表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/1356

セルレイン達の常識 3


 エリスリーンは2人に現金だけで解決したいと思っていたので、本部の方針などは、あまり、セルレイン達に話しておきたいとは思っていなかった。


 それは、本来ジューネスティーン達に対しては、ギルド本部からの支援もあるので、セルレイン達のパーティーには対人戦闘を本気で行ってもらおうとは思っていなかった。


 対人戦闘については、ギルド本部が請け負う事になっており未然に防ぐようになっており、セルレイン達には近寄ってくる冒険者からの誘いに対するガードとなって欲しいことと、純粋に冒険者として自立できるようにして欲しいと考えていた。


 しかし、2人は深刻そうな表情をしていたので、エリスリーンは気になった。


「あのー、ギルマス。2人の少年と少女を、うちのパーティーに入れたら、俺達が、そのー。……。誘拐犯達から、2人を守らないといけないのではないですか?」


「そうですよ。場合によっては、対人戦になるんじゃないですか」


 2人は、冒険者であって人と戦うような事は無かった事もあり、その心配をエリスリーンにぶつけてきた。


 それを聞いて、エリスリーンは、その心配について伝えなければならないのかと仕方なさそうな表情をした。


「その心配はない。そんな事までギルド支部として、あなた達に、お願いするつもりはないから安心して。あなた達は、冒険者なのだから人と剣を交えるような事は無い事も知っているわ。だから、対人戦闘は考えなくて構わないわ」


「そう、言われてもなぁ」


 その言葉を聞いても、セルレインは、イマイチ納得できてないという表情をしていたのでエリスリーンは仕方無さそうな表情をした。


「ジュネス達の誘拐を考え実行できる組織となったら、小さな組織とは考えにくいわ。個人が彼らを誘拐するにしても、その後ろには何らかの組織があるはずよ。その辺の情報は、あなた方よりギルド本部の方が集めやすいから、そんな連中にはギルド本部が対応するので、あなた方の前にジューネスティーン達の誘拐犯を近づけさせる事はないわ」


 セルレイン達はギルド本部も動いている事を知ると少し安心した。


「だから、あなた方には純粋に冒険者としての基本を教えてもらう事と、別の冒険者から引き抜きにあうことがないようにして欲しいの。まあ、魔物から不要な攻撃を受けないようにだけは注意してもらえると助かるかしら」


 そこまで聞くと、セルレイン達は落ち着いてきた。


「ギルドとしても、今回は、今まで以上に気を遣っているのよ。だから、あなた達の邪魔にならないようにして、2人を護衛にあたるようになっているわ。それに、各国の非合法要員と、その配下についての情報を集めるのなら、ギルド本部なら簡単だけど、あなた方には、そんな情報を集めるネットワークも無いでしょ」


 セルレイン達には各国の情報部員なり非合法要員なりについて知る術が無い。


 そして、各国の情報部が冒険者に見分けられるような事は無く、対人戦闘用の訓練も受けている事から、魔物と戦う冒険者では太刀打ち出来ない。


 対人戦闘に長けた各国の情報部員と、魔物を狩る冒険者では武器の扱い方も身体の使い方も違う。


 対人戦闘の訓練を受けた各国の情報部員と、始まりの村の冒険者では相手にならないだろう事をエリスリーンには分かっていた。


「そう言った面倒事はギルドが引き受けるので、あなた方は安心してジュネスとシュレに冒険者の基本を教えて貰えば構わないわ」


 セルレインは、そこまで言われると、なる程といったような表情をした。


「そうですね。俺達は、魔物と戦うことには慣れているけど、人と戦った事は無いし、人に襲われるなんて事を考えて行動した事なんてなぁ」


 そう言って、セルレインはウィルザイアを見た。


「そ、そうね。そんな面倒な事は、私達には不向きよね」


 ウィルザイアも、自分達が対人戦を行わない方向に話が進んでくれたことに安堵したようだ。


「でも、あれから1年しか経ってないのよ。成人してない子供に、魔物と戦わせるなんて、……。何だか、ちょっと背徳感があるわ」


「そうだ、2人の歳なら、まだ、幼年学校の方が良いんじゃないですか」


 ウィルザイアの話を聞いてセルレインも同意するように頷いた。


「それも、そうなんだけど。でも、2人は、転移者だから、学校に入れるにしても年齢的な事もあるのよ」


 幼年学校は、6歳から15歳までの子供が通う学校なので、ジューネスティーンもシュレイノリアも、年齢的には幼年学校に通う年齢だ。


 その事をセルレインは指摘してきた。


「ええ、そうなのだけど、今まで、転移者を幼年学校に入れても、浮いてしまうのよ。大体、馴染めずに少しすると行きたくなくなってしまうのよ」


 エリスリーンは、面白くなさそうに言った。


「どうも、ある程度すると授業内容を聞いていても、つまらなそうにして面白くなさそうなのよ。それで、試験をすると好成績を出すから、どうも、授業内容が簡単すぎるみたいなの」


 セルレイン達は、それを聞いて、そんなものなのかと思ったようだ。


「なので転移者は学校に入れず言葉を覚えたら、それぞれの道に進ませているのよ。だから、あの2人は、あなた方のパーティーで冒険者になるための基本を覚えてもらいたいの」


 そこまで言われると、セルレイン達は断る理由がなくなってしまっと思ったようにお互いの顔を見た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