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パワードスーツの汎用性

 

 ジューネスティーンは、10m級の魔物を撃ち倒したライフルを、パワードスーツを着たカミュルイアンとアンジュリーンを使って取り外していた。


 砲身が2mも有るライフル銃なので、背中のアタッチメントだけでは固定出来なかった事と、照準を付けることも含めて、腕の盾を装備する為のアタッチメントを使って固定させたのだ。




 そのライフル銃の取り外しを手伝っているアンジュリーンが愚痴をこぼす。


「ねえ、ジュネス。 この方法だと、遠距離狙撃なら大丈夫かもしれないけど、取り外しにこれだと、すぐに近接戦に入れないわよ。 もっと別の方法を考えたほうがいいんじゃないの? 」


 先程、レィオーンパードが言っていた事と同じ内容を、アンジュリーンも指摘した。


「確かにそうだな。 パワードスーツを砲台のように使えば、意外に上手くいくかと思ったけど、取り外しのことまで考えてなかったよ。 腕や足の固定とか、体全体の固定まで、考えて魔法紋も最初から設計しなおしたのに、今回のような時なら良いけど、伏兵がいたら、多分、何もできないで終わりそうだな」


 ジューネスティーンも納得した様子で答えた。


「そうよ。 これは、ちょっと、問題があるわ」


「そうだな。 パワードスーツの魔法紋は、全部元にもどして、ジェスティエンさんのように、両手で持って使うようにするか」


 アンジュリーンと話をしていると、パワードスーツから降りた、レィオーンパードが寄ってきた。


 レィオーンパードも、アリアリーシャと同ように、全身にピッタリフィットする全身水着のようなインナーの上に、胸に前びらきのベストと、腰には、ホットパンツを履いていており、アリアリーシャとの違いは、腰のホットパンツだけだった。


「にいちゃん。 あの魔物だけど、弾丸が首の辺りに当たったと思ったら、首から上が吹っ飛んでいったよ」


 魔物に着弾した時の一部始終を見ていたレィオーンパードが、その時の状況を伝えた。


「ああ、今度の弾丸には、魔法紋が描かれているんだ。 弾丸が、空気を感じているときは、発動しないけど、何かに当たった瞬間に爆発の魔法紋を描いていたんだ。 じゃあ、うまくいったんだな。 てっきり、ライフリングで魔法紋が削られて発動しないかもしれないと思ってたんだが、うまくいったんだな」


 ジューネスティーンは、満足そうに答えた。


「魔法は、シュレ姉ちゃんが何でも作ってたけど、にいちゃんも姉ちゃんと一緒で、何でも作っちゃうね」


「まあ、シュレだったら、もっと簡単に作れたかもしれないな。 俺は、魔法のようなソフトウエアは、苦手な方だから、シュレほど上手じゃないよ」


 すると、アンジュリーンとカミュルイアンが、ライフル銃をアタッチメントから外して、地面に下ろしていた。


 パワードスーツで、しゃがみ込むのはちょっと苦しそうである。


「ライフル銃は、下ろしたわ。 じゃ、私たちもパワードスーツを脱ぐわね」


「ああ、そうしてくれ」


 アンジュリーンとカミュルイアンは、パワードスーツを少し浮かせると、そのまま、地面を滑るように2m程下がった。


 2人のパワードスーツは、アリアリーシャやレィオーンパードのように、ホバーボードではなく、足にホバー機能を持たせてある。


 中衛を担っているので、ホバーボードのように持ち運ぶような物ではなく、直接足にホバー機能を取り付けている。


 その為、ホバーボード程の性能は出せない。


 ジューネスティーンは、2人が下がったのを確認すると、パワードスーツの右掌をライフル銃に向ける。


 すると、ライフル銃の下に光りの魔法紋が出ると、その中にライフル銃が沈んでいった。


 ライフル銃が沈み終わると、魔法紋は消えてしまった。




 その間に、アンジュリーンとカミュルイアンも魔法紋を展開して、パワードスーツのハンガーを出していた。


 アリアリーシャの物と同じハンガーが出てくると、パワードスーツで、ハンガーの中央の口の字の中に移動し、先程のアリアリーシャと同ように、ハンガーから腰の部分を固定するシリンダーが伸びて、パワードスーツの腰に当たり、パワードスーツを固定すると、空気の抜ける音がして、腰から手前に曲がって、腰と背中のジョイントが開いた。


 僅かに中の人の腰が、その隙間から見えた。


 腰と背中が開くと、今度は、背骨に沿って、背中が観音開きで開くと、その中に、先程のアリアリーシャと同じような格好のアンジュリーンの背中が見えた。


 アンジュリーンは、頭をそらしつつ、体も腰を中心にそらして、腕を引き抜いた。


 勢いをつけて、体をまっすぐになるように立った。


「やっぱり、パワードスーツは、中にあるインナーが重要なのね。 パワードスーツと私の体が、ピッタリと、フィットするインナーで、固定されるから、脱いだ時の開放感が違うわね」


 そう言って、自分の長い金髪の髪をかき上げる。


 パワードスーツから出てきたアンジュリーンは、まだ、少女のような顔立ちで、10代半ばのように見える。


 その10代半ばの顔の左右には、横に長く伸びた耳がある。


 先程のアリアリーシャの耳は、上に伸びていたが、アンジュリーンの耳は、横に10cm程あり、耳元は、広がっていくのだが、すぐに、先の方にいくと細くなり、先端が尖ったように見える。


 アリアリーシャの、先の方が丸くなっているウサギの耳で、上に立っていたり、後ろに流すように耳元から折り曲げたりしている耳とは異なり、アンジュリーンの耳は、左右に伸びていた。


 その先端の尖っている耳は、悪魔のように威圧するような耳ではなく、どことなく温かみがうかがえる。


 アンジュリーンは、エルフ属なのである。


 見た目は、若くは見えるが、長命なエルフなので、見た目年齢が、10代半ばと若く見えても、実年齢では40歳を過ぎているのだ。




 アンジュリーンは、上半身を直立させると、上から、ワイヤーに吊られた取っ手が降りてくるので、それに捕まった。


 取っ手に捕まると、ワイヤーが巻き上げられて、アンジュリーンの体を引き上げられるので、パワードスーツから身体が引き上げら、パワードスーツに隠れていた下半身が現れた。


 アンジュリーンも、アリアリーシャと同じように、全身にピッタリフィットする、全身水着のようなインナースーツに、胸の膨らみを隠す程度のベストと、ギリギリ股間を軽く隠す程度のスカートをつけていた。


 ワイヤーで釣り上げられると、スカートが上に上がってしまい、股間が隠れなくなってしまうほどに短いスカートなのだ。




 足が、動かせる程度に体が上がると、腰の縁に足をかけて、ふくらはぎの跳ね上がっている第二装甲の上に足を下ろす。


 ふくらはぎの第二装甲から、後ろに降りると、パワードスーツに右手をかざすると、パワードスーツの背中が閉まって、ふくらはぎの第二装甲も下がり、パワードスーツの上半身を直立に戻った。


 開いた腰も閉ざされて、ロックされると、パワードスーツは、直立状態のままハンガーの中に立った状態で固定されている。


 アンジュリーンは、ハンガーから離れると、今度は、ハンガーの地面の方に右手をかざした。


 すると、地面に光の魔法紋が現れて、パワードスーツは、そのハンガーごと、光の魔法紋の中に沈んでいってしまった。


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