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ギルドへの報告 〜盗賊団の逮捕とツノネズミリスの依頼〜


 サーベルタイガーの依頼の処理を完了させると、次の依頼についての話になった。


「では、盗賊団の逮捕協力については、どうなりますか? 」


 ルイゼリーンは、サーベルタイガーの話があったので、報酬についてどうなるのかを確認すると、それを聞いて、アメルーミラが下を向いてしまった。


 あの時の失態があったので、その事を思い出してしまったのだ。


 ただ、ルイゼリーンは、アメルーミラの態度には気が付かずに話を進める。


「状況から、全員で対応されたようですけど、こっちは、どうなりますか? 」


 ジューネスティーンは、2パーティーで行った時の難しさを実感しているところだったので、すぐには答えずにいた。


「ああ、うちのパーティーとしては、折半か、人数割でと考えていた。」


 それを聞いて、ジューネスティーンは、自分達のパーティーの方が人数が多いことから慌てて答える。


「その依頼は、パーティーで折半で良いと思います。」


「では、パーティーで折半とします。」


 ルイゼリーンが、直ぐに、決定するように結論づけた。


「「はい。」」


 それを聞くと、後は、ツノネズミリスの討伐における依頼についてになる。


「ツノネズミリスの依頼については、ユーリカリアさんのパーティーがメインパーティーとして受けておりますので、この報酬は、ユーリカリアさんに全額支払いとなります。 サブパーティーへの支払いは、ユーリカリアさんからお願いします。」


 ユーリカリアは、ルイゼリーンに言われて、そうなるのかと頭の中で考えていた。


「なあ、ルイーゼ、その報酬は、私が受け取った後にジュネスに渡さなければならないのか? 」


「ええ、それが一般的ですが、中には、予め報酬について決められて、ギルドが報酬を分けてお支払いすることもあります。」


「じゃあ、高額な報酬なのでな。 本当なら、ジュネス達に7で、うちが3にしたいのだが。」


 そう言ってジューネスティーンを見ると、ジューネスティーンは不服そうにしている。


「今回の依頼が達成できたのは、ジュネス達が、私達に魔法を教えてくれたからなんだ。 それが無ければ、私たちは、100匹程度しか倒せず、残りはジュネス達にお願いする事になっただろう。 それに戦略も戦術も全て考えたのはジュネスだ。 戦略の検討代も含めて渡すなら、魔法を教えてくれた事に1、戦略を考えてくれた事に1を追加して支払ってもおかしくはないと思うぞ。」


「なる程、そういううことですか。 それならジュネスさん、今の提案の通りでよろしいですか? 」


 ジューネスティーンは、ユーリカリアが、また、とんでもない事を言い出したと思ったようだ。


 困った顔をする。


「いえ、それは、困ります。 メインパーティーより高い報酬をサブパーティーである自分たちがもらうわけにはいきません。 自分達は、あくまでサブパーティーですので、メインパーティーより高い金額をもらえません。」


「そうか、なら、5割をジュネスのパーティーにギルドの方から支払って欲しい。」


「わかりました。 ユーリカリアさんの言うとおりにします。」


 ルイゼリーンも直ぐにユーリカリアに答えて、ジューネスティーンに反論させまいとしていた。


「5割って、半分じゃないですか。」


「うちのパーティーより高い金額じゃないだろ。 お前は今、私のパーティーより高い金額は受け取れないと言った。 だから、私のパーティーより高くは無いのなら、問題無いと言ったのでは無いのか? お前は、今、嘘を言ったのか? 私は、断腸の思いで、3:7の比率を変えたのだが、それでも不服なのか? 」


 ユーリカリアは、なんだか、屁理屈を捏ね始めた。


 ユーリカリアとしても、ジューネスティーンが最初から折半を言い出すと、高いとゴネる可能性が有ると踏んだので、最初から、ジューネスティーンに高い比率を提案したのだ。


 その後の言葉尻をうまく利用して折半に持っていく事にしたのだ。


 そのユーリカリアの策略にジューネスティーンは、まんまとハマったのだ。


 ルイゼリーンもユーリカリアの最初の提示が気になったので、ユーリカリアが何を思って、そんな事を言ったのか、何となく分かったらしく、ユーリカリアを陰ながらフォローしたのだ。


 ユーリカリアと、ジューネスティーンは、折半になった事で、話が続いていたのだが、ルイゼリーンは、そんな事は聞こえませんとばかりに、話し出した。


「では、ツノネズミリスの討伐については、ユーリカリアさんのパーティーと、ジューネスティーンさんのパーティーで折半となりました。」


 それを聞いてジューネスティーンは、キョトンとした顔で、ルイゼリーンを見る。


 その顔には、なんでそうなるのか分からないという表情を見せていた。


「ジュネス、お前の負けだ。 素直にルイーゼとユーリカリアの話を聞いておこう。」


「そうだな。 では、ユーリカリアさんの提案通りでお願いします。」


 シュレイノリアに言われて、ジューネスティーンは渋々納得した。


「これで、依頼の話は終わった。 あとはコアの話だ。」


 シュレイノリアは、依頼に関する話が終わったと判断すると、コアの話に切り替えた。


「ああ、そうですね。 じゃあ、人手を準備します。」


 そう言うと、ルイゼリーンは、会議室を出ていった。




 悪くなった雰囲気を何とかしようと、ユーリカリアが、ジューネスティーンに話しかけた。


「ジュネス、すまない、こっちの我儘を通してしまったな。」


「いえ、こちらこそ、ありがとうございました。」


 ジューネスティーンは、答えたが、それから先が続かない。


 どちらも不器用なのか、それ以上の話ができないのだ。


 すると、フェイルカミラが、口を開いた。


「ジュネスさんは、意外に硬いのですね。」


「そうなのよ。 考え方が、20歳程度じゃないのよね。 ジュエルイアンとも対等に話しちゃうし、でも、今日は珍しく後手に回ってたけど。」


「ちょっと、アンジュ、なんかズレてるわよ。」


 フェイルカミラの発言にアンジュリーンが、反応したのだが、フェイルカミラの言っている内容からズレているのをアリアリーシャが指摘した。


「アンジュは、いつものことだから。」


 レィオーンパードが、言わなくて良い一言を言うと、アンジュリーンに睨まれる。


「レオン、一言多い。」


 カミュルイアンに諌められる。


 そのやりとりを見て、ヴィラレットと、フィルルカーシャが、クスクスと笑い出した。


「何だか、カミュルイアン様、楽しそうです。」


「あっちのパーティーだって、3年位の付き合いだ。 その位の付き合えるなら、それなりに交流も進んでいる。 あっちのパーティーも家族に近い存在なんだよ。」


「そうなんでしょうね。 あー、もっと早く、カミュルイアン様と出会いたかったです。」


 シェルリーンのボヤキにフェイルカミラが付き合ってくれた。


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