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戦闘終結 3


 自然科学について、詳しくないセイツ少尉とメイミン曹長は、お互いに爆弾の中身が水と聞いて驚いているようだ。


「ああ、シュレ君の話によると、雷が、鉄球に立っている棒に落ちると、中の水に雷が流れて、鉄球に伝わる。 その時に棒と鉄球の表面が電極になって、水を分解して空気にするらしんだ。 水から空気に変わった時の膨張で、空気が発熱して爆発を起こすと言っていたのだが、私には何の事やらさっぱりだった。 君達なら今の説明でどんな魔法を使ったのか分からないか? 」


 2人は、今の説明を聞いて困った顔をする。


「少佐、今の話で、雷魔法を使うと爆発が起こるのだろうと理解できました。 ですが、水が爆薬になるなんて話は聞いた事がありません。」


「自分も、少尉の意見と同意見です。 水は、火を消すのに使いますが、爆発させる水なんて聞いたことがありません。」


 2人の意見を聞いて、ツカ少佐も2人が同意見だった事に安心した様子を見せた。


「お互いの意見が一致したようだな。 なので、中央付近は残ってないが、崖付近の落とし穴は、その爆弾が残っているのでな。 掘り返して回収させている。 万一、雷があの棒に落ちたら、爆発するって事だからな。 危険なものは、回収させてもらっている。 あとは、軍本部に送って、解析してもらおうと思っている。」


 今の話を信じられないと思うのだが、ツノネズミリスの討伐の監視をしていた際に、落とし穴での爆発を目撃してしまっている以上、真実なのだろうと思うしかないのだ。


「わかりました、少佐。 今回の偵察では、信じられない内容だろうと、そのまま伝えるようにと厳命されております。 自分達の理解を超える現象を彼らが使っているからだと、自分に言い聞かせて、そのまま、伝えておきます。」


 メイミン曹長は、ツカ少佐に断りを入れる。


「ああ、その方がいい。 彼らの技術は、私程度じゃ計ることができない。 そのまま報告して専門機関に調査を依頼した方が良い。」


(しかし、これを信じてくれる人が帝国軍の技術部に居るのだろうか?)


 ツカ少佐は、心配そうな表情をするのだが、それは、セイツ少尉もメイミン曹長も同意見なのだ。


「ああ、それと、彼らは、あのフルメタルアーマーの事を、パワードスーツと呼んでいた。 骨格を人の外部に作って、そこに装甲を付けてあるので、脱いでも立っていられるとの事だった。 それと、生息地に4台のパワードスーツが向かったが、ここで、そのパワードスーツを使って話をしていた。」


 2人はその4台のパワードスーツを追いかけて行ったのだ。


 この高台の陣地からの距離は、3km以上有るのだ。


 そんな距離が離れていて、話ができると聞いて、さらに驚いていた。


「なんでも魔法で、“でんじは” というものを使って、声を乗せて送っているらしい。 送信機と受信機があるらしいが、その方法については、聞いたのだが、覚えられなかった。 ただ、“でんじは” というのは、雷の周りに渦を巻くように発生するらしい。 それと、“でんじは” は目に見えないとも言っていた。」


「わかりました。 それもそのまま、伝えておきます。」


 メイミン曹長は、困ったような顔でツカ少佐に答えた。


「すまないな。 メイミン曹長。」


 ツカ少佐も、流石に自分の理解してない内容を伝言ゲームで報告させる事に気が引けたようだ。


「しかし、今の話を聞くとギルドが持っている魔法の通信装置の様ですね。 それを、あのパーティーが作ってしまったのですか。」


 セイツ少尉は、ギルドが独占している、各ギルドの支部と出張所を結んでいる、通信用の魔道具のことを思い出した。


 ジューネスティーン達は、ギルドが独占している技術も作ってしまったのかと思うと、驚きを飛び越して呆れてしまったようだ。


「ああ、これは、私が、彼らと話していて思った事だが、魔法以外の事は、全てジュネス君が作ってしまったようだ。 それをシュレ君が魔法を開発して、あんなとんでもない動きができるみたいなのだが、ジュネス君、1人でも、シュレ君の魔法を使う事ができると思うんだ。 ただ、あのパワードスーツは、シュレ君がいた事で6台を作って、今回の作戦に使う事ができた。 シュレ君が居なければ、まだ、未完成のまま、魔法の研究をしていたところかと思えるんだ。」


