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セルレイン達の常識 15


 アイカペオラとメイノーマは、ストレイライザーとセルレインの話を聞いても理解できないと言うように呆けた顔をしていた。


「ねえ、私達って、その転移者の少女に比べたら、全く攻撃力が無い程度となってしまわない?」


「ああ、それについても戦術的な部分では大きく優っているだろうけど、戦略的な部分に、もっと、知識を持たせたいと思っているらしいから、あっちが圧倒的に強くても気にしなくて構わない。それに、2人の指導に困った時は、ギルドも一緒に考えてくれる事になっている。だから、力差については安心してかまわない」


 アイカペオラの不安に、セルレインは、直ぐにエリスリーンに言われた事を伝えた。


「セルレインの能力だと、あまり、彼らに良い影響を与えられないでしょうけど、今回は、ギルドと連携が取れる事が大きいわ。私も最初は不安だったけど、エリスリーンから言質は取っているから大丈夫だと思うわよ」


「それなら、何か困った事があったらギルドと相談すればいいのね」


 セルレインの話にウィルザイアが補足すると、アイカペオラも安心していたが、セルレインはウィルザイアノ補足が気に食わなかったという表情をしていた。


「なるほどなぁ。ギルドが相談に乗ってくれるなら安心だな」


「そうだな。そうなると、俺達は、本当に転移者の2人に戦略の立て方とか、魔物の警戒の方法とかを教えるだけで良さそうだな。だが、俺の耳で聞こえる範囲と、あいつらの聞き取れる範囲は違うなぁ」


 ストレイライザーが、完全に安心しきった様子でボヤくと、アジュレンは自分が教える内容について考え始めていた。


 2人とも、ウィルザイアの話を聞いて安心していた。


 そんな中、アジュレンは、ウサギの亜人のため、耳が長いこともあり、人属とは、音に対して聞き取れる範囲が大きく異なる点を考えていた。


「そう言うことなら転移者の2人って、まだ、亜人とは接して無いんじゃ無いかな。アジュレンとメイノーマのような亜人と人属がどう違うかも知ってもらえるから、それも冒険者として知識になるんじゃない」


 アイカペオラが、アジュレンの話を聞いて思いついた様子で話し出した。


 その話をウィルザイアも、その通りだと思ったように頷いた。


「そうね。ギルドの寮の中でしか暮らして無かったのだから、亜人と接するのは初めてなのかもしれないわね」


 そう言うと、ウィルザイアは隣に座っているメイノーマの後ろを覗き込んだ。


 メイノーマは、ズボンを履いているが、亜人特有のズボンの後ろ半分に、ミニスカートのような腰巻きがデザインされている。


 それは、尻尾を出すための穴が、ズボンには空いているが、その隙間から、下着や肌が見えてしまうのを隠すように作られていた。


 アジュレンの尻尾は、それ程長くはないので、後ろの腰巻きに隠れて見えないが、ヒョウの亜人であるメイノーマは、50センチもある尻尾なので、腰巻きから飛び出しており、時々、ユラユラと動かしていた。




 セルレイン達のパーティーに、ジューネスティーンもシュレイノリアも助けられた。


 ジューネスティーンは、助けられて直ぐに気絶しており、ギルドまで眠らせた状態で運んだ。


 シュレイノリアは、瀕死の重傷で意識が有ったか良く分からない状況で運んでいた。


 転移者の2人が、彼ら6人について、どれだけ覚えているのか分かったものではない。


 ウサギの亜人であるアジュレンと、ヒョウの亜人であるメイノーマの事を覚えていない可能性の方が高いと思われる。


 ウィルザイアは、椅子の後ろでユラユラと動かしていたメイノーマの尻尾を、スカートのような腰巻きと一緒に突然掴んだ。


 掴まれたメイノーマは、顔を引き攣らせるほどにびっくりした。


「ぶ、ミャーっ!」


 メイノーマが訳の分からない奇声をあげて立ち上がり、座っていた椅子は後ろに倒してしまった。


「にゃ、にゃにするじゃ!」


 突然、尻尾を掴まれたメイノーマは、呂律が回らず聞き取りにくい言葉になっていた。


「ああ、ごめん。子供なら、こんなこともするかなって思ったら、つい」


 メイノーマは顔を赤くしたままウィルザイアを睨んでいるが、ウィルザイアは気にするような様子もない。


 女子同士が、男子とはしない戯れをするようなつもりでメイノーマの尻尾を握ったのだ。


「尻尾はデリケートなんだぞ。ウィルザイアだって、突然、胸を私に掴まれたらどうするんだ! それに、お前は、尻尾の付け根のあたりを掴んだだろ。お尻に近い部分は特に敏感なんだ。その辺りは、気を許す相手にしか触らせちゃいけないんだそ!」


 メイノーマは、ウィルザイアに握られた部分を大事そうに自分の手で、隠すように覆っていたので、お尻の下半分と股間を隠すようにしていた。


 それをアジュレンは青い顔で見て、そして、長い耳を両手で隠すようにして覆っていたが、体の小さいアジュレンの手も小さかったので、耳を覆い隠す事ができずにいた。


「お、俺の尻尾は短いから、ズボンの中に隠しているけど。だからと、言って、耳を、……。触らせないからな!」


 メイノーマの後は、自分の耳を握られそうだと思ったアジュレンは警戒しつつ言った。


「でしょ。ほら、亜人と人属では、色々な部分で違う反応をするでしょ。そういった事も含めて指導するって事だと思うわ」


 アイカペオラとストレイライザーは、メイノーマとアジュレンの様子を見て納得したようだ。


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