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レイミンの観光案内


 食事が終わり、一旦、部屋に戻ろうとすると、警備担当の兵士から、話かけられた。


「今日のご予定は、何かございますか? 」


 それを聞いて、ジューネスティーンとユーリカリアは、顔を見合わせた。


 お互い、今日の予定は何も考えてない。


「今日は、特に、これといった予定は無い。」


 ユーリカリアが、答えると、兵士が提案してきた。


「それでは、この周辺の、観光名所などを紹介させていただけないでしょうか。 全て、こちらで手配いたしますので、労いの意味も込めて、もてなさせてもらえないでしょうか? 」


 それを聞いて、アンジュリーンが、口を挟んできた。


「えー、軍人さんのエスコートなの? なんだか、隊列を組まないと不味そうよね。」


 軍人に囲まれて観光する事を嫌ったのだ。


 ただ、他も同じような事を考えたのだが、アンジュリーンのように言葉に出すような事は無かったのだが、アンジュリーンの一言で、自分の言えない事を、アンジュリーンに言ってもらって、助かったような様子を見せていた。


「我々は、周りを警護しますが、可能な限り目立たないようにさせてもらいます。 観光には、ガイドを用意させていただきますので、そのような心配はご無用です。」


 あくまで、警備は遠巻きに行う事で、ジューネスティーン達に、楽しんでもらうための、イベントだと強調するようにしたのだ。


 ジューネスティーン達は、どうしたものかと思った様子でいると、警備担当の兵士が、声をかけてきた。


「ああ、ちょうどこちらに来ました。」


 食堂の入り口に、一般人風の女性が現れた。


 着ている服は、それなりに高価な服に見えるが、貴族の着るような服では無かった。


 その女性は、警備の兵士の横に来ると、お辞儀をして話し始めた。


「初めまして、ガイドのカエカ・カンモン・レイミンと申します。 レイミンと呼んでください。 今日一日、辺境伯領内をご案内させていただきます。」


 手回しが良い事に少し圧倒されるジューネスティーン達だが、どうしたものかと思っていると、ユーリカリアが、話し出した。


「なあ、ジュネス。 せっかくだし、お言葉に甘えてはどうだ? 」


 ユーリカリアがそう言うならと、ジューネスティーンも流された。


「そうですね。 断る理由も無いので、お願いしましょう。」


 ジューネスティーン達は、駐留軍の申し入れを受け入れて観光をすることとなった。




 移動用の馬車は、レイミンが3台用意してくれた。


 かなり、高級そうな4頭だての馬車だった。


 すると、シュレイノリアが、レイミンの前に行く。


「じゃあ、これはお礼だ。」


 そう言って、馬車に魔法をかけていく。


「うちの馬車と同じ魔法紋を施した。 馬達が楽になる。 それに乗り心地も良い。」


「はあ。 ありがとうございます。」


 レイミンは、何をしたのかよく分からないまま、答えていたが、動き出してから、その魔法紋の効果を実感したようだ。




 ジューネスティーン達は、1日、レイミンに連れられて観光を行った。


 途中、昼食には、地元の酒蔵が営業している食堂での食事となり、ユーリカリアは、食事より、地元の酒を楽しんでいたのは言うまでもない。


 景色を楽しめるところなど、いろいろ、動き回ることになったのだが、移動の際の馬への負担が大きく減っていた事で、移動にかかる時間が通常より短くなっていた。


 それで、観光する場所場所に時間が掛けられたのだが、それでも、予定していた時間より早くなったという事で、一つ多めに回る事ができたとレイミンは喜んでいた。




 観光を終わらせて、宿に戻ると、夕食も豪勢なものを出してもらえた。


 後から、料理長が、ジューネスティーン達に挨拶に来た。


「皆様、ツカディヲの街はいかがでしたか? 」


 適当に話を合わせるように答えると、料理長は嬉しそうに話をし始めた。


「今日は、領主様から食材の提供をしていただけました。 お客様の為に使うようにと、高価な食材もいただけたのですけど、その中に、調味料まで入っていたのですよ。 貴族の方々が、使う調味料なんて、その辺じゃ、売ってないので、私も修行に行っていた店で、味見をさせてもらった程度だった調味料だったので、そんな物まで、届けてもらえたのです。 ああ、お客様のお陰で、一生使うことなど無いと思っていた調味料を使わさせてもらえました。 本当にありがとうございます。」


 ただ、その調味料を用意したのは、このツカ辺境伯領の領主なので、ユーリカリアもジューネスティーンも、その料理長の話を、どうやって答えて良いかと、困ったような顔をしていた。


 ツカ辺境伯領は、内陸ということもあり、塩も手に入れ難いが、それ以上に、調味料は、かなり貴重な物として扱われいる。


 物によっては、金と調味料を同じ重さで取引される物もある程貴重な物なのだ。


 通常では手に入れられない調味料も分けてもらえた事が、料理長にはとても嬉しかったのだ。


 ジューネスティーン達も、流石にその待遇の良さに、ちょっと引き気味になるが、ツノネズミリスの討伐を行ってくれた事への感謝の印だと言われて、ありがたく頂戴することになった。


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