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ツカ少佐の考え

 

 ジューネスティーンは、ツカ少佐にツノネズミリスの生息範囲について詳しい話を聞きたかったのだ。


 話には、シュレイノリアにも出席してもらう事にした。


 模型に、西の山の模型を追加して、ツノネズミリスの生息範囲を聞くと、ツカ少佐は、その範囲を教えてくれた。


 ただ、ツカ少佐は、西の山の模型を錬成魔法で作っていく様を見て、その手際の良さに驚いていた。




 また、その周辺の住人は、ツノネズミリスの発生と同時に避難させているので、ジューネスティーン達が、いる場所と、ツノネズミリスの生息範囲との間には、被害に遭いそうな人は居ない事と、壊れてしまって困るような建物も無い事が分かった。


「では、ツノネズミリスが、一直線でここに向かってきても被害は無いと見て良いな。」


「これで、囮は必要なくなったと考えて良い。」


 ジューネスティーンとシュレイノリアが、2人だけで分かったような話をする。


「なあ、シュレ、アトラクトは、ぶっつけ本番になるな。」


「ああ、どこまでアトラクトが有効かを確認する必要がある。 しかし、指向性は持たせられる事は、今までの訓練から分かっている。」


「後は、必要以上に遠くまでアトラクとが効き過ぎない事だな。」


「バカにするな。 そんな愚かな事はしない。」


 2人だけで、何かを話しているのだが、内容が理解出来ないツカ少佐は、説明を求める。


「すまないが、何を話しているのだ? 」


「ああ、申し訳ありません。 魔物を誘き寄せる相談をしていたのです。」


「そうだな。 だが、今、囮りは必要なくなったと言っていたが、囮り無しでどうやって誘き寄せるのだ? 」


「魔法。」


 シュレイノリアが、つかさず答えた。


「魔法! そんな魔物を誘き寄せる魔法があるのか? 」


「ある。」


 ツカ少佐は、ジューネスティーンに、説明を求めるように視線を送る。


 シュレイノリアが、ぶっきらぼうに、ツカ少佐の質問に答えていたので、少し引き攣ったような表情のジューネスティーンが答える。


「このシュレの魔法です。 術者に向かって、一直線に脇目も振らずに向かわせる魔法なんです。 ちょっと、この距離で効くかは試してみないとなんとも言えませんが、それが効けば、この罠もかなり有効な手段になるんです。」


「そんな魔法があるのか。 だが、脇目も振らずに向かってくるなら、この落とし穴も分からない可能性があるって事か。」


「はい、今まで、その魔法を使うと、術者のシュレ以外に魔物は攻撃を加えなかったので、その魔法を掛けた術者だけしか魔物には見えてないのかもしれません。 ですから、かなりの高確率で落とし穴は有効な手段だと思います。」


「なる程、目的以外が見えて無いから、周りにある物を全て無視してくれるって事か。」


 ツカ少佐も、アトラクトで誘き寄せた時の有効性を理解したようだ。


(こいつらは、知らない魔法を持っている。 魔法を使うのは、この子だろうが、底が知れない連中だ。 確か、このジュネスも不思議なフルメタルアーマーを使うはず。 だったら、今は、彼らに討伐を任せてしまった方が良い。 殿下の思惑は、・・・。)


 ツカ少佐は、必死に思考を巡らせている。


(私に、何も指示が無かったのなら、ここは、敵に回る事は避けて、友好的に接していた方が、後で敵対するにしても友好的にするにしても、どちらに転んでも良いようにするなら、友好的に接した方が良い。 今、敵対したら、後々、友好的に接するには、問題になるな。 だったら、今、帝国の為にも彼らには友好的に接しておく必要があるな。)


 すると、さっきの実験を進めていた方を、ツカ少佐が見ると、実験を行なった落とし穴から一番遠い穴の中から、アンジュリーン達が外に出て、兵士達3人を穴から引き上げていた。


 魔法紋の実験によって、被害が出ないように穴の中に避難させていたのだが、穴の深さが2mと深い為、上がれないのを手伝って引き上げてくれていた。


(あの爆発から、あの3人を守ってくれていたのだな。 こっちは、彼らの能力を見極めるために3人を送ったのに、助けてくれていたのか。)


 全員が、穴から抜け出すと、アンジュリーン達は、また、錬成魔法で、穴を掘り始め出した。




 今、あんな大きな爆発があったのだが、そんな事は無かったように、作業を始めていた。


(あれだけの魔法を見ても、驚いた様子も無く、もう、自分の作業を始めているのか。 ここの連中にとっては、あの程度の魔法は、日常的に使われているのかもしれないな。)


 ジューネスティーンは、シュレイノリアと何か話をしたようだ。


 用事が済んだ様子のシュレイノリアは、また、ジューネスティーンから離れて、落とし穴の方に行く。


 シュレイノリアは、ウィルリーンと何かを話をした様子をすると、ウィルリーンは、頷いて落とし穴の方に向かって、何かの魔法を使い始めた。


 そこには、もう、先程の魔法について気にする事も無く、作業を淡々と進めている10人とそれを唖然として見ている帝国軍の兵士が3人居る。


(今の魔法に驚いて、我を失っているのは、駐留軍だけか。 さっきの魔法を使われたら、駐留軍は、全滅だな。 彼らに対して軍本部から何も命令は無いのだから、絶対に友好的に接しておくべきだな。)


 ツカ少佐は、ジューネスティーン達に対しての接し方を自分の中で確認していた。


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