に対しても言える事で有って、そういった見極めがジューネスティーンは長けている。


 ほとんど永遠に生きる竜にとって、短い人生しか持っていない人々の、限りある命の中での創意工夫を見るのは、永遠の中で生きるという、退屈さを埋めてくれる娯楽のようなものなのかもしれない。


 表情を、大して変えることの出来ない黒竜にとって、表情を人に見せるための、祐逸の表情とも言える目の瞬きは、数少ない人とのコミュニケーションとして使われているのだ。


 ジューネスティーンは、黒竜との付き合いから、その瞬きが、人との接触し、話をする時に多くする事から、黒竜自身が、長年人との接触するうちに身につけた能力なのだろうと思っているのだ。


 そんな時は、自分の考えを伝えると、黒竜も喜んでいるように思えるので、ジューネスティーン自身も、自分の考えを纏めるために話をするのだ。


「そうですね。 限定的な戦いなら使えますけど、戦いは、常に同じとは限りませんし、それに、1メートル程度の小型の魔物が数百匹とかになったら、この武器は使い物にならないでしょう。 むしろ、そんな時は、魔法を使うか、近接戦闘なら、剣の方が使い勝手が良いと思います」


『それは、お前がよく言うところの、設定される戦場によるのではないのか? 我のような大きさの者と、お前達より小さな者、それに相手の数、全てのデータを整理して、相手に一番良い打撃を与えられるかを考えなければならないのではないのか? その為に武器の性能を確認したのだから、それでよかったじゃないか』


「それもそうですね」


 そう言ってジューネスティーンは、納得するのだった。


『パワードスーツに付けるのがダメなら、持つなり、それ専用の荷車のようなものを用意して使えば良いのではないか。 いつも、お前のパワードスーツに付けなくても、荷車の荷台に乗せて移動させるなら、お前達以外にも使えるんじゃないか』


「そうですね。 それも手ですね。 自分は、地面に置いて使う事を考えてましたけど、その方法も面白いかもしれませんね」


 ジューネスティーンは、黒竜の提案を聞いて面白いと思ったようだ。


 その提案を考えようかと、顎に手を置くと、自分の前に、白い髪の毛の頭があることに気がついた。


 その頭は、アリアリーシャのものだが、ジューネスティーンの前で、体を逸らすようにして、黒竜を見上げている。


 ジューネスティーンは、それを不思議そうに眺める。


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