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盗賊達の引き渡し

 

 街道を走ってきた集団は、ジューネスティーン達を確認すると、少し速度を緩めた。


 ジューネスティーンは、走ってくる集団の顔を確認すると、先頭の集団の中には、見覚えの有る顔があったのだが、名前までは思い出せない。


「なあ、あの先頭の集団の真ん中の人、ツノネズミリスとの戦いの時に、ツカ少佐と一緒に居なかったか? 」


 ジューネスティーンは、通信を使って、レィオーンパードとカミュルイアンに問いかけた。


「言われてみれば、そんな気もするけど、よく分からない。」


 レィオーンパードは、適当に答えた。


「あの人、ツカ少佐と一緒に来た人だよ。 ツカエ少尉じゃないかな。」


 カミュルイアンが、答えてくれた。


 ジューネスティーンが、その名前を聞いて、陣地を作成した時、一晩陣地の警備をしてくれた人を思い出した。


「ああ、あの人か。」


 ツカエ少尉は、ツカ少佐の家に、代々使えている家の人だ。


 とりあえず、限りなく味方に近い存在だと理解できたが、念のため話をするまでは、この格好のままでいようとジューネスティーンは思ったようだ。




 ジューネスティーンは、駐留軍が到着するのを待つ。


 向かってきた駐留軍は、全員が地竜を使っていた。


 馬は、早く走ることができるが、走らせてしまったら、移動距離が、歩行した時よりも短くなるが、爬虫類である地竜ならば、最高速度は馬に劣るが、長距離の移動には、馬よりも早く長い距離を移動できる。


 駐留軍となったら、ツカディヲかケイツエンの街からの移動となれば、急いでいるなら地竜の方が圧倒的に早く着く。


 ただ、ジューネスティーン達のような速度は出せない。




 駐留軍は、ジューネスティーン達の前にくると、整列して止まった。


 全員が止まると、各分隊長が、それぞれの部隊の班長に点呼を取らせていた。


 その様子を気にすることなくツカエ少尉は、地竜を降りて手綱を一緒にいた者に渡すと、前に出て敬礼した。


「私は、ツカ大隊所属のツカエ・ミンレム・ヲルレムン少尉であります。 付近に盗賊の被害が出ていたため、急遽駆け付けるようにと言い使って参上しました。」


 それを聞いて、ジューネスティーンは、安心すると、パワードスーツの背中を開いて顔を出す。


「ツカエ少尉、お疲れ様です。」


 顔を見せてから、挨拶をすると、パワードスーツから足を引き抜いて地面に降りた。


「それで、その盗賊なんですけど、あそこに居るのがそうなんです。」


 ジューネスティーンは、そう言って、捕まえた盗賊達を示す。


「さっき、襲われて、返り討ちにして捕まえました。 確認したところ、盗賊団27人全員らしいです。」


 ツカエ少尉は、どうしようかと困った表情をする。


「あ、ありがとうございます。 ツノネズミリスの討伐といい、盗賊の逮捕といい、ご協力に感謝いたします。」


 ツカエ少尉は、感謝を伝えた。


 ただ、自分の受けた命令を考えると、困った様子を見せていた。


 だが、ため息を吐くと正直なところを話し始めた。


「ジューネスティーンさん。 大変申し訳ございませんでした。」


 そう言って頭を下げてきたので、ジューネスティーンは驚く。


「えっ、あの盗賊は捕まえてはいけなかったのでしょうか? 」


 ジューネスティーンは、ツカエ少尉が頭を下げてきたので、思考がとんでもない方向に進んでしまったようだ。


「いえ、盗賊を捕まえてくれたのはありがたかったのですが、自分は、ジューネスティーン様達がこちらを通過する前に、この盗賊達を捕らえておくように命令されておりました。 ジューネスティーン様達に、ご迷惑をおかけしたことを、深くお詫びいたします。」


 言われて、そう言うことだったのかと、ジューネスティーンは理解する。


「ああ、そうだったんですか。 こちらには、被害はなかったので問題はありません。 それにこの盗賊団の引き渡しをどうしようかと思っていたので、引き取ってもらえないでしょうか? 」


「はい、盗賊達は、我々が、責任を持って引き受けます。」


「ああ、それと、雷魔法で全身を麻痺させましたのと、1人安静にさせています。」


「わかりました。 それでは、確認させます。」


 そう言うと、ツカエ少尉は、ジューネスティーンに敬礼して、後ろの兵士達に指示を出す。


 ジューネスティーンも安心すると、前衛に立ったカミュルイアンとレィオーンパードに戻るように指示を出す。


 ツカエ少尉が連れきた駐留軍は、盗賊達の確保をする者、重傷者の確認をするもの、周囲の警戒をする者と、それぞれが分担してテキパキと処理を行っていた。




 兵士達への指示が終わると、ツカエ少尉はジューネスティーンに寄ってきた。


「また、当辺境伯領の問題を解決していただきありがとうございます。 実は、少佐から、あなた方がここを通過する前に処理をしておけと言われてたのですけど、また、先に処理されてしまいました。」


 ツカエ少尉は、申し訳なさそうに話した。


「この件については、ツカ少佐に報告しておきますので、何らかの形でお礼をさせていただきます。」


 ツカエ少尉は、そう言ってジューネスティーンに敬礼をした。


「ありがとうございます。」


 ただ、ジューネスティーンは、ゲートのところに転がっている岩を見る。


「ツカエ少尉、自分達は、ゲートの岩を取り除きたいのですけど、作業に入ってもよろしいでしょうか? 」


「ええ、構いません。 ああ、それなら、部下に・・・。」


 ツカエ少尉は、ゲートを見ると、そう簡単に退かせそうも無い岩がいくつもある事に気がついた。


 その様子を見て、ジューネスティーンは、説明をする。


「あのー、岩に魔法紋を刻みますので、刻んだものから動かしてください。」


「あっ、ええ、あっ、はい。」


 ツカエ少尉は、なんの事か分からないという表情で答えた。


 ジューネスティーンは、ツカエ少尉の了解が取れたことで、ツカエ少尉が何をするのか理解できてないことはスルーして、ユーリカリアに声をかける。


「ユーリカリアさん、ルーミラをヴィラに見てもらっていて良いでしょうか? 」


「ああ、構わない。」


 そう言うと、ユーリカリアは、ヴィラレットに向く。


「ヴィラ、ルーミラを見てやれ。」


 ヴィラレットが、ユーリカリアの指示された通り、アメルーミラのそばに行くと、力を落としているアメルーミラの肩に手をやって、何か、言葉をかけてくれた。


 それを見た、ユーリカリアは、ウィルリーンを見る。


「それと、ウィルは、シュレと一緒にさっきの続きだ。」


 ユーリカリアは、ジューネスティーンが、アメルーミラにヴィラレットを付けると言ったことで、ジューネスティーンの次の行動が理解できたのだ。


 シュレイノリアをアメルーミラから、外してとなれば、ゲートを塞いでいる岩を退かすのだから、シュレイノリアとウィルリーンを使って、重い岩を軽くして退かそうと考えている事が分かって、ウィルリーンにも指示を出したのだ。


 ジューネスティーンは、ユーリカリアの指示の速さを見てから、シュレイノリアとウィルリーンが、ゲートの方に歩き出したのを見て指示を出した。


「あと、兵士の皆さんが、手伝ってくれるので、魔法紋はどんどん刻んでくれ。」


 それを聞いていた、ツカエ少尉も慌てて兵士に指示を出す。


 50人ほど、半数が動いて、シュレイノリアとウィルリーンの方に行く。


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