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盗賊団 〜シュレイノリアの交渉とリーダーシップ〜

 

 シュレイノリアは、ウィルリーンに声を掛けた、最初に姿を現した男を睨みつつ、ユーリカリアに聞こえる程度の声音で話しかける。


「ユーリカリア、雷魔法は撃てるか。」


「ああ、問題無い。」


「合図をしたら、今喋った男に放て。」


「わかった。」


 ユーリカリアにせよ、メンバー全員が武器を携帯してない。


 岩を退かす為なので、邪魔になる武器は携帯せずに出てきたのだ。


 ただ、武器を携帯してなくても、メンバー達には、焦った様子も、オドオドした様子も無く、周囲を警戒していた。


 ただ、1人だけ御者台に座っているアメルーミラだけは、かなり怯えた様子を見せていた。




 近寄ってきた1人が、最初に声を上げた男に声をかける。


「女だけですぜ、ボス。 しかも、亜人ばかりだ。」


 喜んだような声をあげた。


 そんな盗賊たちを気にする事なく、シュレイノリアは、盗賊たちを睨みつけていた。


「私たちは、ここを通る。 ここの岩を退かしたいだけだ。 手伝ってくれるなら、それ相応の代価は払おう。」


 シュレイノリアが、大きな声で、交渉に入った。


 男達は、苦笑いをする。


「何がおかしい? 」


 シュレイノリアは、男達に聞く。


「お前、自分の立場が分かって言っているのか? 」


 シュレイノリアは、不思議そうな顔をする。


「立場とはどう言う事だ? 私達は、この街道を通りたい。 そこにある岩を退けるために、手伝いをお願いした。 その労働に見合った代価を払おうと言ったのだが。 おかしな事を言った覚えはない。」


 すると、最初に喋ったこの盗賊団のボスが、話だす。


「では、代価の交渉をしようか。 代価は、お前達の持ち物全てと、ここに居るお前達だ。」


「それは、代価にならない。」


 すると横から、もう1人がシュレイノリアに声をかける。


「お前達は、今から俺達の物になったんだ。 大人しく命令に従え。」


「それは無理だ。」


「お前達は、丸腰。 こっちは武器を持っている。」


「だから、なんだと言う? 高々、27人で私たちを包囲しただけ、持っているのは、安物の剣と、安物の弓だけだ。 それだけの武器で勝ったつもりなのか? まあ、全員がエルメアーナの打った剣を持っていたとしても、私たちには勝てない。」


 周りの男達は、笑っていたが、ボスと言われた男の表情が変わる。


 全員の人数を言い当てられた事と、最近、噂になっているエルメアーナの剣と言われて表情が変わった。




 すると、遠巻きに弓矢でシュレイノリア達を狙っていた盗賊達から、悲鳴とまではいかないが、驚いたような声がした。


「これで、弓矢は、撃てなくなった。」


 シュレイノリアが、ボスらしき男に言うと、そのボスらしき男の表情が険しくなる。


「今、弓矢の弦を全て切った。」


「魔法か。」


「そうだ。 ここにいる10人が全て魔法が使える。 1人だけでもお前達全員を一撃で倒せる。」


 ボスらしき男の顔が更に険しくなる。


「ボッ、ボス、、ハッタリです。 10人が魔法を使えるなんて冒険者なんて聞いた事ないですぜ。」


「今、私たちは、9人が雷魔法で、1人が水魔法で狙いをつけている。 一瞬で、全員を倒す事になるが、それでも良いなら、近づくが良い。」


 シュレイノリアは、全員の魔法を熟知している。


 アメルーミラ以外が全員が雷魔法を使える事、そしてアメルーミラが水魔法を使える事から、魔法を放てると伝えたのだ。


 だが、そう言った事で、メンバー達には、全員に雷魔法を使えと伝えた事になった。




 沈黙が続く、ジューネスティーン達は、馬車の中で待機している。


 もう、何時でも出れるようになっているだろう事は、シュレイノリアにも分かっている。


 だが、相手が何も言わず、攻撃もしてこないところを見ると、相手も悩んでいるのだと分かる。


 こんな時は、恐怖に負けて攻撃を仕掛けてしまう事が怖い。


 偶発的に起こってしまう攻撃で、混戦になってしまう事もある。




 シュレイノリアは、こんな時一番心配なのは、戦闘経験の少ないアメルーミラが、恐怖に駆られて突然動き出すことを警戒している。


 アメルーミラの表情には、何時も戦闘で見せるような表情は無い。


 シュレイノリアには、恐怖心が表に出ているように見えるのだが、その中に何か別の感情が有るように見えるのだが、それが何なのかは分からないが、アメルーミラの動きに警戒をしているようだ。




「ボス、高々、女が10人ですぜ、しかも丸腰だ。 武器を持った冒険者だって引けを取らねえ。」


「そうですぜ、これだけの女達と遊べると思ったら、あっちの方もビンビンなんですぜ。」


「そうですよ、ボス。 亜人だらけ、しかも全て女ですぜ。 また、楽しんだら、帝都の奴隷商に売って一儲けしましょうぜ。」


 その言葉にアメルーミラが反応した。


 悲鳴のような声を上げると同時に、水魔法を、奴隷商に売ると言った盗賊に放った。


 アメルーミラの作った水は、1m程の水球となって、その奴隷商に売るといった盗賊に当たると、その盗賊を5m程吹っ飛ばしてしまった。


 シュレイノリアは、それを見て、しまったという表情をする。


「撃て! ヴィラは、アメルーミラを抑えて! 」


 そう言うと、一斉に剣や槍のような近接武器を持った周辺の盗賊に雷が落ちる。


 周辺にいた盗賊が、一気に、7人が雷に打たれると、遠方にいて弓を持っていたのだが、シュレイノリアに弓の弦を切られてしまったので、近寄っていた9人に雷が落ちる。


 それと同時に馬車の後ろから3台のパワードスーツが順番に飛び出すと、残った10人の退路を塞ぐように配置する。


 10人の女子の集団と思っていた所に、新たに3台のパワードスーツが、ホバー機能を使って、一気に退路を塞ぐと、その10人に雷が落ちる。


 盗賊達は、感電して引き攣ったようになって、全員が地面に倒れた。




 ただ、御者台に居たアメルーミラは、ヴィラレットに抑えられてはいるが、御者台に置いてあった剣を抜いて飛び出そうとしている。


「こいつら、全員殺してやるーっ! 」


「よせ、ルーミラ。」


「離せ! ヴィラ! こいつら全員殺さないと、全員不幸になるっ! 」


「もう終わったんだ。 よせ。」


「終わってないっ! こいつら全員死ぬまで終わってないーっ! 」


 アメルーミラは、必死になってヴィラレットの制止を振り切ろうともがいている。


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