大型のツノネズミリス
シュレイノリアが見つけた、大型の魔物は、姿形こそ、ツノネズミリスなのだが、その大きさは、馬ほどもある。
その魔物は、一緒に走っている通常の大きさのツノネズミリスを踏みつけたりしつつ走ってきた。
アトラクとによって、通常の大きさのツノネズミリスは、一直線に向かって走っているが、その大型のツノネズミリスは一直線に向かってるようには見えなかった。
(あの大きさなら、下手をすると高台の陣地に飛び上がって、乗ってしまう可能性が有る。 櫓の上に乗せないようにしないとまずいな。)
魔法攻撃側には、パワードスーツは、シュレイノリアの物だけなので、そうなってしまうと、ユーリカリア達に被害が及ぶ可能性が高い。
その大型のツノネズミリスは、確実にジューネスティーンが仕留める必要が有るのだ。
「シュレ、あの大型は、俺の方で対処している間、小型が落とし穴を抜けて来ないようにしておいて。」
「わかった。」
2人が、通信でやり取りを終わらすと、ジューネスティーンは、ホバークラフトを利用して大型のツノネズミリスに迫る。
馬程の大きさなら、場合によっては、3mの高台なら平気で飛び乗ってしまうかもしれない。
回り込んで横から横から剣を切り上げると、大型のツノネズミリスは、横にステップするようにして剣を避ける。
すかさず、ジューネスティーンは、振り上げた剣を魔物の鼻先めがけて振り下ろして、方向を高台の方から逸らす行動をとる。
更に魔物と高台の間に入るように位置を取りながら、剣を振るのだが、魔物は、その剣筋を見切ってジューネスティーンの剣を避ける。
だが、その回避運動によって、魔物は、落とし穴に誘導されてしまうと、仕方なくその穴を飛び越えるようにして穴の向こう側を走る。
ジューネスティーンは、魔物と高台の間に入るようにしてホバークラフトで移動をするが、落とし穴を超えて魔物を追うことはしない。
すると、大型のツノネズミリスは、一旦落とし穴の先に移動すると、もう一度落とし穴を縫うように突入してきた。
今度は、ジューネスティーンを狙って、頭に生えた一本のツノを突き出すようにして、ジューネスティーンに向かって走ってくる。
ツノの先端の高さは、ジューネスティーンの頭の位置である。
相手の動きを完全に止めるとなれば、頭を狙う、首を狙うのが野生生物の一般的な方法だろう。
ジューネスティーンは、大型のツノネズミリスとの軸線上の先に高台が無い事を確認すると、攻撃に備える。
左腕を前に出して、その下に右腕を腰に巻き付けるようにする。
最悪、大型のツノネズミリスが直前で、一番弱い腹部をツノで攻撃された時の備えと右手に持った剣での攻撃のためである。
突進してきた大型のツノネズミリスに合わせられるように、いつでも対応できるように、そして後ろに下がりつつ攻撃を受ける。
ツノが、パワードスーツの頭に迫った瞬間、左腕を跳ね上げて体を右に逸らしつつツノの攻撃を躱すと、右手に持った剣を左腕と同じように上に上げつつ横に振り払う。
右手には、剣を持っているので、左腕の盾で叩くようにして、攻撃を躱し、それと同時に右手の剣で攻撃を加えたのだ。
ただ、その大型のツノネズミリスは、盾の影に隠れていた剣の攻撃も予測していたのか、頭を動かして、躱す動作をしていた。
それをジューネスティーンは、躱す方向に刃を向けるのだが、辛うじて、大型のツノネズミリスの左目を切り裂いただけで、致命傷には至らなかった。
しかし、魔物は左目を失明した。
大型のツノネズミリスは片目を失ったことで、激痛を感じたようだが、ジューネスティーンに、もう一度向かおうと方向を転換してきた。
第二撃を加えようと方向を転換するのだが、大型のツノネズミリスの先にジューネスティーンのパワードスーツは無い。
ジューネスティーンは、大型のツノネズミリスの左目を失明させると、そのまま左側を並走していたのだ。
大型のツノネズミリスが方向転換した時、右方向に回ったので、その分、大回りに回ることになったが、ジューネスティーンは、大型のツノネズミリスの死角になる右を取ったので、大型のツノネズミリスにはジューネスティーンを見つけることができずにいた。
そこへ、大型のツノネズミリスの右首筋を側面から袈裟斬りに剣を振り下ろすジューネスティーンがいる。
大型のツノネズミリスは、右目が失明しているので、その方向からの攻撃が見えなかったので、ジューネスティーンの剣の攻撃を防御する事もなく受けてしまう。
ジューネスティーンは、そのまま、大型のツノネズミリスの前にホバークラフトを使ったまま前に出る。
ジューネスティーンの渾身の一撃は、大型のツノネズミリスの首を切り落とすことに成功し、首が地面に落ちると、その体は横に倒れた。
大型のツノネズミリスの体から魔素が黒い炎のように上がるとジューネスティーンは警戒をとく。
大型のツノネズミリスを倒すと、高台の兵士から歓声が上がった。
流石に、馬ほどの大きさの魔物が倒されるのを見るのは初めてだったのか、かなり、興奮気味になっている。
ただ、ユーリカリア達は、魔法に集中しているので、その歓声が鬱陶しそうにしていた。




