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帰路 〜ゲートの手前〜


 ジューネスティーンは、御者台のアメルーミラに声をかけた。


「ルーミラ、何かあったのか? 」


「前が、塞がっていて進めないんです。」


 ジューネスティーンは、そう言われて、前を見ると、左右の崖切れている丁度ゲートの位置に岩が、いくつも転がっていて通り抜ける事ができそうも無かった。


 御者台にはアメルーミラの他にヴィラレットも居た。


(一応、警戒しておくか。 歴史的には、ここは、昔、盗賊が隊商を狙っていた場所だからな。)


「ユーリカリアさん。 そっちのメンバーの人と、うちのアンジュとアリーシャ姉さんを連れて通路の確保を始めてもらえませんか? 男子3人は、パワードスーツを使うことにします。 先に軽量化の魔法を2人に教わって付与しててください。 軽量化させても、数が数ですから、パワードスーツも有った方が楽でしょうから用意してから出るようにします。」


「ああ、そうだな。 じゃあ、先に行く。」


 そう言うとユーリカリア達の5人とアリアリーシャ、アンジュリーンの合計7人の女子が馬車を降りる。


「シュレ、3人のパワードスーツとインナースーツを出してくれ。」


 シュレイノリアは、馬車の中央に並んでいる椅子を収納魔法にしまうと、馬車の中にパワードスーツを3台出した。


(おい、全員が降りたとはいえ、ここに3台はキツイだろう。)


 そして、インナースーツを3人分出すと、馬車の外に出ていった。


「直ぐに着替えて、パワードスーツに乗り込め。」


 3人は、着ている物を脱ぐと、インナースーツに着替える。


 パワードスーツに乗り込むと、何やら、外が騒がしくなっていた。




 ユーリカリアは、ジューネスティーンに言われた通りメンバー達を連れて外に出ると、手前の道を岩が幾つも転がって、塞いでいた。


 この場所は、ゲートと呼ばれ、南北に細長い硬い岩盤が高く連なっており、ゲートと呼ばれるこの場所だけが、岩盤を隔てた東西を繋いでいた。


 そこに、今、岩がそのゲートを塞いでしまっていた。


 ユーリカリアは、やれやれと思いつつ、その岩の前まで来る。


「ゲートの崖が崩れたのかな。」


 ユーリカリアは、自分に言い聞かせるように呟くと、アリアリーシャとアンジュリーンに向く。


「すまないが、軽量化の魔法を頼む。」


 2人は、ユーリカリアに言われて、唖然とした顔をする。


「えっ! 私達は、軽量化の魔法なんて、今まで使った事無いわよ。」


 それを聞いたユーリカリアが、今度は、不思議そうな顔をする。


「ねえ、ウィルさんは、どうなの? 」


 アンジュリーンが、ウィルリーンに話を振る。


「えっ! 私ですか? 私は、カインクムさんの店で、台車に付与した魔法紋を見たのと、この前のホバーボードの魔法紋の話くらいしか。 ああ、あの時に、聞いたわね。 ちょっと、試してみようかしら。」


 カインクムとの話は、内緒のはずなのだが、ウィルリーンは、思わずカインクムの店での話をアンジュリーンにしてしまった。


 アンジュリーンは、微妙な顔をするが、深く考える様子もなく、ウィルリーンの話をスルーしているようだ。




 ウィルリーンは、シュレイノリアが付与した軽量化の魔法紋を、カインクムの店で見ている。


 そして、ジューネスティーン達と始めて一緒の狩りをした時に、ホバーボードを見ている。


 同じ物をつくる為に、色々と聞いていたのだ。


「そうね。 誰でも最初が有るし、最初から成功するとは限らないわね。 何事も試してみないことには、始まらないわね。」


 そう言ってウィルリーンは、初めて使う軽量化の魔法を試してみようと思い、岩の方に進んでいく。


 すると、馬車からシュレイノリアが降りてきて、トコトコと歩いてユーリカリアの横に行く。


「ジュネスは、今、着替えている。 直ぐに作業に入れる。」


「ああ、ありがとう。」


 ただ、ユーリカリアは、シュレイノリアに向くことなく答えた。


 その目は、シュレイノリアではなく、周囲に向けられていた。


「なあ、シュレ。 周りに何人いるんだ? 」


 その声から、緊張感が伝わってくるようだったが、シュレイノリアは、そんなことには無頓着な様子でいる。


「全部で27人。」


 シュレイノリアは、なんでもないように言う。


 ユーリカリア達は、作業の為に馬車から降りたので武器を持たずに出ている。


 そして、男子3人が馬車の中でパワードスーツに入ろうとしていたので、外にいるのは、女子10人なのだ。




 ウィルリーンが、魔法の構築を考えつつ、一番手前の大きな岩の前まで来る。


「おい、そこのエルフの女! それ以上動くな。」


 それを合図のように周辺に、隠れていた男達が一斉に姿を表す。


 弓矢を持つ者が、狙いを定めて、今にも矢を放てるようにすると、残り、全員が、武器を持ち、徐々に近づいてくる。


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