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爆弾の原理


 ツカ少佐は、感心したようにシュレイノリアの方を見ると、シュレイノリアがトコトコと歩いてジューネスティーンの方に来た。


「アレだけの魔法なら、中の魔物は一度に倒せると思う。」


 ジューネスティーンにシュレイノリアが報告すると、それを聞いていたツカ少佐が聞く。


「あの魔法は、君が作ったのか? 」


「そうだ。 水を使ったので、今回は簡単な魔法紋で済んだ。」


 シュレイノリアは、相手が、ツカ少佐であろうと、構わずにあっけらかんと答えた。


「水? なんで、水が、あんな爆発を起こすんだ。」


 ツカ少佐が、疑問をぶつけるので、シュレイノリアは、淡々と答える。


「水を分解した気体を充満させる容器を地面に仕込んだ。 魔法紋は着火だけを考えただけの、シンプルな爆弾になってくれた。」


 水が爆弾になったと言われて、ツカ少佐は、意味がわからないような表情をする。


「どういう事なんだ? もっと詳しく聞かせてもらえないか? 」


 ツカ少佐は、爆発の原理について、シュレイノリアに尋ねるのだが、シュレイノリアは、面倒臭そうな顔で、ジューネスティーンを見る。


 いつもの説明はお前の仕事だと、目で訴えているのだ。


 ジューネスティーンは、やっぱりなといった表情をすると、シュレイノリアに質問を始める。


「シュレ、水を雷魔法で分解したのか? 」


 雷を使って、水を電気分解した気体、水素と酸素を、ボンベの中に充満させたのだ。


 今までの話を総合すると、ボンベの中に入っていた水を電気分解して、水素と酸素で充満するとなれば、訓練の際にフィルルカーシャが行った、爆裂魔法の原理だと、ジューネスティーンは、思ったようだ。


「そうだ。」


「地中にボンベを作って、その中に電気分解した水素と酸素を用意したのか? 」


「そうだ。 水を集めるのは簡単だ。 それに雷魔法も簡単だから、ボンベの中に電極を用意した。 それと最初から水は電気分解してない。」


 ジューネスティーンは、水を鉄球の中で電気分解していく様を想像している。


 限られた空間の中で液体が気体に変わるとなると、水の体積の1000倍程度にはなるなら、その時に膨張した気体の圧力がどれだけ高くなるのか。


 その圧力によって、発熱する事で水素の発火点まで温度を上げるのだ。


「タンクは、どうした。」


「地中の鉄を集めてタンクにした。」


 ジューネスティーンは、丁度良いと思ったのだろう。


 シュレイノリアの作った爆弾を説明させて、問題点が無いか、確認も込めて、質問を始めた。


「鉄は電気を通すけど? 」


「地中の石英を絶縁体として電極とタンクの絶縁を行った。」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアがどんな方法を取ったのか大凡理解できた。


 ただ、横でその話を聞いていたツカ少佐には、理解できなかったようだ。


「おい、それはどういう事なんだ? 」


「ああ、すみません。 このシュレですが、説明が上手じゃないので、自分が説明します。」


 ツカ少佐は、今の話だけでジューネスティーンが理解できた事に、少し驚いた様子を表情に出しているが、ジューネスティーンは、そんな事は気にせずに、話を始める。


「水というのは、酸素1個と、水素2個からできているんですけど、その水素がとても燃えやすい気体なんですよ。 それを雷魔法を使って、分解したものを地中に作ったタンクの中に溜め込んでおいたのです。 それを引火させて大きな爆発を起こしたんです。」


 ツカ少佐は、狐につままれたような顔をする。


 その表情から、もう少し詳しい話をしなければいけないのかと、ジューネスティーンは、感じるが、もっと簡単に、判るように説明する方法を考えているのだ。


「ああ、ジュネス君。 多分、それ以上話を聞いても、私に理解できるか、ちょっと、気になるので、今の話から、地面に爆発する空気のようなものを閉じ込めておいて、それを爆発させたって事なのか? 」


「まあ、そんなところです。」


「すまんな。 水が爆発するなんて、ちょっと信じられないんでな。 取り敢えず、爆発する空気を作る方法は、次があったら詳しく聞かせてくれ。」


 それを聞いて、ジューネスティーンも、水を電気分解する事については、これ以上説明をするのをやめた。


 ただ、爆発する気体を作ったと説明した方が、自然科学に詳しくない人に説明するには、丁度良い話なのかと、ジューネスティーンは、理解できたようだ。


「そうですね。 地面に空気を入れられる器を作って、爆発する空気を入れてあります。 それを発火させて爆発させたら、さっきのようになったで良いと思います。」


「ありがとう。」


 ツカ少佐も、それ以上詳しい内容を説明されても、自分が理解できないだろうと思ったので、ジューネスティーンが話を打ち切ってくれて、助かったと思った様子で、一つため息を吐いた。


「いずれにしても、君達の作戦は、理解した。 それで、こちらに何か手伝えるような事はあるか? 」


「はい。 もちろんです。」


 そう言うと、ツカ少佐を模型の前に案内する。


「作戦は立ったのですが、ツノネズミリスについての情報をもう少し詳しく聞きたいのです。」


「ああ、かまわない。 それでどんな事が知りたい。」


 2人は、地面に作った陣地の模型の前に移動した。


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