ツカディヲの朝
ツカ辺境伯領の第1都市であるツカディヲの、ギルド出張所で、簡単な打ち合わせを行った後、ジューネスティーン達は、戦場となる北の山の視察を行った。
その後に、ケイツエンの宿に移動した。
宿に着くと、ジルランドに駐留軍との調整の確認をお願いすると、ジルランドは、ジューネスティーン達と別れて、ギルド出張所に戻った。
ジューネスティーン達は、明日に備えて、その日は、ゆっくり休息をとって、旅と訓練の疲れを取ることにした。
「明日から、本格的な戦場作りになりますから、今日は、早めの食事の後に、早く床につきましょう。」
「そうだな。 明日は、戦闘の準備。 そして、明後日は、ツノネズミリスの討伐なのだからな。 それがいいだろう。」
ユーリカリアの了解も取れた。
「じゃあ、明日は、起きたら、ここの食堂に集合しましょう。」
「ねえ、ジュネス。 時間はどうするの? 」
集合時間が無かった事をアンジュリーンが指摘する。
「ああ、昼過ぎまで寝る事は無いだろうから、それぞれ、起きたら食堂に集合でいいよ。」
「そう。」
アンジュリーンは、ジューネスティーンが、ゆっくり休ませようと思っていることに気がついたようだ。
部屋割りを決めると、早めの食事を済ませて、それぞれの部屋に入る。
それぞれが、明日からの予定を考えて、食後の時間を使う。
ゆっくりと湯に浸かるもの、武器や装備の点検をするもの、それぞれが、自分の落ち着けることをして、心を休ませる。
そして、それぞれは、床についた。
ジューネスティーンは、翌日、起きると、ゆっくりとベットから抜けるようにしながらでる。
横で寝ているシュレイノリアが起きないように、ゆっくりとベットから抜け出して着替えようとすると、シュレイノリアが目を覚ます。
「ジュネス。 起きたのか? 」
眠そうな目を擦りながら、体を起こした。
「ああ。 起きた。」
着替えながら、ジューネスティーンは答える。
「旅の疲れと、訓練の疲れがあるだろう。 陣地の設置だけだから、それ程時間もかからないだろうから、朝は、他の人たちにもゆっくりしてもらおうと思っている。 だから、シュレもゆっくり寝ていて構わないよ。」
ユーリカリア達にもメンバー達にも、起こすことはせずに、朝は、ゆっくりさせようと考えていたのだ。
「いや、いい。 私も起きる。」
そう言って、シュレイノリアは、ベットから抜けて、自分の着けていた服を脱いで、下着1枚だけになるのだが、その肌には、転移時に付けられたサソリの魔物による傷が痛々しく全身に残っている。
ただ、シュレイノリアも、ジューネスティーンも、その傷を気にすることはない。
シュレイノリアは、一つ欠伸をすると、自分の胸の下着をつける。
脇の下や下腹部を手で擦り上げるようにして、その手を自分の胸の方に持っていく。
その行為が済むと、シュレイノリアは、いつもの冒険者の服に着替える。
ジューネスティーンは、シュレイノリアの着替えが終わるのを待っていた。
シュレイノリアが装備を終えると、ジューネスティーンを見ると、2人で部屋を出て食堂に移動する。
2人が食堂に着くと、まだ、誰も来てなかったので、2人でお茶を飲んで待つ事にする。
お茶が届く頃に、ヴィラレットが食堂に来た。
「ジュネスさん、シュレさん。 おはようございます。」
「おはよう。 ヴィラも早いね。」
「私は、下っ端ですから、姉様方より先に起きて準備のお手伝いをしたりしますので、なんだか、早く目が覚めてしまったみたいです。」
「じゃあ、一緒に、みんなが起きてくるのを待っていよう。」
そう言って、椅子を進めるので、ヴィラレットは、その椅子に座ると、アメルーミラ、アンジュリーン、アリアリーシャが食堂に入ってきた。
3人も挨拶をすると、テーブルに座る。
ヴィラレットと3人のメンバーとでお茶を飲んでいると、徐々に他のものも食堂に入ってきた。
流石に移動に4日間、訓練に3日間と強行したので、今日は、ゆっくりと休ませるつもりだったが、ユーリカリア達のメンバーも揃った。
ただ、カミュルイアンとレィオーンパードの2人が遅れていたので、どうしようかと思ったが、ほとんど揃ったので、ジューネスティーンは、朝食を頼んだ。
すると、カミュルイアンとレィオーンパードの2人が、いかにも眠そうだといった表情で食堂に入ってきた。
「おはようございます。」
カミュルイアンが挨拶をすると、ウィルリーンとシェルリーンがカミュルイアンの手を取って、自分達の間に座らせる。
レィオーンパードは、それを羨ましそうに見ながら見送る。
そんなレィオーンパードに、ジューネスティーンが声をかける。
「レオン。 お前も座れ。」
「うん。」
まだ、眠そうな雰囲気のレィオーンパードが、空いている席に座る。
その横には、フェイルカミラが居る。
フェイルカミラは、リザードマン系の亜人で、身長もジューネスティーンより高い185cmなので、まだ、成長期のレィオーンパードとでは、座っても明らかに身長差が有った。
リザードマンといっても、全身が鱗で覆われているわけではなく、頭髪も人と同じように生えており、肌も人と同じなのだが、太い尻尾だけが、途中から鱗になって、尻尾の先端から8割が鱗で覆われて、お尻の根元は人の肌のようになっている。
ただ、一般的なリザードマン達は、その尻尾の肌の部分は、見せたくないのか、ズボンから出る尻尾を3割ほど覆い隠すように生地で覆われている。
フェイルカミラも、洗練された体つきをしており、スタイルもアリアリーシャと同ように出るところは出て、凹むところは凹むといった体型をしている。
ただ、リザードマンということで、尻尾が太く、そして、その影響なのか、両足の間がかなり広い。
その太ももの間は、どんなに足を窄めても、大きく開いていたのだ。
フェイルカミラは、ズボンを履いているのだが、そのズボンが体にピッタリとフィットしており、その体型から開いた太ももの奥まで見えた。
自分達のパーティーには居ない爬虫類系の亜人独特の体型を見て、レィオーンパードは、少し恥ずかしく感じたのだ。
また、レィオーンパードは、自分より20cmも背の高いフェイルカミラに少し気が引けたような表情をする。
「レオン? 」
フェイルカミラが、不思議そうにレィオーンパードに声をかける。
「いえ、なんでもありません。」
少し赤い顔をして答え、反対側に顔を向けるようにして、自分のカップを口に付けていた。
フェイルカミラは、なんだったのだろうかと思うが、直ぐに自分もお茶を楽しむようにカップを口に持っていった。




