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再会 〜メイリルダとセルレイン達〜


 セルレイン達は食事も済み、そして、ジューネスティーン達をどうするのかについても話し合いが終わったので、ギルドに戻りメイリルダに話をしてジューネスティーン達と会おうとなった。


 この後、魔物の狩に行ったとしても、移動の時間を考えたら大した魔物の狩はできないだろうという事もあり、それなら、依頼の転移者について実際に会って話した方が良いと思った。


 昼下がりの時間帯ということもあり、ギルドは閑散として受付嬢達は事務処理をしていた。


 また、この時間のギルドに居る冒険者は、パーティーに不足する職業スキルを持った冒険者を探しているか、自分を売り込みに来たソロか新人程度であり昼前から居た顔ぶれでもあった。


 午前中、セルレインとウィルザイアが、ギルドマスターに呼ばれていた事で残りのメンバー達がロビーに居た時に、今居る冒険者達は一度声を掛けてきた連中ばかりだった。


 ロビーに居る冒険者達は状況を知っていることもあり、セルレイン達がロビーに入ってきてもチラリと顔は見るが声をかける者は誰も居なかった。


 それよりも、リーダーであるセルレインが、ギルドマスターに呼ばれたとあって、警戒するように時々視線を送り様子を伺う程度にとどめていた。


 セルレイン達は、そんな周囲の様子を気にすることなく受付に向かった。


 そこには、メイリルダが、事務処理をするためにカウンターの向こう側で座って下を向いていた。


 セルレインは、そのカウンターの前に立つと軽くノックした。


 その音を聞いたメイリルダは、顔を上げて目の前に立っていたセルレインを見た。


「こんにちは、……」


 メイリルダは挨拶をするが、目の前の人の名前が出てこなかったようだ。


 セルレインは、そんなメイリルダの反応に違和感を感じた様子で軽く気を落としたような表情をした。


「セルレインだ」


 それを聞いてメイリルダは、思い当たることがあったという表情をしたが、セルレインは自分の顔と名前が覚えられてないと確信したようだ。


「ああ、セルレインさんですね。さっき、ギルマスから依頼を受けてくれたと聞きました。よろしくお願いします」


「ああ、よろしく」


 セルレインは、メイリルダの様子を微妙な表情をして返事をした。


 セルレイン達は、この始まりの村では中堅どころのパーティーであって、1年前にジューネスティーンとシュレイノリアを助けた事もあり、7年ぶりの転移者を、しかも2日続けて2人を助けた事で有名になっていたのだが、メイリルダには自分の名前と顔が一致してない事に若干の戸惑いを覚えた。


 受付嬢であるなら、担当以外の冒険者の顔と名前をある程度覚えており、新しく始まりの村に来た新人などなら、顔と名前が一致してないこともあるだろうが、セルレインは、このギルド支部では中堅どころなので受付嬢なら知っていて当たり前の冒険者なのだ。


 それなのにメイリルダが知らなそうな事が、セルレインには少しショックでもあった。


 しかし、後ろに居たメンバー達の殆どは食事中に出ていたドジっ子という言葉が頭に残っていたのか、ドジっ子なら仕方がないのかと思ったようだ。


「ああ、悪いが依頼の相手と話をして、これからの事を相談したいと思うんだが、……」


「あ、ああ、そうですね。あっ、そうだ。これから、ジュネスとシュレの事があるので、今後は、あなた方のパーティーの担当は私になりました。よろしくお願いします」


 メイリルダは、セルレインの話を聞いているにも関わらず、それを無視した形で自分の言いたい事を言ったので、セルレインは表情を少し引き攣らせた。


「いやー、セルレインさんのパーティーを担当させてもらえて、とても嬉しいです」


「あ、ああ、ありがとう」


 セルレインは、最初に自分の話した事に対しての回答も無く、メイリルダは自分の思っている事を話し出したので、さっきのドジっ子というワードが脳裏を過ぎり困ったような表情をした。


「それで、依頼の相手に会いたいと思って来たのだが、お願いできるかな」


「あ、ああ、そうでしたね」


 セルレインは、メイリルダに話が通じたと思ったようだが、メイリルダの方はセルレインの様子を気にする事はなかった。


「それでしたら、寮の鍛治工房の方に居ると思います」


 メイリルダは、それだけ言うと困ったように見ているセルレインを不思議そうに見た。


「……」


「あ、あのー、俺達だけで、職員用の寮に入れるのか?」


 メイリルダの対応に戸惑ったセルレインが声をかけた。


 そのセルレインの言葉を聞いて、ジューネスティーン達の住むギルドの寮は、職員用であって関係者意外が勝手に入れるような場所ではなかく、特に、ジューネスティーンとシュレイノリアが転移してきてからは、警備が厳重になっていたので、セルレイン達からしたら近寄り難い場所になっていた。


 その事を思い出したメイリルダは、やっと、様子が理解できたというような表情をした。


「あ、ああ、そうでしたね。それでしたら、私が案内します」


 メイリルダが、やっと理解してくれたと思うと、セルレインはホッとしたようにため息を吐いた。


 その様子に気がつかないまま、メイリルダは机の上を簡単に整理すると席を離れて、カウンターの端のロビーに出る場所に行き出てくるとセルレイン達の前に移動してきた。


 メイリルダは、愛想の良い表情で一度メンバー全員を見てからセルレインを見た。


「それでは、私が案内しますから寮の方に行きましょう。ジュネスは、きっと、鍛治工房で作業をしていると思いますから、そこでお話ししましょう。シュレも、案外一緒にいるかもしれませんね」


 メイリルダが、呑気に言うとギルドの入り口の方に歩き出した。


 それをセルレインとメンバー達は、呆気に取られるように見てから追いかけて行った。


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