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盗賊団 〜後処理〜


 興奮状態のアメルーミラにシュレイノリアは、手を翳す。


 すると、アメルーミラは、ぐったりとして、力が抜けると持っていた剣が手から離れて地面に落ちる。


 シュレイノリアの横にユーリカリアが来る。


「どうしちまったんだ、何時ものルーミラらしくないな。」


「過去に盗賊に襲われて、父親を亡くしているらしい。 おそらく、その時のことが思い出されたのだろう。」


「ふーん。」


 そう言っていると、ウィルリーンが寄ってきた。


「ねえ、この盗賊たちだけど、どうする? 」


「とりあえず、縛り上げよう。 ウィル、お前、収納魔法の中にロープとか入ってないか? 」


 ウィルリイーんは、少し困ったような顔をする。


「有るにはあるけど、ほら、テントに使ったロープとかだけよ。 あれを切って使ったら、テントを使う時に困るわ。」


「それもそうだな。」


 そんな話をしていると、シュレイノリアが、2人に声をかけてきた。


「そんなことより、雷で死んだ盗賊はいないか? 」


 ユーリカリアとウィルリーンは、それを聞かれると、忘れてたような表情をする。


「私は、最初から押さえて撃ってたわ。 しばらく麻痺が続く程度に。」


「私も、そのつもりで撃った。 多分、大丈夫だと思う。 多分。」


 シュレイノリアは、それを聞くと、少し慌てる。


「全員で、盗賊の安否を確認、怪我のありそうな者を優先して馬車の近くに運ぶ。」


 そう言われて、シェルリーン、フィルルカーシャ、フェイルカミラの3人が慌てて、盗賊たちを見に行くと、その後を、アリアリーシャとアンジュリーンが続く。


「あのー。」


 御者台にアメルーミラを抱えているヴィラレットが、シュレイノリアに声をかける。


「ルーミラは、御者台に寝かせておけ。 もう少ししたら目を覚ます。 お前も盗賊達を集めてこい。」


 シュレイノリアに言われて、ヴィラレットは、アメルーミラを御者台に寝かせると、5人のあとを追って行った。


 すると、ジューネスティーン達3人が、後方にいた盗賊団を抱えて、馬車の近くに来る。


「ジュネス。 その盗賊達が目を覚ます前に、錬成魔法で手錠を作ってはめてほしい。」


「わかった。」


 そう言うと、抱えていた盗賊を下ろすと、パワードスーツから出る。


「じゃあ、俺達3人で手錠を作って、こいつらにはめておくよ。」


 残り2人も盗賊達を下ろすと、パワードスーツから出てジューネスティーンを手伝い始める。


「ああ、手錠は、複雑なものでなくて良い。 壊れない程度で構わない。」


「わかった。」


 シュレイノリアが仕切って盗賊団を集め出す。


「ユーリカリアとウィルリーンは、盗賊の頭を確保してくれ。 あっちは、そろそろ、意識が戻りそうだ。」


「わかった。」




 分担して盗賊達を集めていると、フェイルカミラがシュレイノリアを呼んだ。


 シュレイノリアが、フェイルカミラの元に行くとフェイルカミラは、1人の盗賊の様子を伺っていた。


 その盗賊は、最初にアメルーミラが水魔法で吹っ飛ばした男だった。


「シュレ、この人は、やばいかもしれない。」


「わかった。 ちょっと見る。」


 シュレイノリアはそう言うと、倒れた盗賊の脇にしゃがみ込んでいるフェイルカミラとは反対側にしゃがみ込む。


 手をかざして、目を閉じるが、すぐに目を開ける。


「倒れた時に頭を打ったようだ。 頭の中に血が出ているようだ。 直ぐに手当てをする。」


「シュレさん、そんな事まで分かってしまうのですか。」


 フェイルカミラ感心する。


「話は、少し待て、今、頭の中の切れた血管を塞いでいる。」


 シュレイノリアは、盗賊の頭にかざした手をそのままにして呟いた。


「よし、破けた血管は塞いだ。 あとは出てしまった血液を脳内から抜く。」


 そう言うと、頭の皮膚から血が滲み出てきて、それが垂れて地面を赤く染めた。


「よし、これで、しばらく様子をみよう。 こいつは、しばらく動かすな。 後で板を持ってきて、そこに乗せて移動させよう。 すまないが、フェイルカミラ、この男を見ていてくれ、何か様子がおかしくなったら直ぐに知らせてほしい。」


「ああ、分かった。 様子を見ておく。」


 その男の事をフェイルカミラに見させると、シュレイノリアは、他の盗賊達を見に行く。


 他は、特に目立った怪我は無かった。




 ジューネスティーンは、手錠を完成させると、次々と盗賊達にかけていく。


 最初に完成させた手錠は、盗賊の頭と思わしき男に使った。


 その男は、体格も良く、屈強な冒険者風の男だった事もあり、しばらくすると、意識が戻り、最初に話せるようになった。


 ただ、体は、麻痺が続いており、時々、手錠を引きちぎろうとするが、力が全く入らない様子で、1・2度、両手を引き離すようにしたが、無理だと分かると、大人しくしていた。


 ジューネスティーンと男子達によって、作られた手錠は、盗賊全員にかけられると、大怪我をした盗賊を移動させた。


 途中で意識を取り戻したようだったが、フェイルカミラによって、安静にさせていた。


 最後に、テーブルの天板を持ってきて、その盗賊をゆっくりと運んで、日陰になるような所に置く。


 シュレイノリアが大怪我をした盗賊の様子を確認する。


 特に問題は無いが、怪我をした場所が頭だった事で安静にさせることとなった。




 詳しい事を知らなかったジューネスティーンは、シュレイノリアに状況を聞くと、シュレイノリアは答えた。


「あれは、ルーミラが最初に攻撃した男だ。 吹っ飛ばされた時、頭を地面に叩きつけられたようで、脳内出血していた。 魔法で、血管を塞いで、脳内の血は頭の外に逃した。」


「ああ、それで、髪の毛が少し血で染まっていたのか。」


 その説明を聞いてジューネスティーンは納得したようだが、盗賊団に対しての行動は、今までのアメルーミラには考えられない事だったので、少し驚いているようだ。


「ちょっと、これから後が心配だな。 ルーミラの様子は、必ず誰かに見てもらってないといけないな。」


「分かった。 分担して、ルーミラを見ておこう。」


 2人のアメルーミラに対する考えが少し変わったのかもしれないが、以前の話を聞いている。


(盗賊に対する恐怖や怒り、そういった感情が入り混じっているのかもしれないな。 それに、冒険者として活動を始めて自信が持てたことで、爆発してしまったのかもしれない。 何とかしてあげなければいけなのかな。)


 ジューネスティーンは、アメルーミラの感情を抑えなければならないと感じているようだ。


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