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セルレイン達の常識 6


 ウィルザイアは、以前、自分が魔法紋について勉強しようと思ったことがあり、頑張って勉強した事があったが、魔法文字も、その文法もウィルザイアには全く理解できなかった。


 要するに、ウィルザイアは、魔法紋の勉強をしたが、その難しさから自分には理解できない内容なので無理だと挫折していた事もあって、魔法紋と聞いて、転移してきてから1年程度で理解てしまうとは、いくらなんでも早すぎると思ったようだ。


 そのウィルザイアの表情には、話に胡散臭さいと思っている様子が窺えて、エリスリーンは、論より証拠だと思ったのかソファーから立ち上がると自分の執務机に行き引き出しの中からスクロールを持って帰ってきた。


 そして、持ってきたスクロールをウィルザイアに見せた。


「このスクロールは、失敗品なのだが、お前さんは、この失敗した箇所が見つけられるか?」


 それは、以前、シュレイノリアが、間違いを指摘したスクロールだった。


 テーブルの上に置かれたスクロールには、円と五芒星が描かれ、隙間には文字が描かれている。


 そのスクロールを、ウィルザイアは確認するが、どこに誤りがあるかなんて理解できずに眺めていた。


「無理ですよ。こんなに沢山の羅列を全部確認するなんて、早い人でも30分はかかりますよ」


 エリスリーンは、ウィルザイアの言葉を聞いて納得した表情をした。


 専門家に見せてもそうなるだろうと、エリスリーンも思っていた。


「そうなんだ。私も同意見なんだがな」


 エリスリーンは、そう言うと考えるような表情をした。


「シュレは、このスクロールを見せて、直ぐに間違いを指摘したんだよ。話をしながら、スクロールを確認していたら直ぐに見つけて指摘してきたわ。そうね、2分、いえ、1分なんて掛かったのかしら」


 それを聞いて、ウィルザイアは信じられないと笑い飛ばそうとしたのだが、エリスリーンの真剣な表情から、まさかと思った様子で、そのスクロールをもう一度確認し始めルガ、その魔法スクロールのミスを全く見つけられずにいた。


 その様子をエリスリーンとセルレインが見ていたが、一向にウィルザイアが、そのスクロールのミスの箇所を見つけることができずにいた。


 しばらくして、ウィルザイアの様子を見ていたセルレインが痺れを切らせた。


「おい、そろそろ3分は経ったぞ。まだ、やるのか?」


 スクロールと睨めっこをしているウィルザイアにセルレインが聞いたが、言うほどの時間は費やしてはいなかった。


 しかし、ウィルザイアには、自分には理解できないと分かったが、魔法士としてのプライドが、諦めるきっかけを見出せずにいたのでセルレインの言葉に助けられたと思ったようだ。


「あー、無理。私には、分からない単語も有るから、欠陥の部分は分からないわ」


 ウィルザイアには、書かれた魔法文字を全く読み取ることが出来なかったのだが、部分的に読めない部分があって見つけられないと言い訳をした。


 ミスの箇所を見つけることは出来なかったウィルザイアについて、エリスリーンは何も気にする様子は無かった。


「シュレは、簡単に見て不具合の箇所を指摘したわ。だから、シュレは魔法だけでなく魔法紋も覚えてしまったのよ」


「あのー、それって、達人の域に、……。いえ、神域に近いレベルですよ」


 ウィルザイアは、本気でシュレイノリアの魔法力について、どう考えても自分より上だと思ったようだ。


「あのー、私は、魔法を教える必要は無いですね」


「そうね」


 エリスリーンも肯定するので、ウィルザイアは、とんでもない天才を押し付けられていることに気がついた。


「でも、魔物との戦いは、魔法の攻撃力だけでは立ち行かなくなるわ。だから、あなた方には戦略と戦術について2人に教えてもらいたいのよ」


 そう言われると、2人も納得したようだ。


 強い新人冒険者が現れた時でも実戦経験が低い時は、思ったような成果を上げられてないことが多い。


 ベテランにはベテランの戦い方があり、力任せに戦うのではなく相手の弱点を徹底的に突いて自分達の生存率を上げることを最優先に考える。


 新人は自分の力を過信して力任せに戦おうとするので、戦い方が悪く効率も悪い。


 そんな新人冒険者だけで魔物と戦わせて痛い目に遭うだけなら良いが場合によっては命を落とすこともある。


 ギルドとしては、ジューネスティーンとシュレイノリアの2人には、死んでもらう訳にも怪我をさせる訳にもいかないこともあって、セルレイン達に冒険者の基本を叩き込んでもらいたいと考えていた。


「まあ、そういうことなら、その2人の能力を上手く活かせる方法を、俺達のパーティーで教えるってことですか」


 セルレインは、エリスリーンに話すのではなく独り言のような言い方をした。


 それを聞いたエリスリーンは、自分の考えている方向に進み出したと思ったようだ。


「ねえ、セルレイン。そうなると、2人の能力をしっかり測る必要があるんじゃないの?」


「ああ、そうなるな。2人の能力に見合った戦い方を考える必要があるから、最大火力を確認しておく必要があるな」


 その2人の話を聞いて、エリスリーンは、少し焦ったようだ。


「2人とも、ジュネスとシュレの魔法を確認するなら、それは、南の海辺、そう、海面に向かってとか、西の砂漠で試してくれないかしら。それと周囲に被害が及ばないように配慮してくれると助かるわ」


 エリスリーンの言葉に2人は、何の事だというような表情をした。


「せめて、魔法を放つ方向に人や建物が無い場所に向かって放つようにさせてくれないか」


 セルレインとウィルザイアは、何の事だというような表情をしてお互いの顔を見た。


 2人ともエリスリーンが、何でそんな事を言うのか理解できてないという表情で相手が何か意見を言ってくれる事を望んでいるようだった。


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