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魔法を覚えるルイゼリーン

 

 別室に移ると、ルイゼリーンは、ドアに鍵を閉めると、壁に手を当てて、備え付け魔法紋を発動させた。


「これで、外に会話が聴かれることはありません。」


 ルイゼリーンは、ため息を吐く。


「それで、詳しい話を聞きたいのですけど! 」


 ルイゼリーンに言われると、ユーリカリアが、最初に合同の狩を行った時に、ジューネスティーンから聞いて、その通りに行ったら、魔法が使えるようになった話をルイゼリーンに話した。


 また、アメルーミラが魔法を使えるようになった時の話は、ヴィラレットが魔法を使えた時の話をしていたら、アメルーミラも使えるようになってしまった事を伝えた。




 ルイゼリーンは、話を聞いて納得する。


「なるほど、魔法は、自分の考えるイメージを目に見えてない魔素と結合させて具現化するのですか。 だから、その原理が理解できてしまえば、魔法は誰にでも簡単に使えるということなのですか。」


 ルイゼリーンは、困った様子になる。


(今の話が事実だとしたら、魔法紋が使えるだけで、魔法も使えてしまうって事よね。 世の中の人の中から、魔法紋が使えない人を探す方が大変なことなのよ。 どうするのよ。 この事実が世に広まってしまったら、魔法によって大混乱が起こるんじゃないの? 悪用されたらどうするのよ。)


 そんな事をルイゼリーンが考えていると、ウィルリーンが、ルイゼリーンに尋ねた。


「あのー、ルイーゼ。 あなたは魔法が使えたのですよね。」


 ウィルリーンに聴かれて、ルイゼリーンは、自分の考えていた事を止めてウィルリーンに答える。


「えっ、私? 私は、魔法は使えませんけど・・・。 ん? 」


 ルイゼリーンも何かに気がついた様子を表情に出す。


「そうでしたか。 じゃあ、ルイーゼも試しに魔法を使ってみませんか? 」


 アメルーミラがヴィラレットに教えられて、魔法が使えるようになった時、それに立ち会えなかった事を残念に思っていた事を、メンバーの全員が知っている。


 ウィルリーンの言葉に、ユーリカリアとメンバー達が、困ったような表情を見せているのだが、ウィルリーンは、嬉しそうにルイゼリーンを見ていた。


「ねえ、今、試してみませんか? 誰にでも出来るってことは、ルイーゼにも出来るってことですよ。 魔法、使ってみたいと思いませんか? 」


 ニヤリとしながら、ウィルリーンがルイゼリーンに迫る。


 そのウィルリーンを見た、ルイゼリーンは、笑顔のまま、ルイゼリーンを見ている。


 次の言葉をウィルリーンは、待っている。


 その言葉は、“魔法を試してみると言うのだ”と表情が語っている。


 ウィルリーンは、その言葉が出るのを待っているのだが、ルイゼリーンには、その、ウィリルーンの笑顔が怖く感じてしまったようだ。


 その笑顔には、否定的な言葉を発したときに、どんな言葉が返ってくるのか、絶対に否定はさせないとウィルリーンの笑顔にこもっているように思えたのだ。


「あ、あのー、ウィルリーンさん。」


「はい。」


 ウィルリーンは、嬉しそうに答える。


 その答えが、さらにルイゼリーンに恐怖を与えたようだ。


 ルイゼリーンは、耐えきれないと思ったのか、ユーリカリアに助けを求めた。


「ユーリカリアさん。 あのー。」


 ユーリカリアも、ルイゼリーンの気持ちが分かった様子で、ため息を吐くと、徐々に、ルイゼリーンの方に体が近づいていたウィルリーンの長い耳をつまむと、後ろに引っ張り出す。


「いた! いたい! ちょっと、私の大事な耳に何するんですか! 痛いです。 ユーリカリア、何するんですか! 」


 ユーリカリアは、ウィルリーンの片方の耳を引っ張って、体が前のめりに、ルイゼリーンの方に行っているのを引き離したのだ。


「ウィル。 お前は、そうやってプレッシャーを与えるから、できるものもできなくなってしまうだろ。 お前は、期待しすぎるんだ。 その期待で、周りはプレッシャーを感じて緊張しすぎるから何もできなくなってしまうだろ。 少しは、自覚しろ。」


 耳の痛みで、若干、涙目になっていたウィルリーンは、膨れて反論する。


「だって、魔法を使えなかった人が使える瞬間を見た事がないのは、私だけなんです。 魔法を極めようとしている私だけ、何で見る事ができないんですか。 うちのメンバーは、全員、周りが使えるようになったところを見ているのに、私だけ見れないなんてずるいです。」


 そう言って、子供が拗ねたような様子を見せる。


 そんな表情を見せるウィルリーンを、仕方無さそうにユーリカリアはみると、ルイゼリーンに話をする。


「なあ、ルイーゼ。 今の話が本当かどうかを確認するためにも、あんたが、今、ここで、魔法を試してみないか? 今の話の流れからすると、ギルドに報告する必要があるから、私達に聞いていたんじゃないのか? 」


 ルイゼリーンは、その通りだと思ったようだ。


(確かに、魔法が使える事が、自分の中のイメージと魔素を結びつける事だというなら、誰もが使えることになる。 私にも使えるとなったら、ギルドへの報告書の信憑性も上がるわ。 今まで解き明かされてなかった魔法について、理解が深まることになるわ。)


「そうね。 試してみようかしら。」


 ルイゼリーンの答えに喜んだのは、ウィルリーンだった。


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