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帰路 〜ツカディアへ、そして、また、〜


 馬車に乗り込むと、ユーリカリアが、一番前の席で1人で座っており、ジューネスティーン達が入ってくると、隣に来るように促した。


 その席に、ジューネスティーンとシュレイノリアが座る。


 全員が乗りこむと、馬車が走り出す。


 シュレイノリアの魔法紋のおかげで、スムーズに動き出した。


 馬車が動き出すと、ユーリカリアが提案してきた。


「なあ、ジュネス。 ツノネズミリスの討伐も終わったんだ。 帰りはのんびり、観光しながら帰らないか? 」


「えっ、ええ、まあ、構わないですけど。」


 ジューネスティーンは、突然の申し入れに、一瞬戸惑った。


 自分もユーリカリアに提案しようと思っていたので、お互いに考えることは一緒なのかと思ったようだ。


「体の疲れは、休んでいれば取れるが、精神的な疲れは、簡単じゃないからな。」


 そう言って、一番後ろに座っているカミュルイアンを指す。


 アンジュリーンに、言葉責めされた事が、相当にこたえた様子で、未だに回復する兆しは見えてない。


「あれだけの仕事をした後なんだから、癒しが欲しいと思うんだ。 1人は、別の意味で癒しが必要みたいだがな。」


 後半は、冗談なのか本気なのか、微妙なニュアンスだった。


 ユーリカリアとしても、アンジュリーンのカミュルイアンに対する反応を見て、かなり、びびっていたので、流石に、カミュルイアンの様子が気にはなっていたようだ。


「まあ、そうですね。 でも、途中に何処か観光できるところなんて有るんですか? 」


「いや、全く知らない。 何処か良い観光名所を知らないか? 」


 ジューネスティーンもユーリカリアも、心の癒しに何処かで観光すると言うのは賛成のようだが、お互いに観光できそうなところを知らないようだ。


「それじゃあ、ツカディアの街で調べてみましょう。 地元の観光名所とか聞いたり、帝都までの間にそう言う場所が有れば、行ってみましょう。 街の入り口の門番とか、宿の店員とか、食堂の従業員とか、話を聞けそうな人は、色々、いるでしょうから、何か話すことがあったら、片っ端から声をかけてみたら、案外、通いきれない程の場所を教えてもらえるかもしれませんよ。」


 ジューネスティーンが、珍しく、呑気な提案をしてきた。


「そうだな。 地元の人に聞けば、面白い場所が有るかもしれないな。」


 ジューネスティーンの提案にユーリカリアも同意した。


 観光する話は、決まったので、念のためユーリカリアに確認する。


「それで、ツカディアの宿ですけど、前の宿にしますか? 」


 その質問に、ユーリカリアは、あまり、いい顔をしなかった。


「あの時は、ジュエルイアン商会が宿代を持ってくれたからな。 今回は、そうはいかないだろう。 あの宿に泊まるなら、大商人か貴族だろう。 冒険者が来てハイそうですかって、泊まらせてはくれないだろう。」


 ユーリカリアは、身分不相応な宿だったので、落ち着かなかった事もあっただろうが、やはり、金額が気になったようだ。


「それもそうですね。 では、宿もツカディアの街の入り口で聞いてみましょうね。」


 宿の話はそれで終わる。




 ジューネスティーンは、御者台のアメルーミラに声をかける。


「ルーミラ、今日は、さっきも話したようにツカディアの街に泊まる。 夕方までに入れれば良いから、地竜にも、無理はさせないように走らせてあげてくれ。 あと、時間を見て、適当に休みも入れて欲しい。」


「わかりました。」


 アメルーミラは、返事をすると、地竜の好きな速度で走らせるように手綱を調整する。


 ただ、往路の時より、若干遅い程度のようだ。


 地竜としても、馬車を引いている感覚は特にないので、かなり軽快に走っている。




 ツカディアの街には、夕方どころか、午後ではあったが、かなり日の高い時間に入れた。


 入り口に着き、街の入り口の門番に、宿について聞くと、前回泊まった宿を紹介された。


 高級な宿ではなく、一般人や冒険者が使う宿を聞こうとしたところ、宿は、ツカ辺境伯が手配しているので、こちらの街に入った時は、必ず、その宿に送るように言われているとの事だった。


 門番に言われて、やむなく、往路で使った宿に向かった。


 宿に着くと、最初にラウンジに通された。


 部屋の準備が整うまで、ラウンジで待って欲しいと言われた。


 流石にラウンジも開店前とあって、客は誰も居ない。


 ただ、お茶を飲む程度に考えていたのだが、お酒も出てきた。


 そして、食べたことも無いようなスィーツまで出てきていた。


 それには、ユーリカリア以外の女子が、大喜びだった。


 ユーリカリアは、喜んで酒を飲んでいたので、フェイルカミラとウィルリーンも酒を飲む姿も見えたが、喉を潤す程度の量しか飲んでいなかった。


 ユーリカリア以外は、出されたスィーツの方に目がいっていたのだった。




 かなり、沢山のスィーツが運ばれてきたのだが、流石にもう食べられそうもないと、満足そうにしていると、宿の従業員が、呼びにきてくれたので、部屋に向かう。


 ただ、案内されたのは、別館の1フロアーを使った、スイートルームだった。


 それもラウンジから別館へと、直接行ける渡り廊下を使ったので、階を降りることもなく、行き来ができるようになっていた。


 カミュルイアン達の為に、1室をと思っていたのだが、中には、10部屋有ると言われたので、その中で部屋割りをすることになった。


 ただ、困った事に、部屋は、5日間使って欲しいと言われたのだ。


 明日、出発したいと言うと、5日間分の予定も用意してあるので、そのパックに沿って行動して欲しいと言われるのだが、5日は困ると言うが、ツカ辺境伯からの指示で行っていることなのでと、5日間の滞在を、宿からお願いされる。


 途中で、休暇がてら遊ぼうと思っていたのだが、そこまで、ツカ辺境伯の世話になるのは、心苦しいとなった。


 せめて、3日にしてくれないかとジューネスティーン達は、お願いするが、宿と辺境伯との信用に関わるのでと、宿がわも譲らないので、やむなく、5日間の滞在を約束する。




 滞在中は、ガイドに連れられて、ツカディアの周辺の観光地を連れ回された。


 ただ、途中で、湯治に連れられて湯に浸かれたのは、全員が、かなり癒されたと喜んでいた。


 5日間も滞在をのばされたのだが、何もかも忘れて楽しめた事で、最後の日には、もう少し長居をしたいという意見も、メンバー達の中からでた。


 だが、予定通り、5日間滞在して、6日目の朝には、宿を立って帰路についた。


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