 その話を聞いて、セイツ少尉は、顔を顰めた。


 魔法について、シュレイノリアの能力が、ずば抜けているという話は聞いていたのだが、そのシュレイノリアの魔法と同等の能力を、ジューネスティーンも持っていると、ツカ少佐は言うのだ。


 それは、今までの前情報として聞いていたのは、ジューネスティーンの体格から、盾役がメインなので、剣などを使った物理攻撃が得意だと思っていたのだ。


 だが、ツカ少佐の話が事実だとすると、物理攻撃が優秀で、魔法攻撃も、遥かに高い攻撃力を持っている事になるのだ。


 そんな万能な戦士など、今まで聞いた事が無いのだ。


「それは、どういう意味なのでしょうか? 」


 セイツ少尉は、ツカ少佐に確認せずにはいられなかった。


「ああ、鎧とかは、ジュネス君が作って、その間に魔法をシュレ君が開発していたのだろうが、もし、ジュネス君だけでも魔法も開発できただろう。 2人が居たから、開発完了が早くなったのだろうと、私はそう感じた。」


 セイツ少尉は、、ツカ少佐の話から、一つの結論に至った。


 それを、ツカ少佐に聞いてみる。


「それは、あのジューネスティーンにも、シュレイノリアと同等の魔法を使えると言う事なのですか? 」


「ああ、私は、そう思った。」


 セイツ少尉は、昨日の短時間で、落とし穴の中に幾つもの爆弾を用意したのを見て、今日、その爆弾の威力を見たのだ。


 しかも、通常の軍隊が対応しても、数十日は掛かるであろう、ツノネズミリスの討伐を1日掛からずに完了してしまったのだ。


 数千人の兵士で数十日掛かる討伐を、12人で1日掛からずに終わらせてしまったのだ。


 明らかに力の差が、有り過ぎる相手なのだと、改めて実感したのだ。




 ツカ少佐の話を聞き、セイツ少尉は、監視対象であるジューネスティーン達について、今まで自分では気が付かなかった内容について聞かされた。


「それは、きっと、実際に話してみたから分かった事なのでしょうか? 」


「多分、そうだな。」


 ツカ少佐も、セイツ少尉が言葉にした事で、ジューネスティーン達の能力の高さは、計り知れないものがあり、接触する前にセイツ少尉達から聞いた話だけでは、分からなかった部分が、接触してみて初めて分かったのだ。


 ツカ少佐は、セイツ少尉の言葉に同意した。


 すると、ツカ少佐は、パワードスーツの剣を見た時の事を思い出したようだ。


「ああ、忘れてた。 君達は、魔法職だから、分からないかもしれないが、最近、南の王国に、とてつもなく斬れる剣が、出回っている噂が有るんだが、それも元は、ジュネス君の技術から作られたようだ。 その南の王国の鍛冶屋が、ジュネス君の剣の作り方を聞いて作ってしまったそうだ。」


「そうですか。」


 流石に、魔法職であるセイツ少尉は、剣については詳しくは無い様子で、それについて詳し事を聞く様子は無かった。


 メイミン曹長は、早速、アンミン曹長に念話を送っているようだが、受けた相手も、話が、常軌を逸していると思ったのだろう、メイミン曹長が何ども同じ事を話していることで、受け手も信じられない話を聞いて聞き返しているように見える。


(この2人と落とし穴に向かっているサイツ軍曹も、大変な連中と関わってしまったようだな。 まあ、それは俺も一緒か。 この後、本部に根掘り葉掘り聞かれることになりそうだな。)


 2人の様子を見て、これから帝国軍本部が、どんな方針を立てるのか、ツカ少佐は気になるのだった。


(殿下次第なのだろうが、可能な限り友好的な関係を結んでおいて欲しいものだ。)


 ツカ少佐は、ジューネスティーン達と事を構えたく無いと思ったようだ。


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