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魔法を覚えるルイゼリーン 3



 シェルリーンは、何かに気がついた様子で、カミュルイアンの手を振り払って、メンバー達の方に行った。


 周りは、全員がルイゼリーンを見ていた。


「でっ、出ました。 み、水です。」


 ルイゼリーンは、目の前に置いてあるカップを凝視している。


「ほっ、本当に、で、できました。」


 それを見て、シュレイノリアが、ドヤ顔をしている。


「言った通りにできた。 イメージを魔素に結びつけられた。 その結果、魔法が発動する。」


「人には、何かを考える力が有ります。 頭の中でイメージを思い浮かべるのはできますから、魔法の原理さえわかってしまえば、誰にでもできるのですね。」


 シュレイノリアの言葉にフェイルカミラが反応した。


 冷静に周りを見るフェイルカミラならではの反応のようだ。


「そうですね。 ルーミラに話した時の事を思い出します。 あの時、ルーミラは真剣に話を聞いてました。 あの時の真剣さが、今のルイゼリーンさんにも感じましたから、成功すると思いました。」


 ヴィラレットが、アメルーミラに魔法の話をした時の事を思い出して話す。


「だけど、あの時、失敗して、水が溢れてしまって、私のズボンを濡らして、レオンさんに水をかけてしまいました。」


 アメルーミラが、その時の事を思い出して、恥ずかしそうに答える。


「ああ、水と言ってもコップの水だったから、直ぐに、乾いたから平気だよ。」


 レィオーンパードが、フォローするように答える。


「でも、よかったじゃない。 ルイーゼさんも魔法が使えるようになったなら、自分ができた時の内容も含めて報告もできるでしょうし、報告書にまとめるなら自分でできるようになったほうが、報告書もより詳しく書くことができると思うわよ。」


 アンジュリーンは、面倒事をルイゼリーンに任せられると思ったのだろう。


 それを聞いて、ルイゼリーンも、納得したような顔をするのだが、一瞬ヒヤッとした様子を見せた。


 ただ、それが周りには見られたかどうか判らないほどの一瞬だった。


「そうだな。 魔法について、後天的にできたのは、私達だけでは無いなら、ギルドの魔法に関する部門も助かるだろうな。」


 ユーリカリアは、ギルドとして何だか自分達が魔法を使えるようになってしまった事が、大事に発展しているように思えたので、ここで、ルイゼリーンが自分達と同じで、後から魔法が使えるようになったので、自分達に対する話が、少し緩和されると思ったようだが、それを、なるべく周りに知られないように、特にルイゼリーンには知られず、魔法を覚えてもらおうと思っているのだった。




 未だに信じられないという顔をしているルイゼリーンにウィルリーンが話しかけてきた。


「あのー、ルイーゼさん。 そのカップの中の水なのですけど・・・。」


 ルイゼリーンは、ウィルリーンに話しかけられて、やっと、目の前のカップから目を離した。


「ウィルリーンさん。 これ、私が水魔法で貯めたんですよ。」


 ルイゼリーンは、ウィルリーンに答えた。


 ウィルリーンは、それを聞いてがっかりする。


「また、今回も初めて魔法が使えるところを見れなかったわ。」


 ウィルリーンのガッカリした姿を、フィルルカーシャが、声をかける。


「ウィルリーンさんが、見てると成功するものも、全て失敗に終わってしまいます。 それだけ、あなたは偉大な魔法士ですから、ガッカリなさらずにしてください。 これから先、魔法が使えない人なんて幾らでもいますから、また、この次があります。」


 フィルルカーシャが、貶しているのか励ましているのか分からない事を言う。


 そんなフィルルカーシャをウィルリーンは見る。


「じゃあ、何で? シュレは、私より、優秀な魔法士なのよ。 彼女の前なら良くて、何で、私の前ではダメなのよ。」


「それは・・・。」


 フィルルカーシャは、ウィルリーンに対する答えが、思い浮かばなかった。


 どうしようかと悩んでいると、自分の名前がでたシュレイノリアが答えた。


「それは、ウィルリーンの名前が、有名だからだ。 魔法士としてのウィルリーンの名声が、邪魔をしているだけだ。 その辺は、私と違うところだ。 大陸で、私の名前とウィルリーンの名前を出して、知名度の調査をすれば、ウィルリーンの名前を知っていても、私の名前を知っているものはほとんど居ない。」


 周りは、シュレイノリアの話を聞いて、実力的にはシュレイノリアの方が上だと分かっても、今までの実績からして、周りの国に名前が知られているのは、ウィルリーンだと納得する。


「今度、魔法が使えない人を見つけて、自分で教えてみれば良い。 そうすれば、魔法を初めて使う瞬間を見る事は可能だ。」


 そう言われて、ウィルリーンは、ハッとした。


「そうよね。 私がお教えれば良いのよね。 そうよね。 出来なかった皆んなに教えた内容や、方法は知っているのだから、自分で教えてみればいいのか。 そうね。」


 ウィルリーンは、1人で言って、1人で納得する。


 ウィルリーンが、爆発するのでは無いかと思っていた、ユーリカリア達のメンバーは、そのウィルリーンの様子を見てホッとしていた。


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