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ジュネス達の対応


 ルイセルが、部屋を出た後、ジューネスティーンの判断がどうなのか、周りは気になったようだが、ジューネスティーンは、シュレイノリアを気にしていた。


「シュレ、どうだ? 」


「・・・。」


 シュレイノリアは、目を閉じて瞑想するような表情をしていた。


 すると、ノックされたので、アリアリーシャが、様子を見に行った。


 戻ってくる時には、カミュルイアンが、一緒だった。


 カミュルイアンは、中の様子がおかしいことに気がついたようだ。


 そして、カミュルイアンは、いつものように、レィオーンパードに、話を聞こうと思うのだが、様子が変だったこともあり、小声で、アリアリーシャに聞いていた。


 アリアリーシャも、周りに聞こえないように、気をつけて、カミュルイアンに状況を説明していた。




 状況が理解できたカミュルイアンも、何か、納得するような表情をし、シュレイノリアの次の言葉を待っていた。


 すると、シュレイノリアは、目を開いた。


「この周辺には、アメルーミラは、居ない。 多分、帝都には居ないと思う。」


 シュレイノリアの言葉に、周りは、それぞれの思惑に応じた反応をしていた。


「シュレ、それは、生きていると言うことか? 」


「サーチに、引っかからない。 帝都に居ないというだけだ。 昨日の今日なら、死んでいても引っ掛かる。 だが、引っ掛からない。」


 シュレイノリアは、魔法によって、アメルーミラを探していたのだが、シュレイノリアの魔法では、アメルーミラを、帝都の中で、見つけることはできなかったのだ。


 ジューネスティーンの質問にシュレイノリアが答えると、その答えを聞いて、ジューネスティーンは、考えているようだ。


「なあ、シュレ。 それは、帝都周辺も含めてなのか? 」


「そうだ。 帝都の南側にも居ない。 ここから、半径10kmの範囲には居ない。 その先は、今は見ることができない。」


 シュレイノリアは、様々なものには、微量の魔素が漏れており、それは、個々に特有のものがある。


 シュレイノリアは、自分の知っている人なら、その人の持つ特有の魔素を辿って、探すことができたのだが、その魔法を使っても、アメルーミラを探すことはできなかったのだ。


「ねえ、それって、昨夜のうちに、アメルーミラは、帝都を出て行ったってことよね。 それって、少し変じゃないの? 」


 ジューネスティーンとシュレイノリアの話を聞いていた、アンジュリーンが、話に入ってきた。


「そうですぅ。 帝都の門はぁ、夜は閉められているはずですぅ。」


「それに、この第9区画から、他の区画へ行く門も、夜は、閉めているはずだから、夜の移動なら、記録が残っているはずだよ。」


 アンジュリーンにつられて、アリアリーシャとカミュルイアンも話に入ってきた。


「だが、シュレのサーチに引っかからないなら、他の区画へ行く門を使ったとは思えないな。 使うとなったら、南門から、帝都を出たと考えられる。」


「だったら、南門に確認に行ったら、アメルーミラが、夜のうちに帝都を出たかどうか、確認できるんじゃないの。」


 それぞれが、お互いに思った内容を話してくれたので、その話の内容から、ジューネスティーンは、徐々に条件が絞られていった。


 そして、アンジュリーンもアメルーミラの行方を探す手がかりに気がついたようだ。


「そうなるな。 ただ、それは、帝都を出たという確認だけで、何で、帝都を出たのかは、また、別の話になるな。」


 今の確認を行ったとして、アメルーミラが、帝都を出たという確認はできたとしても、突然、出ていった理由は、分からない。


(いや、ルーミラは、恐らく向かいの宿に泊まっている、帝国軍情報部の奴隷だったのか。 だったら、突然居なくなった理由は、その情報部の命令によってとなるのか。 しかし、何でだ? )


 ジューネスティーンは、アメルーミラが、帝国軍情報部の奴隷であって、パーティーに潜入していることは、シュレイノリアの魔素の検知によって、見ることができない奴隷紋を刻まれているのだろうと結論づけていた。


 それは、シュレイノリアが、アメルーミラから漏れている魔素の中に、人の持つ魔素以外の何かを見つけたことに起因する。


 その結論として、アメルーミラは、帝国軍情報部の奴隷となっていて、自分達のパーティーに潜り込まされていると結論付けている。


 そうと分かっていて、アメルーミラをパーティーに入れたのは、断ったとしても、また、別の方法で、パーティーに潜入させようとするだろうと考えたからだ。


 ある程度、情報を渡すことで、本当に隠したいことを隠すつもりでいたので、アメルーミラを利用して、徐々に、情報を小出しにすることで、現状の情報収集能力だけで、問題無いと、帝国軍に思わせるつもりでいたのだ。


 ジューネスティーンとしたら、ギルドから秘密の依頼があり、その為には、それなりに、帝国に情報を渡す必要がある。


 ただ、全ての内容を完全に曝け出すことは、むしろ、逆に戦力の強さが知れてしまい、むしろ、帝国に取り込まれる可能性なり、知名度が低い事をいいことに消されてしまう可能性も考えられた。


 そのようなこともあり、警戒しつつ、ギルドの秘密の依頼に対応するため、帝国には、徐々に情報を、流すようにしていたのだ。


(もう、情報集めの必要が無くなったから、ルーミラは、お払い箱になったというのか? ・・・。 奴隷の身分なら、また、奴隷商に売り渡してしまう・・・。 奴隷商に売り渡すなら、帝国内の方が都合が良いのか。 ・・・。 ん? だったら、向かいの帝国軍は! )


 ジューネスティーンは、シュレイノリアを見る。


「シュレ。 向かいの、いつもの監視者は、どうなっている? 」


「ああ、いつも通り、玄関先のラウンジに居る。」


 シュレイノリアは、言われると思ったのか、もう、調べが付いていたというように、聞かれてすぐに答えた。


(奴隷商に売るなら、監視者も一緒のはずだな。 どういうことだ? )


 ジューネスティーンは、疑問が出たようだ。


(ルーミラは、自分の意志で、帝都を出たのか? ・・・。 そうなると、今日、このまま、6人でギルドに向かったら、・・・。 そうか、その様子を確認できれば、おおよそ、ルーミラの置かれた状況も、条件が絞れることになるのか。)


 ジューネスティーンは、考えがまとまったようだ。


「ここで、考えていても仕方がない。 それに今日も、ギルドにコアを届けることになっている。 ユーリカリアさんを待たせても悪いから、朝食にしよう。」


 そう言って、ジューネスティーンは、立ち上がった。


 そして、他のメンバー達もそれに倣うように立ち上がって、後に続いた。


 ただ、レィオーンパードだけは、納得できないような表情のままだった。


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