メンバー達の魔法について
コアの換金についての話が終わると、ルイゼリーンは、ギルドとしての本題にはる。
「あの、一つお伺いしたい事があります。」
ルイゼリーンは、改まった態度でユーリカリア達を見ると、話を続ける。
「ユーリカリアさん、フェイルカミラさん、フィルルカーシャさん、シェルリーンさん、それと、ヴィラレットさんにお伺いします。 あなた方は、ここ最近、魔法を使っておりましたが、その魔法について、お話を聞きたいのですけど、よろしいですか? 」
ルイゼリーンの改まった表情を見て、名前を呼ばれた5人は、少し驚いた表情を見せる。
5人は、何でそんな事を改って聞かれているのかと思った様子でお互いの顔を見た。
「それと、ウィルリーンさんも、かなり、魔法能力が上がったと聞いております。」
ウィルリーンは、自分が魔法職ということもあり、ギルドにも魔法が使える事を登録してあるので、自分が魔法を使える範囲が広がったり、強力になった程度、また、新たな魔法が使える程度であれば、特に問題はないはずだとタカを括っていたのだが、ルイゼリーンの矛先が自分にも向いた事を、何でなのかと不思議そうにして、ルイゼリーンを見る。
それに、ツノネズミリスの依頼を受ける際に、ルイゼリーンには、魔法が使えるようになった事を話しているので、ユーリカリア達は、今更、ルイゼリーンが改まって魔法の事を聞いてくるのか分からなかった。
ユーリカリア達に話をしたのを聞いていたジューネスティーンは、少し困ったような顔をしており、シュレイノリアは、我関せずと気にせずに聞き流していた。
残りの4人もユーリカリア達に、ルイゼリーンが、改まって話をする必要があるのかと思っている。
「ジュネスさん、あなた方が、ユーリカリアさん達のパーティー全員が魔法を使えるようにしたのですよね。 それに、ジュネスさん達のパーティーは、全員が魔法を使えてますけど、これは、ギルドの高等学校時代に、アンジュリーンさん、カミュルイアンさん、アリアリーシャさんに、ジュネスさんとシュレさんが教えたからではないですか? それに、レィオーンパードさんも、実は、あなた方と付き合い出してから、魔法を覚えたのではないですか? 」
ジューネスティーン達は、矛先が自分達に向いた事と、それに、しっかりと図星を突かれてしまった事で、どう答えて良いのかと思っていた。
すると、ルイゼリーンは、後ろに隠れるようにしていたアメルーミラを見る。
「アメルーミラさん。 何で、隠れようとするのですか? 」
アメルーミラは、今の、話の道筋から、魔法が勝手に使えるようになることはいけない事らしいと、自分の中で判断したのだろう、その事で、ジューネスティーン達に何か有ってはいけないと思ったから、ルイゼリーンから隠れようとしたのだ。
「その様子からすると、アメルーミラさん、あなたも、魔法が使えるようになりましたね。」
それを聞いて、アメルーミラの顔は青くなる。
「アメルーミラさん。 答えて、あなたは魔法が使えますね! 」
そのルイゼリーンの言葉に、アメルーミラは、ビクッとする。
「はい、初めに、ヴィラレットさんに、魔法を覚えた時の話を聞いていたら、私にも魔法が使えてしまいました。」
心に、全く余裕が無くなってしまっていたアメルーミラは、正直に答えてしまった。
使えた時の話を、そのまま伝えてしまうと、それを聞いていたヴィラレットは、自分が教えてしまったのだと気がつき、自分の罪が重いのかもしれないと思った様子で、ヴィラレットも青い顔をする。
「高等学校入学時の記録を調べてみると、3人には、魔法適性が無かったとありました。 それが、卒業時には使えるようになったと有ったのですけど、まあ、ギルドの高等学校では、魔法職用のカリキュラムもありますので、学生同士で話をするうちに使えるようになってしまったことも、過去にも有りましたから、その類いで済まされたのでしょうけど、ここまでの話を総合すると、ジュネスさんとシュレさんには、魔法が使えるかどうかについて、その理由が明らかになっているように思えます。」
ルイゼリーンは、魔法が使えるか使えないかは、先天的な、生まれながらの才能で、それは、遺伝的にではなく、生まれてくる時に備わってしまうものと、一般的な知識と同等の事しか分かってなかった。
それは、ギルド職員になってからも同じで、ギルドの研究部門においても、何で魔法が使えるのかといった基本的な事は、理解されてない事を知っているのだ。
ギルドの高等学校においては、稀に在学中に魔法が使えるようになったといっても、同じことを別の生徒に行っても魔法は使えるようになる事は、殆ど無かったので、子供の頃の魔法検査の時に漏れたのだとかと言われて終わっていた内容だったのだ。
だが、ユーリカリア達メンバーと、それに、アメルーミラが突然魔法を使えるようになったという事は、ジューネスティーン達には、魔法が何で使えるのか、原理を理解しているとしか考えられないのだ。
そう考えると、その秘密を知っておく必要が、ギルドにはあると判断して聞いているのだ。
ジューネスティーンは、そういう事なのかとルイゼリーンが、ユーリカリア達の魔法の話をしたのか理解できたようだ。
ただ、シュレイノリアは、だからそれがどうしたといった様子で、ルイゼリーンを見ていた。
ルイゼリーンが魔法について話し出したことで、コアの鑑定をしていた職員達も、その話を興味深く聞き始めていたのをルイゼリーンが確認する。
「ここでは、何ですから、別の部屋で詳しく話を聞きましょう。」
そう言って、全員を別の会議室に連れて行く。
別室に移ると、ルイゼリーンは、ドアに鍵を閉めると、壁に手を当てて、備え付け魔法紋を発動させた。
「これで、外に会話が聴かれることはありません。」
ルイゼリーンは、ため息を吐く。
「それで、詳しい話を聞きたいのですけど! 」
ルイゼリーンに言われると、ユーリカリアが、最初に合同の狩を行った時にジューネスティーンから聞いて、その通りに行ったら、魔法が使えるようになった話をルイゼリーンに話した。
アメルーミラが魔法を使えるようになった時の話は、ヴィラレットが魔法を使えた時の話をしていたらアメルーミラも使えるようになってしまった事を伝えた。




