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セルレイン達の常識 5


 セルレイン達のパーティーにジューネスティーンとシュレイノリアを預けることを了承させる事ができたことで、ギルドマスターのエリスリーンは、ホッとしていた。


「ありがとう、セルレイン」


 エリスリーンは、肩の荷がおりたというように伝えたので、ギルドマスターであるエリスリーンの謝辞に、セルレイン達は少し戸惑ったようだ。


「あ、いえ、こちらとしては、依頼を受けたというだけですから、これから、あの時の少年と少女を、どこまで鍛えられるかでしょうから、報酬の金額に似合った仕事をしてみせます」


「そうですよ。私達は、報酬に目が眩んで引き受けただけですから、ギルマスが、そんなにかしこまらないでください」


 ウィルザイアの報酬に目が眩んだは、セルレインには面白くなかったようだが、エリスリーンとしたらホッとする一言だった。


 その事もあったのかエリスリーンは、伝えなければならないと思ったことが頭に浮かんだようだ。


「ありがとう、ウィルザイア。でもね、あの2人に魔法は教える必要は無いわ」


 ウィルザイアは、何でなのといった表情をした。


「あの子達の魔法力は、きっと、大陸のどの魔法士も敵わないわ。もう引退して、森で余生を送っていると言われている、伝説級の魔法士であるネイアリーンでも敵わないと思うわよ」


 その名前を聞いて、ウィルザイアが青い顔をした。


 魔法士なら、どこかで聞いたことのある伝説級の大物魔法士の名前なのだ。


「2人は、彼女以上の魔法力を持っていると思うわ。それは、全盛期の彼女でも敵わないほどだと思われるの」


 そこまで聞いて、ウィルザイアが手を挙げた。


「あのー、ギルマス? ネイアリーンさんって、冒険者として地位を確立して、その後、魔法能力の高さから各国の魔法指導を行ったりしたと言われていた、あのネイアリーンさんですよね。今度の転移者の2人は、それ以上だと言うのですか?」


 ウィルザイアは、信じられないといった様子でエリスリーンに聞いた。


「ああ、シュレイノリアの魔法の圧倒的な強さは、……。ネイアリーンは、今年で、431歳だったかしら。もう亡くなっているかもしれないけれど、私は全盛期のネイアリーンの魔法を見ているのよ。シュレの魔法は、あれ以上の強さだと思っているわ」


 すると、エリスリーンは、何かを思い出したような表情をした。


「そういえば、ネイアリーンの弟子という冒険者が現れたって、ギルドの報告会で言ってたわね。確か、ウィルリーンと言ったと思うわ。話を聞いていると、かつてのネイアリーンと肩を並べると言ってたから、ネイアリーンと同等だと思うわ。まあ、それだけでも立派なものだと思うけど、私の見た限りでは、ネイアリーンよりシュレの方が魔法力は上だと思うわ」


 エリスリーンは若い頃のネイアリーンの魔法力を見た時の事を思い出すように言うのだが、シュレイノリアはそれ以上の魔法力だと聞くと、ウィルザイアは伝説級の魔法士に弟子が居たという事実にも驚いたようだが、これから預かるシュレイノリアが、その伝説級の魔法士以上だと聞くと顔を引き攣らせていた。


 そんなウィルザイアを、エリスリーンは、気にする様子も無く話を続ける。


「それにシュレは、魔法紋にも精通していたわ」


 ウィルザイアは、有名な魔法士のネイアリーン以上だと言われて驚いていたが、それ以上に魔法紋にも精通していると聞いて、引き攣った顔が青くなったようだ。


 そして、魔法紋まで精通していると言われて、ウィルザイアは信じられないというような表情をした。




 魔法紋のスクロールは、円と五芒星の組み合わせではあるが、そこには魔法の前段階の工程などを書き記されている。


 しかも、専門の文字を用いて書かれるので、その文字の意味も含めて、シュレイノリアは、転移してから1年でマスターしていることになる。


 転移者は、この世界の言語を話せないと、ウィルザイアも知っているので、シュレイノリアは言語をマスターしつつ、それ以上に難しいとされる魔法紋に使われる専門の文字も理解してしまった事になる。


 魔法紋の文字については、場合によっては、同じ物を書き写すような事もされるので、文字にも単語にも、そして、文法にまで短期間でマスターしてしまえるなんて話は聞いた事が無いというのが実情であり、そして、魔法についても伝わっているだけで魔法がなんで発動するかとか基礎的な研究は解明されてない。


 文明レベルの低い部分もあり、使えるからそれでいいだろう程度になってしまっている部分が多々ある。


 魔法は、使える人には使えるが、使えない人には何も起こらないという常識の中で、魔法を使える人から詠唱を聞き、魔法が使える人が呪文通りに詠唱したら魔法が発動する程度にしか解明されてない。


 ましてや、魔法スクロールに描く魔法紋については、完成したスクロールを絵を描くように手書きで写すだけなのだ。


 そのため、文字の間違いなどは発生する事もあり、発動しない魔法スクロールも存在した。


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