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パワードスーツから出る2人


 ジューネスティーンが、背中を開いてパワードスーツから、上半身を出すと、開いた背骨に両手を掛けて、腕だけの力で両足を引き抜くと、上半身を倒立する様な体勢から、腰をくの字に曲げてパワードスーツの後ろに降りる。


 後は、ふくらはぎの第二装甲が地面と平行になる様に開いているので、その部分に足をかけると、そのまま、地面に降りた。


 ジューネスティーンは、パワードスーツの背中は開いたままにして、シュレイノリアの方に移動した。




 シュレイノリアは、背中を開くと上半身を出すのだが、それ以上の事はせずに、ジューネスティーンを見る。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアのパワードスーツの後ろに回ると、ふくらはぎの第二装甲の上に乗り、シュレイノリアの脇を両手で持って、上に引き上げる。


 シュレイノリアは、パワードスーツの腰に足を乗せると、両手を開いた背骨におくと、ジューネスティーンは、ふくらはぎの第二装甲から降りる。


 シュレイノリアは、ゆっくりとしゃがみ込んでから、恐る恐る足を腰からふくらはぎの第二装甲に片足を下ろし、足場を確認する様にしてから、もう一方の足を下ろしいてから地面に降りる。


「ジュネス君、そのフルメタルアーマーなのだが、どうなっているんだ。」


 ツカ少佐が、パワードスーツから出たところで、話しかけてきた。


「なんで、装備されてなくても立ってられるんだ。 それに、あの動きはどうなっている。 地面を走るんじゃなくて滑る様にして移動して他じゃないか。 それに君の剣、あの切れ味はなんなんだ。 あんな細身の剣なのに馬ほどのツノネズミリスの首を簡単に落としてしまったじゃないか。 あんな細身の剣なら、折れてしまうだろ。 お前の魔法もだが、持ち物全てがこの世の物とは思えない性能を有しているじゃないか。」


 ジューネスティーンは、面倒な事になってしまったと思った。


「ツカ少佐、この2人が私たちの常識に当てはめて考えたらダメですよ。」


 ウィルリーンが高台の淵の壁に背をもたれさせてツカ少佐に話しかける。


「私は、魔法を使います。 時には、国の魔法機関に意見を求められたこともありましたけど、シュレさんの魔法を知ってから、自分の魔法なんて高が知れていると思いました。 今更、そんな事で驚いていても仕方がないですよ。」


「そうですよ。 あの地竜の速さだって、馬車を引く速さじゃ無いですから。 あれだって何か魔法の力でどうにかしているはずです。 最初に乗った時なんて、走るスピードが怖かったくらいです。」


 ウィルリーンにつられてフィルルカーシャも話し出した。


「そうだ、ジュネスの剣なら、半端なく切れる。 細身で出来ているから軽いので剣速も早い。 重さを利用して切り潰すんじゃなく、本当に切るって感じなんだよ。 ほら、あんたも南の王国にとてつもなく切れる剣を売る店の話は聞いたことはないか。 あれも、ジュネスが絡んでいる。 製法やら何から何までで、ジュネスの剣を真似して作った。 私のが、その南の王国の剣。」


 そう言って、自分の剣を指さしていた。


「ああ、それに、ヴィラレットの剣も、そのジュネスの剣を真似て打ったものだ。」


「あっ、ええ、とても斬れます。 とんでもない切れ味の剣です。」


 ヴィラレットが話を振られて慌てて答えていた。


「そうですよ。 彼らは、とんでもない人なんです。 私の眉毛、片方が薄いのですけど、これは、先日火魔法を伝授してもらった時の遺産です。 教えてもらった時に眉毛を燃やしてしまいました。」


「ああ、私も、その時、火魔法で前髪を燃やしました。」


 それを聞いて、ツカ少佐の顔色が変わる。


「おい、その眉毛とその前髪がって、2人とも、まだ、治ってないのにさっきの魔法って、あれだけの魔法なら1人で師団クラス相手にできる程なんだぞ。」


「ああ、ちなみに今日の様に魔法が打てる様になったのは3日前だ。 私達自身だって信じられないんだ。」


「ウィルリーン以外、魔法を覚えたのは、・・・。 10日位か? あーっ、今は、計算とかしたくない。」


 ユーリカリアが、面倒くさそうにする。


「あれだけの魔法を放ったのだから、もう少し頭に栄養を与えてからですね。 リーダーは、肉体派なのですから、計算はよした方がいいです。」


「ふん。」


 フェイルカミラに突っ込まれて、ユーリカリアは不貞腐れた様な顔をする。


「ツカ少佐、彼らが人間だとしたら、私たちは、蟻ほどの知識しか持ってないのかもしれません。 色々、聞きすぎると何も覚えられなくなりますよ。」


 最後にウィルリーンが締めてくれた。




「そうだな。 その能力を我が国の為に使ってもらいたいと思うが、・・・。」


 ツカ少佐はそこまで言うと、その先を言う事をやめてしまった。


「私は、この駐留軍の司令官として、君たちとは、友好的に接するだけだ。 変に欲を描いて余計な事にならない様にするのが役目だった。 これ以上の事は聞くのをやめておくよ。」




 ジューネスティーンは、それを聞いてホッとする。


(帝国にも話が分かる人が居るのか。 前情報とは、少し違う。 いや、人の心は、国の考え方と同じとは限らないからな。 その国の人が、全て国と同じとは限らないってことか。)


 ジューネスティーンは、悟った様な顔をする。


「とりあえず、ひと段落ついたところです。 あとは、魔物の渦の破壊ですけど、今、魔物の渦を確認してます。」


「ジュネス君、ツノネズミリスの討伐に、そんな事もあるのだろうか? 」


「おそらくですけど、今までのツノネズミリスの討伐は、このような形で誘き寄せて討伐ではなく、生息している地域に前衛に防護の高い盾役を並べて、迫ってくる所を隙間から攻撃と後方の魔道士部隊によっての魔法攻撃だったんじゃないでしょうか。 そうなると、徐々に範囲が狭められていく時に、魔物の渦も破壊できていたのじゃないかと思うんです。」


 ツカ少佐は、言われて、12年前のツカラ高原のツノネズミリスの討伐に軍が取った作戦が、そんな方法だった事を思い出した様だ。


「ああ、確かにそんな感じだった。」


「その時の攻撃で魔物の渦も一緒に破壊できたと思います。」


「なる程。 そうなるな。」


(そう言えば、前回の討伐の時、ある時から、急激に討伐が楽になったな。 最初は、全く減る気配が無かったのに、徐々に包囲を縮めていった後に、急に包囲の縮まり方が早くなった。 攻撃によって、魔物の渦を潰したって事だったのか。)


 ジューネスティーンの言葉を聞いた、ツカ少佐は話が繋がったのだ。


「でも、今回は、ツノネズミリスを誘き寄せてますから、魔物の渦には弓矢の攻撃の一つも無いのです。 なので、今回は、魔物の渦の破壊を別に行う必要があるのです。」


「なる程、それで、君のところの4人がそれに向かっているってことか。」


「魔物の渦は、何かが触媒となって渦になると思われますから、その周辺を破壊してみて様子を伺う事になります。 1日に1匹しか発生しない魔物が、ツノネズミリスは、違うのかもしれませんが、とりあえず、ツノネズミリスが沸いているところを破壊してみて、どうなるかを見てみます。」


「魔法なりで、魔物の発生しているところを破壊してみるのか。 それで様子を見てツノネズミリスの発生が無ければ、そこで討伐が終わるのか。」


「そう言う事になります。」


 そんな話をしていると、遠くで爆発する音が聞こえてきた。


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