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突然の休日


 フェイルカミラによって、冒険者パーティーの在り方について正論を唱えられたのだが、一瞬、その内容によって、ジューネスティーン達にも緊張が走ったが、それは、フェイルカミラが性格的に正論を伝えたのであって、他意は無い事を聞いてホッとしていた。


 正論については、常に誰かが唱えなければならない。


 簡単なルール違反は、大きなルール違反を生む事になる。


 特に、リーダー格の人については、自分を律する事ができないと、徐々にルール無視が、メンバーへのハラスメントにつながる事がある。


 フェイルカミラは、嫌な役目ではあるが、メンバー達全員が長くパーティーとして活動できるようにとなれば、リーダーであろうと、正論を伝えて規律を正すようにしていたのだ。


 その辺りが、冒険者以外からも人気を得ているパーティーと言える。




 フェイルカミラの話が終わると、ちょうどよく、ルイゼリーンが、職員を連れて部屋に入ってきた。


「あら、今日は、1人足りませんけど、どうかしましたか? 」


 ルイゼリーンが、アメルーミラの不在に直ぐに気が付いて声をかけてきた。


 ジューネスティーンは、若干、困ったような表情をした。


「昨夜、突然消えてしまったんです。」


 その答えを聞くと、ルイゼリーンは、一瞬、表情をこわばらせた。


(どういう事? ・・・。 用事が済んだというの? まあ、いいわ。 あの程度のスパイなら、ジュネス達でも問題無いということも分かったのだから、・・・。 それに、これで、帝国軍への情報が流れる事は、難しくなったと判断していいのか。)


 だが、すぐに表情は戻った。


「それでは、今回の報酬の分配の変更は無しでいいですね。」


 ルイゼリーンは、報酬について、考える必要は無かった。


 戻った時にパーティー同士で折半と決まっていたので、ルイゼリーンがアメルーミラの不在によって、計算を変更する必要はないので、そんな事を言う必要はないはずなのだが、ジューネスティーンに、アメルーミラへの支払いをどうするのか決めなさいと、暗に伝えたのだ。


 ルイゼリーンは、ジューネスティーンの様子を伺うようにしつつ、テーブルについた。


「あ、そうだ、ルイーゼさん。 ルーミラのギルドの口座に入金することは可能ですか? 」


「ええ、アメルーミラさんは、こちらでギルドに登録しておりますので、お金さえ用意してもらえれば、直ぐに口座に入金可能です。」


 ジューネスティーンは、良かったと思ったようだ。


 そして、その様子をルイゼリーンは、見逃さなかった。


「あ、場合によっては、荷物も運ぶ事が可能です。 その場合は、少しお値段が張りますが、可能ですよ。 ただ、受け渡しは、ギルドになります。」


 それを聞いて、ジューネスティーンは、少し表情が和らいだ。


(なら、アメルーミラの荷物を送ることができるのか。 後で、女子達に頼んで、アメルーミラの向かった先のギルドに送ってもらおう。)


 ジューネスティーンは、ホッとした様子をした。


 その様子をアンジュリーンとアリアリーシャが見ていたのだが、お互いに何かに気がついた様子で、お互いを見た。


 視線を合わせると、お互いが何を考えていたのか理解でき、なおかつ、考えていることは一緒だと思ったようだ。


「ねえ、ジュネス。」


 アンジュリーンが、声をかけたので、ジューネスティーンは、アンジュリーンを見た。


「ねえ、今日は、この後、金糸雀亭に戻らない? 」


「私もぉ、アンジュのぉ意見にぃ賛成ですぅ。」


 2人は、コアを届け終わった後に、金糸雀亭に戻る事を提案してきた。


 ジューネスティーンも2人の考えていることが分かったようだ。


「そうだな。」


 答えると、ジューネスティーンはユーリカリアを見た。


「すみませんが、今日は、コアを届けたら金糸雀亭に戻るようにしますが、よろしいですか? 」


 ユーリカリアに確認するように聞くと、ユーリカリアも分かっているといった表情をした。


「ああ、今日は、私たちだけで、魔法の練習をするよ。 だから、お前達は休みでいいぞ。」


 ただ、そんな中、がっかりしたような表情をしているものがいた。


「あの! リーダー、今日は私も休みにしたいです。 ひっ! 」


 突然、シェルリーンが、ムッとしたような表情で、自分も休みにすると言い出した。


 だが直ぐにウィルリーンが、シェルリーンの頭を鷲掴みにした。


 その掴まれた頭の痛さにシェルリーンは悲鳴をあげていた。


「お前は、何で、休みにする必要があるんだ! 」


 ウィルリーンがドスの効いた声で、シェルリーンに言った。


「だ、だって、カミュルイアン様が休むなら、私も一緒に休んで、ごほうしって、痛い、痛い、痛い。」


 ウィルリーンの表情が、誰もが激怒していると分かった。


「お前は、性欲しかないのか! 」


 そして、シェルリーンの頭をもっと強い力で掴んだので、シェルリーンは、泣きながら、とんでもない悲鳴をあげていた。


「おい、ウィル、その辺にしておけ。」


 ユーリカリアが、ウィルリーンを止めたので、ウィルリーンも手を緩めたので、シェルリーンは、慌ててウィルリーンの手の届かないところへ逃げた。


 その先には、フェイルカミラが居て、シェルリーンの肩を両手で支えるように押さえた。


「酷いです。 ウィルねぇ! 」


「いや、今のは、シェルが悪い。」


 シェルリーンが、不満を言うと間髪入れずに肩を支えるように持っているフェイルカミラが言う。


「そうだぞ、お前が悪い。」


 フィルルカーシャも、シェルリーンが悪いと言ったので、シェルリーンは、仕方なさそうな表情をした。


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