帝都に戻った穏やかな日々
ジューネスティーン達は、翌日も、ギルドに現れた。
ツノネズミリスの討伐によって、回収した魔物コアをギルドに買い取ってもらうためだ。
とんでもない数の討伐となったので、その魔物のコアも倒した魔物と同数有るので、それだけでも大変な量になる。
そのため、ツカ辺境伯領のギルド出張所では、引き受けられないので、帝都のギルド ツ・バール支部で処理をしてもらう事にしたのだ。
実際、収納魔法を持っているシュレイノリアと、シェルリーンが居るので、収納魔法の中に収めて、帝都に戻ってもらった方が、ギルド出張所としては、都合が良かったのだ。
そのため、様々な便宜を払ってもらっている。
また、ギルド ツ・バール支部でも、一度に全部のコアの受け取り処理は、大変な事もあり、数回に分けて、納品してもらうようにしているので、毎日、ツノネズミリスのコアを全部提出するまで、行き来する事になった。
それは、ギルドの別室のテーブルの上に収納魔法から、魔物のコアを広げて、その数をギルド職員が数えて、品質の確認を行う事になっていた。
そして、前日のコアの評価は、翌日のコアの引き渡しの際に、前日のコアの数の確認を行うのだった。
その後は、時間が空いてしまうので、その時間をジューネスティーン達とユーリカリア達とで、それぞれの思惑によって、帝都の南門の手前の平原で魔法の訓練と周辺の魔物をついでに狩ることなる。
ジューネスティーン達は、アメルーミラの魔法の向上が目的となる。
ツカ辺境伯領に移動中、アメルーミラが、ヴィラレットに、魔法が使えるようになった時の事を話しをしていたら、アメルーミラも、自分も覚えられればと思い、ヴィラレットの言った事を頭の中でイメージしていたら、水魔法を使えるようになってしまったのだ。
その後、ツカ辺境伯領からの帰りに、ジューネスティーンによって、更に、色々な魔法を覚えていた。
ただ、休憩中の、ほんの僅かな時間に簡単にレクチャーしていただけなので、本格的な魔法を教えるのは、帝都に帰ってからとしていた。
それにユーリカリア達が、便乗してきたのだ。
ユーリカリア達にしても、ツノネズミリスの討伐の、少し前に魔法を覚えて、ツカラ平原でのスパルタ訓練で、討伐に必要な魔法だけを集中的に訓練しただけなのだ。
ユーリカリア達には、ウィルリーンという大陸でも有名な魔法士が居るが、彼女は、魔法を使えない人を魔法を使えるように出来た事はない。
教える側に自信が無いのなら、ジューネスティーン達と一緒に覚えることで、今後、パーティーメンバーの後退があったとしても、育てることが可能になる。
ユーリカリア達もこの機会に、自分達の魔法力の向上もあるが、それ以上にジューネスティーン達が、どのような方法で、アメルーミラに教えるかも興味があるのだ。
ギルドが、コアの集計に手間取っている間に、ユーリカリア達は、そんな事も考えていたのだ。
ここは、大ツ・バール帝国であって、帝国は、大陸の中で、唯一、亜人奴隷を認めている国なので、亜人を多く抱える2パーティーなので、まとまって行動することで、安全を確保している事もある。
しかし、この二つのパーティーを襲おうとする奴隷商は、帝都には居なくなった。
ジューネスティーン達は、ルイネレーヌの対応によって、自分達に危害が加わらなかった。
そして、ユーリカリア達は、全員が、エルフ・ドワーフ・亜人と、人属が居ないパーティーなので、帝都に入った時に、襲われたことが有るのだが、その際、ユーリカリア達が、簡単に返り討ちにしていたので、ユーリカリア達を襲う、奴隷商達は居ない。
だが、万一の事を考えると、帝都での亜人の単独行動は、危険が高い。
亜人専門の奴隷商が、存在する帝都なので、個人が、奴隷紋の無い亜人を拐おうと考える可能性もある。
リスクは、可能な限り抑える。
それが、上位ランカーが考える事、リスクを負うことはしない。
リスクを負って、何らかのトラブルに巻き込まれる事をを嫌うのだ。
ジューネスティーンのパーティーは、6人とアメルーミラの7人、そして、ユーリカリア達のパーティーは、6人であって、その中の1人が抜けるだけでも大きな損失になる。
そして、魔物との狩りの戦略も大きく変更する必要に迫られるのだ。
よって、1人でも失う事を嫌うので、簡単なことで、対処できることは、常に対処するのだ。
上位ランカーなら、ちょっとした手間を惜しんで、大きな災いを呼び込む事を嫌うのだ。
ジューネスティーンとユーリカリア達の13人は、ギルドに今日のコアを渡した後、昨日のコアの数の確認を行うと、その後、南門を出て、ブラブラと南門から西へ歩いていく。
門番達に迷惑をかけてもまずいだろうから、離れて、人のいない場所に行くのだ。
攻撃魔法を人の居る所で行うのは、良くないので、人の居ない所と、そして、適度に魔物のいる場所を選んで行う。
人の多い場所は、何も知らない人に被害を与えないため、魔物が居る場所なら、人は、警戒して近寄ることは少ない。
そして、魔物を狩る時に魔法を使うことで、実践的な訓練になる。
13人の中で、魔法の訓練をしたいのは、6人、そして、1人は、その様子を観察していたい。
残りの6人は、近付く魔物に対処することと、それぞれに魔法を教える事も可能となる。
帝都の南門の前、街道から外れた場所は、魔物のコアも安いので人気が無いエリアなので、彼らには丁度良い場所であった。




