戦闘終結
大型のツノネズミリスを倒すと、ジューネスティーンのパワードスーツに通信が入る。
「ジュネス。 最後尾が見えたわ。 そっちに向かうわよ。」
アンジュリーンが、通信を送ってきた。
「ああ、こっちも、なんだか、大物が向かってきていた。 それを今倒した所だ。」
「ああ、あの馬みたいにデカイのね。 そうだったの。」
アンジュリーンは、あっけらかんと答えた。
「お前、あのデカブツ、見たのか? 」
「見たわよ。」
アンジュリーンは、あっさりと答えた。
「なんで、教えてくれなかったんだ? 」
「あら、必要だったの? 少し大きいツノネズミリスでしょ。 平気かなと思って何も言わなかったわ。」
その返事にジューネスティーンは、パワードスーツの中で唖然とする。
「あのー、通常のツノネズミリスは、中型犬程度ですけど、あの大きなのは、馬並みの大きさだったんだけど、ちょっと大きいを超えていると思いますけど。」
(中型犬と馬じゃ、メチャクチャ大きさ違うでしょ。)
「でも、倒せたんでしょ。 大丈夫、全く心配してなっかったっから。」
「そうですか。」
アンジュリーンの対応に、少しやり切れない様な思いをジューネスティーンは感じる。
「でも、終わりが見えてきたのだから、よかったじゃない。」
「ところで、アンジュ、今、どの辺りに居るんだ? 」
ジューネスティーンに場所を聞かれると、アンジュリーンは、少し黙ってしまった。
「うーん。 きっと、そこの陣地から3km位のところ。 今、最後尾が走っていったから、もう直ぐ終わるわよ。」
直ぐに答えられなかったのは、自分の場所をあまり気にせずに、狼煙があったら、適当にそっちに行っては、倒していたから、自分の場所まで把握せずに動き回っていたのだろう。
「アンジュ、3kmものツノネズミリスの大行列が終わるまで、どれ位かかるの? 」
「うーん、10分位かな。」
「そうですね。 その間、ユーリカリアさん達は、魔法を連続して撃ってます。 かなりキツイかもしれません。」
ジューネスティーンは、少し大袈裟にアンジュリーンに伝えた。
周りをもっと気にする事ができれば、リーダーとしての資質は有ると思うのだが、どうも気遣いが足りないので、その辺も含めてアンジュリーンには、大袈裟に言ったのだ。
「・・・。 シュレ、ユーリカリアさん達には上手く言っといてね。 じゃあ、私は、魔物の渦の探索に入るわね。 ちゃんと4人で行動するから、ツノネズミリスの討伐はお願いします。」
そう言って、アンジュリーンは、全体通信を終わらせる。
「ジュネス。 ユーリカリア達には、どう言っておく? 」
個別回線で、シュレイノリアがアンジュリーンとの通信を聞いて話しかけてきた。
「ああ、そのまま伝えておいていいだろう。 10分なら、もうひと頑張りで終わりそうだからな。」
「わかった。」
シュレイノリアとの通信が終わると、直ぐに魔法の威力が増したように見えた。
終わりが見えたと思ったことで、ユーリカリア達の気力が回復したのだろう。
流石に、終わりが見えない中で、永遠に魔法を撃ち続けなければと、思っていたところに、終わりが見えてきたと思えば、やる気も戻ってくるという物である。
3km先の最後尾も、ひたすら走り続けているのだから、徐々に距離が縮まってくる。
シュレイノリアは、サーチで魔物の最後尾を捉えていた。
1kmになり、500m先となり、そして、最後尾の魔物も討伐が終わる。
シュレイノリアが、迫ってきた魔物が全て倒すことができたことを、ユーリカリア達に伝える。
「迫ってきていたツノネズミリスは、討伐できた。 魔法を止めて! 」
そう言うと、ユーリカリア達が魔法を止める。
攻撃を止めると、全員ぐったりした表情をしている。
「あーっ、終わったのかーっ、キツかったぁ〜っ! 」
ユーリカリアが、そう言いながら、座り込むと他の5人も座り込んでしまった。
「ウィル。 お前の魔法は、やっぱり、範囲が広かったな。」
「ユーリカリアだって、あの雷は凄かったわよ。」
「お前は、魔法職だったんだから、今位の魔法は平気じゃないのか? 」
「何言っているんです。 こんなに連続で魔物に魔法を撃ち続けたなんて初めてですよ。 それ位、付き合いが長いんだからわかっているでしょ。」
「ああ、そういえば、そうだったな。」
くたびれた様子で、ユーリカリアとウィルリーンが話をしている。
「リーダー、あの若い2人の格好、なんとか言ってください。」
横からフェイルカミラが、ヴィラレットとフィルルカーシャが、大の字になって寝転んでいるのを指差して伝える。
「ああ、あの2人だって、頑張ってくれたんだ。 大目に見てやれ。」
そう言われてフェイルカミラもそれ以上は言わなかった。
言わなかったと言うより、言う気力が無かったようだ。
そんな話を聞いていて、ウィルリーンは、シェルリーンの事が気になって見てみる。
シェルリーンは、壁に背中を預けて、肩で息をしていた。
ユーリカリアのメンバー達はやり切った感を出していた。
やり切った感出しているユーリカリア達に、アメルーミラが、労いの声をかけながら、飲み物と軽い食事を持って行った。
それには、流石に大の字になっていた、若い2人も体を起こして、アメルーミラから受け取っていた。
先程、長期戦を見越して、途中で休憩を取らそうと思っていたものを、それぞれに渡そうとしていると、ツカ少佐が兵士に声をかける。
「お前達、彼女達に食事を渡すのを手伝ってやれ。」
そう言われて、慌てて、兵士達がアメルーミラを手伝って、ユーリカリア達に手渡していく。
その時、兵士達からユーリカリア達に労いの言葉を送られた様子だった。




