ツノネズミリスとの戦闘
爆弾の無くなってしまった穴には、ツノネズミリスが、穴を埋めるように落ちている。
その上を後続のツノネズミリスが背中を伝って、走ってくるが、穴の中に落ちたツノネズミリスの背を伝ってくるので、足を隙間に落としてしまったりするので、その速度は、落とし穴の所だけ落ちてくる。
ただ、下になっているツノネズミリスは、上からの圧力に耐えきれずに死んでいるのも居るのだろう。
穴の蠢いているツノネズミリスの隙間から魔素が、黒い煙のように上がってきている。
最初の落とし穴は爆弾が無くなってしまったが、他は機能しているので、アトラクトで引き寄せられているツノネズミリスは、何も考えなく走ってきては、穴に落ちて、爆発に巻き込まれて命を落としていく。
一方的な虐殺のように見えるが、まだ、後続のツノネズミリスは、かなり多いように見える。
落とし穴の影響で速度を落としたことで、徐々にツノネズミリスは、左右に広がっていくので、半円状に配置した落とし穴の半数以上が機能し始めたのだが、最初に使われた中央の落とし穴も最終ラインを残すのみとなった。
その穴に落ちると徐々に魔物の数も増えていくとツノネズミリスの背中を伝って落とし穴から、這いずり出してくる。
5匹が穴から飛び出すと、その落とし穴の爆弾が爆発して落ちていたツノネズミリスが、引きちぎられて宙を舞う。
中には、無傷で羽上げられただけのツノネズミリスも居るが、着地に失敗して動けなくなるものも数匹いた。
しかし、数が多いので、無事に着地したツノネズミリスも、最初に穴を飛び出したツノネズミリスを追って、高台へと向かってくる。
10匹程度が3番目の落とし穴から抜け出して向かってきた。
しかし、そのツノネズミリスの目の前に大きな炎が展開すると、その中にツノネズミリスは突っ込んで、炎に巻かれて命を落とす。
上から、ウィルリーンが火魔法を放ったので、最初に突破したツノネズミリスは陣地まで到達する事なく殲滅される。
爆発が起こった落とし穴には、後続のツノネズミリスが落ちていっている。
爆発が有ろうが無かろうが、アトラクトの魔法の影響によって、ただひたすら直進しているのだ。
使われている落とし穴も半数以上となってはいるが、最初に使われ出した落とし穴から爆発が無くなると、それは徐々に広がっていく。
陣地から遠い落とし穴、中央の穴から左右に爆発が無くなって、その中に落ちたツノネズミリスの上を後続のツノネズミリスが、その上を伝って、時々、その上で倒れたりしているが、前のツノネズミリスが倒れても後続のツノネズミリスは、その倒れだツノネズミリスを踏み台にして前に進んでくる。
(中央の落とし穴の数を、もう少し増やしておくべきだったのか。)
ジューネスティーンは、状況から、設置した落とし穴の数が少し足りなかったと反省していた。
ジューネスティーンは、その迫り来る魔物の恐怖を感じつつ、パワードスーツの防御力を思えば、大きな問題は無い。
ただ、弱点となる、腹部や、股間の可動部を下からツノで突き上げられると防御用装甲が無いので、そこに攻撃を加えられないようにしなければならない。
その部分に打撃を加えられなければ問題無いのだが、頭のツノがその部分に突き刺さらないようにして、時々、突破してきたツノネズミリスに対応している。
しかし、高台にいる、ユーリカリア達のメンバーには、どう写っているのか気になるところだった。
たとえ、自分達の場所に登って来れないように陣地を作っていても、遠くから自分達の命も顧みず迫ってくるツノネズミリスがどう写っているのか、彼女達に精神的なプレッシャーが、どれだけかかっているのか、ジューネスティーンは、心配をしていた。
恐怖というのは、絶対に安全だと言われても、人の心に付き纏うものなのだ。
それが、自分達に迫ってくる様を見て、彼女達にどう写っているのか、それに残っている兵士達には、攻撃する手段さえ無いのだから、一度パニックに陥ったら収集がつかなくなってしまう。
そんな不安をジューネスティーンが感じていると、上空に無数の魔法紋が浮かび上がった。
浮かび上がった魔法紋が光り輝いていると、魔法紋から、無数の氷の塊が浮かび上がった。
砲弾型アイスランスのように、ラクビーボール程の大きさでは無く、直径5cm程の細長い、一般的なアイスランスなのだが、その数が圧倒的に多い。
その氷の塊が浮かび上がると、直ぐに飛び去り、落とし穴に差し掛かっていたツノネズミリスに突き刺さっていった。
一気に、落とし穴に差し掛かろうとしていたツノネズミリスが、一瞬でアイスランスの餌食となって、数百匹が倒れ込んだ。
シュレイノリアが、アイスランスで迫り来るツノネズミリスを一気に倒したのだ。
当初の予定では、落とし穴を突破した魔物を、魔法で殲滅する予定だったのだが、迫り来るツノネズミリスの数に圧倒されて、周りに恐怖が芽生え始めたとシュレイノリアは思ったのだろう。
その恐怖を抑える為に、シュレイノリアは、落とし穴の先に魔法を放ったのだ。
そのシュレイノリアの魔法によって、落とし穴の防衛ラインの先のツノネズミリスを一掃してくれたことで、高台にいる全員に安堵感が生まれたようだ。
中には、歓声を上げる兵士もいたようだ。
「おい、私達も落とし穴の向こうに魔法を放つぞ。」
シュレイノリアの魔法を見てユーリカリアが、メンバーに声をかけると同時に、ユーリカリアが、後続のツノネズミリスに雷魔法を落としていく。
シュレイノリアのように一気に数百匹とはいかないが、作った雷魔法による稲光が、全てツノネズミリスにヒットして倒すと、メンバー達も落とし穴の向こう側に、各々の魔法を放ち始める。
ユーリカリア達の魔法によって、落とし穴の前に炎と雷の防衛ラインが構築され、そこを抜けてくるツノネズミリスは、圧倒的に少なくなると、シュレイノリアが落とし穴に向かって魔法を放って、穴の中の魔物を掃討していく。
落とし穴から黒い炎のようにゆらめく魔素が立ち上がった。
その黒い炎は、10m以上まで上がったので、その先が見えなくなってしまうほどだったが、その間もユーリカリア達の魔法は、間髪を入れずに放たれていた。
ただ、視界が制限されてしまったので、突破するツノネズミリスが多くなったのだが、突破してそのまま落とし穴に落ちるだけだった。
黒い炎が収まると、ユーリカリア達の魔法も徐々に安定して、落とし穴まで来るツノネズミリスもほとんど無くなってしまう。
その後、シュレイノリアは、落とし穴への攻撃は辞めて、ユーリカリア達と同ように、落とし穴の先に魔法攻撃の壁を作ることに専念していた。




