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シュレイノリアの戦略

 

 ジューネスティーンは、陣地の周辺をどうしようかと考えていた。


 周辺にツノネズミリスを誘き寄せて、範囲攻撃魔法による攻撃で、殲滅するつもりでいる。


 当初の予定では、北の山を背にして左右45°の塀を作って、その中にツノネズミリスを誘い込んで、範囲攻撃魔法で殲滅を考えていた。


(落とし穴用の溝は、囮を追いかけている時でもそれなりに効果はあるはずだ。 前列の魔物が穴に気が付いたとしても、後ろの魔物は気が付けるか、その後ろはとなれば、前が止まったとしても後ろの魔物が前にいる魔物にぶつかるとか、混乱をきたす事になる。)


 囮を追いかける、ツノネズミリスの行動がどうなるのかを予測して、対処方法を考えているのだ。


(魔物の中にリーダーがいて号令を掛ければ別だが、魔物は、個の集まりだから、ただの落とし穴だとしても、かなりの量の魔物を穴に落とす可能性が高い。 穴の中で死ぬ魔物の数も期待できそうだから、多くの溝を用意して、落とし穴を通過してきたツノネズミリスの処理が終わった後、穴に落ちたツノネズミリスの処理に入れば、こちらの被害は考えずに、魔法攻撃するだけになる。)


 そんな事を考えていると、シュレイノリアが地面の模型に修正を加えてきた。


 それは、溝を3本にするのではなく、途中に仕切りを付けて、溝を16個に分けた。


 ジューネスティーンが溝を掘ったようにしたのだが、シュレイノリアは、その溝の淵を軽く盛り上げさせる。


「錬成魔法で形を変形させた方が、簡単にできる。 溝の土や石は、周りに盛り上げるようにする。 少し斜めにして、溝の縁が盛り上がっていた方が、突然溝が現れるようになるので、落ちる確率が上がる。 それに、この溝は、この山の崖に半円状に作る。 なので、塀は不要となる。 半円の中心点に全員で待ち構えて、この溝に誘導することで、罠の意味が出てくる。 それと溝の中に遅延式の魔法紋を描いておく。 ある程度魔物が落ちた後に魔法紋を発動させるようにしておく。 そうすれば、いちいち、後から行って魔法を放つ必要がなくなる。」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの説明を聞いて、遅延式の魔法紋が落ちた魔物を倒してくれるなら、願ったり叶ったりだと思う。


 魔物の数が多い今回の討伐なら、ある程度、先に魔物を倒しておきたいと思う。


 早く数を減らすことができれば、不測の事態は起こりにくい。


「なあ、溝を穴にするのは、なんの意味があるんだ。 溝なら、切れ目が無いので、確実に溝の中に落とせると思うんだが。」


 シュレイノリアは、一瞬躊躇うが、直ぐに答える。


「錬成魔法を行うにあたり、長い距離を錬成させると、まだ先が長いと思ってしまうが、小さな一つを完成させたと思えば、その都度達成感が味わえる。」


 それを聞いて、ジュネスティーンは、段階式の達成感を味わう事で、やる気を持たせる方法を思い出した。


 大きな目的を達成させるには、時間と労力が必要となるので、途中で嫌になってしまうのだが、途中途中に大きな目的達成の為の、小さな達成目標を持たせて、その小さな目標を達成させて、達成感を味合わせると、もう少し先の目標も頑張ろうと思う事になる。


 200m先にそんな長い溝を掘るより、5m四方の穴を幾つも作った方が、達成感を早く味わう事ができるので、作業効率も上がってくるのだ。


「ああ、確か、何かの歴史書で、そんな方法を行ったとあったな。」


「それと、穴の中なら、魔法も効果が高いと思う。 円形になった長い溝だと、横に逃げられるが、穴なら、逃げられない。」


「そうなのかもしれないな。」


(できれば、溝の方が有り難いような気もするが、シュレがそう言うなら、それでも良いか。)


 ジューネスティーンは、溝では無く穴にする事を納得したようだ。




 溝を穴にする事については、渋々ではあるが、納得した様子を見せたジューネスティーンだが、穴の中で使う魔法紋について気になった。


「それで、シュレ。 穴の中に設置する、攻撃系の魔法紋は何を使う予定なんだ? 」


 シュレイノリアは、少し考えた。


 それを見て、ジューネスティーンは、何か嫌な予感がした。


(シュレのやつ、具体的にどんな魔法紋を仕掛けるか決まってないな。)


 ジューネスティーンは、気になって、シュレイノリアを、ジーッと見る。


(あーっ、こいつ、思いつきで話した。 詳しい事まで考えないで話し出してしまっているな。 でも、こんな時のシュレイノリアは、上手く誘導したら、面白いアイデアを出すかもしれないからな。 少し、話をつないでみるか。)


 シュレイノリアは、ジューネスティーンの目を見ないようにしながら答える。


「溝に落ちた魔物は、早めに殲滅したい。 だったら、爆発が一番良い。 底面と側面に魔法紋を描いておいて、それを順番に爆発させる。」


 ジューネスティーンは、仕方がなさそうに、シュレイノリアの話を聞く。


 意外に思いつきだけで、物を言う事が多いシュレイノリアは、思い付いたアイデアの細部まで詰めないで言い出す事が多いので、ジューネスティーンは、今回もその可能性が高いと思ったようだ。


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