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ルイセルの報告を聞くジュネス達


 ルイセルは、少し気が重かったのだが、そのまま、階段を上がった。


 行き先は、4階のスイートルームを使っている、ジューネスティーン達の部屋だ。


 昨晩、アメルーミラが、夕涼みに出てから、戻ってこなかった事をジューネスティーン達に伝えるためだ。


 冒険者のパーティーメンバーが、居なくなってしまったのだから、冒険者としたら、それだけで狩りのリスクは増えることになる。


 今まで、7人で行なっていた事を6人で行うことになるのだから、1人に対する負担は多くなる。


 一般的な冒険者パーティーなら、そうなるだろうが、ジューネスティーン達は、最初から、アメルーミラをパーティーメンバーとして使っていたわけではない。


 突然、金糸雀亭に来て、ジューネスティーン達に頼んで、メンバーに入れてもらったのだから、他の冒険者パーティーとは、抜けてしまった1人が、アメルーミラだった事から、大きな影響は出ないだろうと、想像はつくのだ。


 だが、突然、居なくなってしまった事を、ジューネスティーン達に説明をするのは、ルイセルにとっては、あまり、嬉しい仕事とは言えないのだ。


 そして、いつもジューネスティーン達が、降りてきて、朝食を取る時間も、わかっているので、ルイセルは、その時間より少し早めに、彼らの部屋を訪れた。


 ドアをノックすると直ぐに、中から声がしたので、ルイセルだと告げると、部屋の扉は直ぐに開いた。


「おはようございます。 ルイセルさん。」


 出てきたのは、ウサギの亜人であるアリアリーシャだった。


 アリアリーシャは、いつものように語尾を伸ばす言葉使いはせずにルイせるに挨拶をした。


「どうしましたか? 」


 アリアリーシャは、朝の時間にルイセルが、部屋を訪れたことが気になった様子で、聞いてきた。


「あのー、実は、アメルーミラさんが、昨夜から、戻ってきてないのです。 それを、ご報告に来ました。」


 その一言で、アリアリーシャの表情が変わった。


「状況を確認したいので、中に入ってもらえませんか? 」


「かしこまりました。」


 ルイセルは、アリアリーシャに言われるがまま、部屋に入った。


 アリアリーシャは、扉を閉めて鍵をかけると、奥にルイセルを連れて、部屋のリビングに行くと、そこには、ジューネスティーンが、椅子に座っていた。


 入ってきたルイセルにジューネスティーンは、気がつくと、表情が変わった。


「おはようございます。 ルイセルさん。」


「おはようございます。」


 2人が挨拶をしていると、アリアリーシャが、ジューネスティーンの脇に行き、小声で話をした。


 それを聞いて、ジューネスティーンは、納得するような表情をした。


「ああ、アリーシャ姉さん。 悪いけど、シュレを直ぐに起こしてきてもらえないかな。 それと、他も起こしてほしい。」


「分かったわ。」


 アリアリーシャは、直ぐに、ジューネスティーン達の部屋に入っていった。


 そして、ジューネスティーンは、ルイセルを椅子に座るように促して、ルイセルが座ると、話し始めた。


「アメルーミラが、昨晩から、戻ってこないのですか。」


 ジューネスティーンが、伝えると、ルイセルは、昨日からの様子と、アメルーミラが、よく、夜になると、夕涼みと言って、外に出ていた事を話た。


 そして、昨日も、いつものように戻ってくると思って、外に出したのだが、いつまで経っても戻ってこなかった事を、丁寧に説明を行った。


 その説明の間に、メンバー達も次々と起きてきて、ルイセルの話を聞いていた。


 ただ、ジューネスティーン達のメンバーには、慌てた様子は無かった。


「なるほど、状況は分かりました。 アメルーミラの事は、自分達の方で、探してみます。 ですので、アメルーミラの部屋は、今日まででチェックアウトしたことにしてください。 それと、部屋の中の荷物とかを確認しますから、朝食の後にでも、確認させてください。」


 ジューネスティーンは、あっさりと、答えた。


 あまりにあっさりしているので、むしろ、ルイセルの方が、焦っているようにも見えた。


「あのー、アメルーミラさんは、亜人ですから、奴隷商にさらわれたのではないでしょうか。」


 ルイセルが、最悪の結果になった時の事を口にした。


「大丈夫です。 そうなったとしても、何とかしますので、安心してください。」


「そうですか。」


 ルイセルは、不安そうな様子で答えた。


(ルーミラは、奴隷のはずなんだ。 おそらくは、向かいの帝国軍情報部の人の奴隷になっているはずなんだ。 そうなると、夜に夕涼みに出たのは、その人との情報交換のはずなんだ。 ツカ辺境伯領では、接触した形跡は無かったけど、今回だって、きっと、向かいの帝国軍情報部の人と会ってたはずなんだ。)


 ジューネスティーンが、何かを考えるような様子をしていると、シュレイノリアが、ジューネスティーンの肩を叩いた。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアを見ると、シュレイノリアは、何か分かったような表情をしていたので、ジューネスティーンは、ルイセルの方を見た。


 ルイセルは、不安そうにジューネスティーンを見ていた。


「ああ、ルイセルさん。 アメルーミラは、多分、大丈夫です。 それと、自分達は、これから、朝食を取りたいので、お願いできませんか? 」


「そうですか。 ・・・。 だったら、私は、これで。」


 そう言って、ルイセルは、立ち上がると、ジューネスティーンにお辞儀をすると出口の方に歩いていった。


 それを、アリアリーシャが、追いかけていき、ルイセルが、部屋の外に出ると、戻ってきた。


「ジュネス。 どうなっているんですかぁ。」


 戻ってくるなり、アリアリーシャは、いつもの語尾を伸ばす口調に戻っていた。

 その変わり身の速さに、ジューネスティーン達は、微妙な表情をしていた。


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