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メイカリア中佐とヲルンジョン少尉


 メイカリア中佐は、ヲルンジョン少尉の呼び出しを行うため、早朝に出勤すると、ヲルンジョン少尉の机の上に、連絡用の小さな石板を置いておいた。


 そこには、「出勤後、直ぐに、私の執務室に来るように。」と、書かれ、メイカリア中佐のサインと日付が書かれていた。


(これを見て、少尉は、何時に、私の執務室に来るかな。 ・・・。 それにしても、相変わらず、机の上が、汚いな。 机の上と、頭の中は、同じだと、言われるが、あの男の頭の中は、こんな感じなのだろうな。 さぞかし、使いもしない情報が、散乱しているのだろうな。)


 メイカリア中佐は、まだ、誰も出勤して来る前の執務室で、ヲルンジョン少尉の机を見て、その散乱した机の上を、ムッとした表情で見て、連絡用の石板を見た。


 そして、石板の位置を少しズラして、積み上げられている資料に石板を軽く当てると、積み上げられていた資料が、石板の上に落ちてきた。


 メイカリア中佐は、石板の上に資料が乗った状態で、ヲルンジョン少尉の合同執務室を後にした。




 自分の周囲を綺麗にすることは、見た目だけの問題ではない。


 常に整理整頓することを心がけることが、頭の中の整理整頓にも役立つのだ。


 整理されているから、物が何処に置いてあるのか、直ぐに分かるから、物を探す必要がない。


 同じ場所に置くことで、無くなったと思って、新しいものを使っていたら、思わぬところから、無くなっていた物が見つかる。


 整理整頓することで、常に物の位置が把握できているので、探す時間も不要になり、無くしたと思って、新たに用意する必要も無くなる。


 そして、その心掛けが、脳内の整理整頓にもつながり、スケジュールなど、自分自身の管理に大いに役立つのだが、ヲルンジョン少尉には、そんな事は、一切無い。


 悪い仕事の典型のような状態になっていた。


 メイカリア中佐は、そんな、ヲルンジョン少尉に対して、呼び出しに対して、どのような対応をとるのか、確認も含めて、嫌らしい方の確認を行ったのだ。


 机の上の整理整頓が出来てないことから、呼び出しに対して、最低でも、石板の上の資料を退けてからになる。


 しかし、このように机の上が、ずさんな状況で帰宅するような輩は、それを取り除くことなく、そのままの状態で、仕事をするのだ。


 汚い机であろうが、構わないというのが、仕事の出来ない条件となっていることを、全く理解できてないのだ。


 やっつけ仕事で、言われた事だけをこなすだけなので、ミスも多く、余計な時間を使うので、仕上がりも悪い。


 そんな事を対策するなら、常に整理整頓を心がければ、今以上の仕事が可能になるのだ。




 メイカリア中佐は、早朝の誰も居ない時間にヲルンジョン少尉に伝言の石板を置いておいた。


 しかし、昼になっても、ヲルンジョン少尉は、メイカリア中佐の元に来ることもなく、伝言を頼むでもなく、何の連絡も無かった。


 メイカリア中佐としてもヲルンジョン少尉の顔は、合わせたくない相手なので、そのまま、放置する事にした。


 メイカリア中佐としたら、ヲルンジョン少尉に付けている部下は、ヲンムン軍曹だけなので、報告を受ける内容は、ヲンムン軍曹の話なのだが、その話は、昨日のうちに聞いている。


 それに対して、ヲルンジョン少尉が、どのような対応をするのかを確認しておきたかったのだ。


 それは、国務大臣である、ソツ・キンクン・コルモン伯爵の後ろ盾のある、ヲルンジョン少尉を追い落とすための準備を始めたのだった。


 階級の差があろうとも、権力に溺れた、しかも、その権力を利用する、虎の威を借る狐のようなヲルンジョン少尉なので、確実な証拠固めのための必要なのだ。


 下手に自分の力で、非合法な手段を取って、思わぬところから、揚げ足を取られるようなことはせず、メイカリア中佐は、確実にヲルンジョン少尉を囲い込んでいくつもりなのだ。




 ヲルンジョン少尉は、仕事の後は、飲み歩き、そして、娼館で遊び、朝になると、帝国軍本部に出勤してから、資料室の隅で隠れて寝ている。


 そして、夕方になり目が覚めると、隠れるようにして、退勤していくのだった。


 それも、自分が管理を任されている部下が、ヲンムン軍曹1人になったこともあり、何をしても、貴族の特権を利用して、もし、問題があったら、ソツ・キンクン・コルモン伯爵に泣きつけば、何とかなると考えていたからだ。


 ツカ辺境伯領から帰った、ヲンムン軍曹と帝国軍魔導士団のセイツ・マリン・コリン少尉と、ワツ・コンメン・メイミン曹長からの報告会も終わったので、自分には、大した仕事もないので、気を抜いているのかもしれない。


 そして、報告会では、ヲンムン軍曹に顔を潰されたこともあったし、大した発言もできなかった。


 それは、仕事を、ちゃんとしていたら発言可能だろうが、出勤しては、何処かでサボっていて、時間を潰して、時間になたら帰るような仕事をしていたら、会議において、まともな発言などできるはずがない。


 だが、ヲルンジョン少尉には、そんなことは、関係のない事として認識されており、自分から、どんどん、部下が減らされているのは、ヲンムン軍曹のせいだ位にしか考えていないのだ。


 そして、机の上に埋もれている連絡用の石板にも気が付かずに、その日を過ごしていた。


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