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陣地の構築を始めるにあたって


 アンジュリーンに色々言われたレィオーンパードは、黙って膨れていたのだが、このままでは、不貞腐れそうだと思ったようだ。


 そんなレィオーンパードをジューネスティーンが話しかけた。


「レオンは、少し深さが足りなかっただけだ。 1m掘って、掘った土を50cmで穴の縁に広げれば、1m50cmの深さになるわけだから、1m掘るなら、それでも悪くは無かったんだよ。 1m50cmなら、飛び越えられるかもしれないが、一度落ちたら這い上がるのに少し時間がかかるだろうから、それでも足止めができるんだ。」


「ありがとう。 にいちゃん。」


 ジューネスティーンがレィオーンパードを庇ってくれたのを、レィオーンパードが素直にお礼を言った。


 この行為で、周りが、レィオーンパードを、いじるのを止める。




「じゃあ、深さは2mに設定、シュレは、この模型のように穴の位置を描いてくれ。」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアに指示を出すと、ユーリカリア達を見る。


「錬成魔法が使えるのは、全部で、12人だけど、ユーリカリアさん達は、錬成魔法も慣れてないでしょうから、俺たちとペアになってください。 ああ、それでシュレは、出来上がった落とし穴に魔法紋を描くから錬成魔法は手が空いた時にお願いね。 後は、組分けか。」


「ああ、私は、シュレさんと一緒でも良いだろうか? 」


 直ぐに、ウィルリーンが声をかけてきた。


「シュレさんの魔法紋の描き方を見させてもらいたいのと、できれば、私もその魔法紋を刻んでみたい。」


 ウィルリーンは、本当ならカミュルイアンと組みたかったのだろうが、今は、自分の魔法の向上に努めたいと考えたようだ。


 そんなウィルリーンを、ユーリカリアは、ホッとしたような表情で見ていた。


「そうですね。 その方が効率的ですね。 シュレ、ウィルリーンさんに魔法紋の魔法を使わせてみてくれ。」


「分かった。」


 ジューネスティーンとシュレイノリア、そして、ウィルリーンの会話を聞いていて、シェルリーンが嬉しそうにカミュルイアンを捕まえるように手を握る。


 ライバルがシュレイノリアの方に行ってくれたたので、自分にチャンスが巡ってきたと思ったようだ。


 組分けは揉める事もなく直ぐに決まった。




 ジューネスティーンには、ユーリカリアがついて、アリアリーシャとフィルルカーシャが、同じウサギ系の亜人だった事もあり、2人が直ぐにペアになった。


 フェルカミラが、アンジュリーンと組んだので、ヴィラレットは、レィオーンパードの所に、恥ずかしそうに行って、モジモジしながら、ペアになることをお願いしていた。





 今回の作戦には、アメルーミラが攻撃に参加する事はない。


 さっきは、ジューネスティーンの錬成魔法を見ようと、戦場の模型を作っていたので、その錬成魔法を見ようと、後ろから周りの人の肩越しに見ていた。


 錬成魔法で模型を作っているのを見て、落とし穴と言われて思わず、罠の話になってしまい、意見を言ってしまったのだ。


 アメルーミラは、ツノネズミリスの戦略会議(?)で、ジューネスティーンが、錬成魔法による模型を作っているのを見て、魔法によって、壁だけではなく、あんな模型も作れるのだと思い、見入ってしまったところ、落とし穴の罠と言われて、思わず意見を言ってしまったのだ。


(あんな場面で、私が意見を言うなんて、あまり良くない事だよね。 でも、ジュネスさんのヒントになったみたいだったから、良かったのかな。)


 余計な口を挟むなと言われたわけでは無かったので、アメルーミラは、それ以上、自分が発言したことに対して考える事をやめた。




 アメルーミラは、錬成魔法も使わなくなってしまい、ジューネスティーンとシュレイノリアが、何か自分の理解できない話を始めたので、馬車のところに戻り、地竜の世話をしていたのだ。


 地竜もアメルーミラを気に入っているらしく、アメルーミラが遊んでくれる事が嬉しいのだろう。


 このツカ辺境伯領までの移動中の休憩の時は、地竜の世話は、全てアメルーミラが行なっていたので、地竜も、かなり、アメルーミラに懐いてくれている。


 アメルーミラは、この後も時間が掛かるだろうと思い、地竜を馬車から外してあげた。


 地竜は、アメルーミラが近寄ってくると、顔をアメルーミラに寄せて、お互いの頬を擦るような態度を示す。


「ちょっと、くすぐったいよ。」


 アメルーミラは、地竜の戯れを心地よく答えた。


 ただ、地竜の戯れは、直ぐに終わった。




 地竜が、アメルーミラとの戯れを、突然やめて、遠くの方を見つめた。


「どうしたの? 」


 アメルーミラは、地竜に問いかけるが、地竜は一点を見つめているだけで、いつものようにアメルーミラの問いかけに答えてはくれなかった。


 不思議に思い、アメルーミラも地竜が見つめる先を見ると、何やらこちらに向かってくる土煙が、僅かに見える。


 馬か地竜が走っていることで、地面の土埃が舞い上がっているのだ。


 その土埃は、徐々にこっちに向かってくる。


「ジュネスさん。」


 アメルーミラは、ジューネスティーンに声をかけると、土埃が向かってくる方を指差す。




 アメルーミラの指差す方向をジューネスティーンが確認する頃には、その土埃を出しているものが何なのか見えるようになった。


 こちらに向かってくる6騎の騎馬が確認できた。


 その騎馬に乗っている人の服装は、明らかに帝国軍の制服姿だと、近づくにつれてはっきりと分かった。


 ジューネスティーン達に緊張が走る。


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