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ツカ少佐と簡易厩舎


 ジューネスティーン達が、馬止めを作っていたところに、ツカ少佐が現れた。


「ジュネス君。 これは? 」


「おはようございます。 ツカ少佐。」


 問いかけられたので、ジューネスティーンは、声の相手がツカ少佐と確認して挨拶した。


「おはよう。」


「馬止めが無かったので急遽作っています。」


 作業も終わって、崖の手前に馬と馬車が入れるだけの場所を用意して、防御のための壁とその手前には溝が用意できていた。


 すると、シュレイノリアとレィオーンパードが、金属で出来た門を持ってくる。


 門は、金属で出来ていて、とても1人で運べるような代物ではないはずなのだが、それが軽く浮いて、それを2人が軽く押しているように見える。


 ツカ少佐は、その姿を不思議そうに見つつ、2人が門の設置をするのを見ていた。


 シュレイノリアとレィオーンパードが作った門は、観音開きの門で、鉄の枠に門が取り付けてあった。


 その枠ごとの門を、軽く持って移動させると、塀の切れている部分に当てるように立てて、塀と地面にその枠を食い込ませるように、錬成魔法で塀を加工していく。


 門の枠が、完全に塀と地面に食い込むようにして、固定される。




 門の1つは、塀の手前と、高台に上がる階段の前に取り付けられた。


 もう一つの門は、高台の反対側に、アンジュリーンとカミュルイアンが中心となって、アリアリーシャも手伝って設置していた。


 その手際も、シュレイノリアとレィオーンパードと同ように、錬成魔法を利用して塀と地面に門の枠を食い込むように入れていった。


 門の設置が完了すると、ジューネスティーンは、ユーリカリア達とメンバーに高台に上がるように指示をすると、ツカ少佐を急遽作った馬止めに案内する。


 ツカ少佐は、馬を入れると、門のところに行って、門の扉の重さを確かめるように門を動かしてみた。


「ジュネス君。 この門の重さは、かなり重いが、さっきの2人は、簡単に運んで設置してなっかったか? まるで、羊皮紙で作られた門のようだったのだが。」


 金属で出来た門を、シュレイノリアとレィオーンパードが軽々と運んでいたのを見て、ツカ少佐は、取り付けられた門を実際に動かしてみると、どう考えても重さが違うのだ。


「ああ、魔法紋です。 重さを感じないようにする魔法紋を使ったのですよ。 今は、魔法紋が発動してないですから、重く感じてしまうのですよ。」


 ツカ少佐は、また、新しい魔法の話を聞いて驚いた様子を見せていた。


「そんな、魔法紋が有るのか。」


「ええ、近々、帝国でも販売される事になると思いますよ。」


 ジューネスティーンは、魔法紋の秘密を教えろとか、色々、言われても面倒だと思ったので、ジュエルイアンとは言わなかったが、販売される予定の事を告げて、当たり前の魔法紋なのだという事をアピールした。


「そうか。 こんな魔法が有れば、移動も楽になるな。」


(ん? そう言えば、セイツ少尉達が、ジュネス君達の馬車に追い付く事ができないと、まるで、野生の地竜が走っているようだと言ってたが、この魔法のせいなのか。 こんな重い門でも重さを感じる事が無ければ、地竜は、どんなに重い荷物を背負っても、重さが無いと一緒なら、地竜は野生の地竜と同じ位の速度が出せるんじゃないのか。)


「どうかしましたか? 」


 金属の門の重さを確認して、物思いに耽っていたツカ少佐に、ジューネスティーンが話しかけた。


「いや、何でもない。 さっきの魔法紋が有ったら、建物を作るにしても簡単に上に上げることができると思ったのだよ。」


「そうですね。 販売元になる商会には、辺境伯領で欲しがっていたと伝えておきます。 商会の方でも使ってくれる所が有れば、宣伝になって助かると思います。 特に、此方は、一大穀倉地帯ですから、こちらで使って貰えば、宣伝効果は高いと思います。」


 ジューネスティーンは、ツカ少佐が、建物の建設に目を向けていたので、それを穀物の移動の方に目を向けさせたのだ。


 建物の建設にも大いに貢献できる魔法紋だが、ツカ辺境伯領の主要生産物である穀物の移動に使えると分かれば、その移動用にとなれば需要は大きい。


 穀物を脱穀して種子となった物を袋に詰めてとなれば、一袋60kgか、それ以上の重量になる。


 それを農家から、集積場に運ぶ、運ばれた穀物は、更に、辺境伯領から帝都や他国に運ばれるのだ。


 その時に軽量化ができれば、穀物の運送に大きく貢献できる。


「ああ、そうだな。 穀物の移動にこの魔法が使えたなら、移動に使う、馬や地竜に係る負担が小さくなる。そうなると、輸送に掛かる日数も減ってくるのか。」


 ツカ少佐は、そう言って、門を動かしながら、何やら思惑ありげな顔をする。


「それでは、上に上がりましょう。」


 そう言うと、ジューネスティーンは、門に閂をかけてから、ツカ少佐を連れて、即席で作った階段を利用して高台の上に上がる。




 高台に上がると、そこには、松明やらを設置する台のようなものが数カ所に置かれており、野営をした後になっていた。


 崖が抉られるように削られて、高台の上の崖は、ドーム状に抉られているので、奥の方は、屋根が用意された形になっていたので、兵士たちは、そこを利用して野営を行なったようだ。


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