コアの換金
部屋のドアが開くとルイゼリーンがギルドの職員を数名連れてきた。
台車に薄い木箱を何個も乗せた5人が会議室に入ってきた。
早速、先ほどシュレイノリアの出しだサーベルタイガーの魔物のコアを、回収すると、何やらルイゼリーンに耳打ちした。
「ジュネスさん、サーベルタイガーのコアは、一つ中銀貨2枚となりますので、合計で中銀貨10枚ですから金貨1枚となります。」
「わかりました。」
ジューネスティーンが答えると、ルイゼリーンは、次の話に入る。
「それでは、ツノネズミリスのコアになります。」
それを聞いて、シュレイノリアとウィルリーンの顔を確認するように、周りは見た。
どちらもかなり多いコアを収納していることは間違い無いのだ。
「私の収納魔法の空間には余裕がある。 最初は、ウィルリーンの方からお願いする。」
「じゃあ、私の方から出しますね。」
そう言うと、口の中で何やら呪文を唱えると、テーブルの上に魔法紋が現れると、魔法紋から浮き上がるようにツノネズミリスのコアが浮かび上がってくる。
それは徐々に増えていくとテーブルの上をはみ出して、床に落ちてしまった。
それをメンバー達が拾ってテーブルの端の方においていく。
会議用のテーブルなので、幅2m、長さ8m程のテーブルに溢れ出したコアは、所狭しとテーブルの上を占領した。
「私の方は、1万個前後だと思います。 これで全てですけど。」
そう言うと、ルイゼリーンに連れられてきたギルドの職員が、数の多さに辟易した様子で見ている。
「後、私の方に、これの10倍は有るが、今、出そうか? 」
シュレイノリアは、断られるのを分かっていて、自分の持っているコアを出すか聞いたのだ。
ウィルリーンの出したコアの量を確認してもらった後、追加しても良いか、確認をしたのだが、テーブルの上のコアの数を見て、鑑定しつつ箱詰めとなったら、この人数で、どれだけの時間がかかるのか、わからないのだ。
職員達は、苦虫を噛み潰したような表情をする。
「いえ、申し訳ないですけど、コアは、分納にさせてください。 受け取った後は、彼らだけで、鑑定・選別・収納・梱包と、本部に送るための手続きまで行いますので、一度に行うのは、この位の数にさせてください。」
ギルド職員は、シュレイノリアに答えた。
「おそらく、これだけでも、私達の就業時間内に終わるかわかりません。 まだ、有るのでしたら、お手数ですが、この程度の量を、毎日、お届けしてもらえると助かります。」
もう1人の職員が答えた。
「それなら、そうしよう。」
シュレイノリアが答えると、コアの確認は、ギルドの職員に任せる事にした。
「後、このツノネズミリスのコアですが、支払いは、明日でもよろしいですか? 確認に時間がかかりそうですので、そうしていただきたいのです。」
ジューネスティーンは、ユーリカリアを見ると、自分達はそれで良いという表情を向ける。
「ああ、そうだな。 そうしてくれ。 明日、また、来るので、その時でいいだろう。」
「ありがとうございます。 それで、お支払いする額ですが、かなり高額となりますので、現金の方がよろいですか? 」
ルイゼリーンは、支払い方法を聞く。
その話を聞いて、アメルーミラが、不思議そうな顔をして、横にいたレィオーンパードに聞く。
「レオンさん。 現金以外の支払い方法って、何ですか? 」
「ああ、ルーミラは、知らないのか。 ギルドは、冒険者個人やパーティーの預金口座を作ってくれるんだ。 そのギルドで登録したカードを使って、預金口座を作って、そこに、お金を預けておくんだ。 今回のように高額な報酬だと、持って歩いて、落としたり、盗まれたりしても困るだろ。 だから、大きな金額は、ギルドに預けておいて、必要な時に必要な金額を出すんだ。」
「ふーん。」
「ああ、ギルドの預金口座は、どこのギルドで預けても、ギルドだったら、どこでも引き出せるんだ。 だから便利なんだよ。 俺達は、どちらかというと、シュレねえの収納魔法の中に財布と一緒に入れてしまっているけどね。」
アメルーミラは、そんなものがあるのかと感心していた。
ジューネスティーンは、少し考える。
「ああ、コアの清算が終わるまで、待ってもらえませんか? 高額になりますから、うちのパーティー分は、その時に決めます。」
「はい、ジュネスさんの方は、そうします。 ユーリカリアさんの方は、どうなさいますか? 」
ユーリカリアは、自分のメンバー達を見ると、同意見だと判断する。
「ああ、うちもそうするよ。」
「わかりました。 では、コアと一緒に依頼の方も同時に清算します。」
話も終わると、ジューネスティーン達は、ギルドを後にしようとする。
「依頼とコアのお話は、終わりましたので、皆様には、別にお話をお伺いさせてもらえませんか? 」
帰ろうとしていた、ジューネスティーン達とユーリカリア達を、ルイゼリーンが呼び止めた。
ルイゼリーンは、笑顔を見せているのだが、その瞳の奥が、妙に引っ掛かるのだ。
ジューネスティーンも、ユーリカリアも、直ぐには、答えられずに、ルイゼリーンを見ていた。




