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ツカ少佐とツカ辺境伯


 ルイネレーヌが、離れていくと、すぐにツカ少佐が、ジューネスティーンの前に現れた。


「ジュネス君、ちょっといいかな。」


 ツカ少佐が、人を連れてジューネスティーンの方に来たので、ルイネレーヌは、気を利かせたようだが、本音の部分では、ルイネレーヌは、ジューネスティーンと知り合いだと、ツカ辺境伯領の人達に知られたくないと思っていたのだ。


「今のは、帝都から来た警備隊か。」


「はい、色々と聞かれました。」


 ただ、ルイネレーヌが、本当の警備隊ではないので、その事を色々と突っ込まれるのではないかと、ヒヤヒヤしていた。


「そうか、それは、邪魔をしてしまったようだな。 あっちも、国務大臣に報告もあるだろうから、詳しい事を聞きたかったのだろうな。」


 ジューネスティーンは、ツカ少佐が自分に都合の良い方に考えてくれたことでホッとしたようだ。


 これ以上、ルイネレーヌのことについて聞かれても困ると思ったので、ジューネスティーンは、話を振った。


「あのー、何か、ご用件が、あったのではないですか? 」


 ツカ少佐は、ルイネレーヌを目で追いかけていたが、ジューネスティーンに声をかけられて、視線を戻した。


「ああ、それで、さっきは、大した話もできなかったので、少し話がしたかったから、紹介して欲しいと言われて、連れてきた。」


 そう言って、後ろに立つ辺境伯を指した。


「まったく、こいつは、人を指さすとは、はしたない。」


 そう言うと、一歩前に出る。


「さっきは、大した話もできなかったからな。 ツカ・ベンリン・エインモンと言う。 ここの領主だ。 ツノネズミリスの討伐は本当に感謝している。」


「先程は、とても貴重なものをいただき、身に余る光栄に存じます。」


「ああ、畏まった挨拶は不要だ。 君たちは、あんな物じゃ済まない程の仕事をしてくれたのだ。 あの程度のお礼しか出来なくて申し訳ないと思っている。」


 ジューネスティーンは、答えに困った。


 今の辺境伯の話を否定しても良いのか悩んでしまって、黙ってしまう。


「ああ、済まないな、貴重な物と言ってくれて、ありがとう。 それに、昨日は、領内の鍛冶屋達に、剣の秘伝まで教えてくれたと聞いた。 本当に感謝する。」


「あーっ、でも、昨日の感じだと、剣より別の方に目が向いてましたよ。 同じ物を作っても、後発だと知名度を上げるには、何らかの付加価値がないと、売っても旨味は少ないことを知っているようでした。」




「ほーっ、うちの領民達が、そんな事を言っていたのか。 それは楽しみだ。」


「そうですね。 穀物以外にもこの土地の特産品が出来るのはありがたい。 これは鍛冶屋達に期待ですね。」


「君のお陰で、領民も豊かになりそうだな。 何から何まで君たちのおかげだ。」


「ああ、でも、鍛冶屋の方は、昨日、話をしただけですから、これから試行錯誤をするかもしれません。 喜ぶのは、完成してからの方が良いと思います。」


「ああ、そうだな。」


 ジューネスティーンが意外に慎重な意見をいった事を、辺境伯は面白いと思ったようだ。


「まだ、出来がってないものを議論して、計算するのは、愚かな事かもしれないな。 結果を出てから、喜ぶ事にするよ。」


 期待が大きすぎて、失敗した時に落胆するのは、よくある事だ。


 ただ、今回は、成功した前任者からレクチャーされた内容を実践するだけなのだから、失敗の可能性は低い。


 もし、失敗が有るとすれば、それは、作る物が剣では無いことだけなのだ。


 ルイネレーヌとしては、自分の立場があるので、ジューネスティーンに近づいてきた人を見て、知り合いと知られては、まずいと思い離れていった。


「ジュネス君、ちょっといいかな。」


 ツカ少佐が、人を連れてジューネスティーンの方に来たので気を利かせたようだ。


「今のは、帝都から来た警備隊か。」


「はい、色々と聞かれました。」


「そうか。 あっちも国務大臣に報告もあるだろうから、詳しい事を聞きたかったのか。」


 ジューネスティーンは、ツカ少佐が自分に都合の良い方に考えてくれたことでホッとしたようだ。


「ああ、それで、さっきは、大した話もできなかったので、少し話がしたかったから、紹介して欲しいと言われて、連れてきた。」


 そう言って、後ろに立つ辺境伯を指した。


「まったく、こいつは、人を指さすとは、はしたない。」


 そう言うと、一歩前に出る。


「さっきは、大した話もできなかったからな。 ツカ・ベンリン・エインモンと言う。 ここの領主だ。 ツノネズミリスの討伐は、本当に感謝している。」


「先程は、とても貴重なものをいただき、身に余る光栄に存じます。」


「ああ、畏まった挨拶は不要だ。 君たちは、あんな物じゃ済まない程の仕事をしてくれたのだ。 あの程度の、お礼しか出来なくて申し訳ないと思っている。」


 ジューネスティーンは、答えに困った。


 今の辺境伯の話を否定しても良いのか悩んでしまって、黙ってしまう。


「ああ、済まないな、貴重な物と言ってくれて、ありがとう。 それに、昨日は、領内の鍛冶屋達に、剣の秘伝まで教えてくれたと聞いた。 本当に感謝する。」


「あーっ、でも、昨日の感じだと、剣より別の方に目が向いてましたよ。 同じ物を作っても、後発だと知名度を上げるには、何らかの付加価値がないと、売っても旨味は少ないことを知っているようでした。」


 それを聞いて、ツカ辺境伯は、嬉しそうな表情をする。


「ほーっ、うちの領民達が、そんな事を言っていたのか。 それは楽しみだ。」


「そうですね。 穀物以外にもこの土地の特産品が出来るのはありがたい。 これは鍛冶屋達に期待ですね。」


 ツカ少佐も今の話を快く思ったようだ。


「君のお陰で、領民も豊かになりそうだな。 何から何まで君たちのおかげだ。」


「ああ、でも、鍛冶屋の方は、昨日、話をしただけですから、これから試行錯誤をするかもしれません。 喜ぶのは、完成してからの方が良いと思います。」


「ああ、そうだな。」


 ジューネスティーンが、意外に慎重な意見をいった事を、ツカ辺境伯は面白いと思ったようだ。


「まだ、出来がってないものを議論して、計算するのは、愚かな事かもしれないな。 結果を出てから、喜ぶ事にするよ。」


 期待が大きすぎて、失敗した時に落胆するのは、よくある事だ。


 ただ、今回は、成功した前任者からレクチャーされた内容を実践するだけなのだから、失敗の可能性は低い。


 もし、失敗が有るとすれば、それは、作る物が剣では無いことだけなのだ。


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