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駐留軍基地のツカ少佐とのミーティング


 コリン達3人は駐留軍基地に着くと、駐留軍基地の建物を外から見上げると、その建物の窓には、かなり多くの部屋の灯りが灯っていた。


 ツノネズミリスの問題によって、駐留軍基地は、遅い時間でも、多くの人が残っているようだ。


 コリン達は、入り口の詰所で身分を明かすと、直ぐに建物の中の一室に通された。


 3人が部屋の中に入ると、直ぐに、3人を待ち構えていたかのように、ドアを慌てて開けて人が入ってきた。


 身なりから直ぐに佐官と分かると、3人は、敬礼する。


 コリンが代表して、挨拶をすると、入ってきた佐官は敬礼を返す。


「私は、ここの駐留軍の指揮官をしている、ツカ・ベンミン・モンレムン少佐だ。」


 ツカ少佐は、名乗ると、3人を椅子に座るように促す。




 そして、コリンは、自分達の任務の内容を説明すると、ツカ少佐は、少しガッカリした様子をする。


「君達は、冒険者の監視の為に来たのか。」


「はっ! 今回のツノネズミリスの討伐にあたり、ギルドから冒険者を派遣しております。 自分達は、その冒険者の監視に赴きました。」


 コリンが、答えると、ツカ少佐は、やりきれないような表情をする。


(冒険者の10人程度で、なんとかなるような発生数じゃないんだぞ。 軍本部は、何を考えているんだ。)


「ツノネズミリスの討伐を軍本部に応援要請をしたら、冒険者に依頼を出した。 軍は、その冒険者の監視役を派遣してきただけなのか。」


 そのツカ少佐の話に、何と答えて良いのか、コリン達は戸惑っているのだが、その様子を気にすることなく、ツカ少佐は、愚痴るように話を続ける。


「魔導士部隊から人が来ると思っていたが、まさか、監視の為に来たのか。 軍本部は、ツノネズミリスをなんだと思っているのだ。」


 ツカ少佐は、冒険者にツノネズミリスの討伐が出来るとは思って無いのだ。


 6万匹に膨れ上がったツノネズミリスに対抗するなら、魔導士部隊の1小隊か1中隊を派遣してくれたのかと思ったのだ。


 その先触れが来てくれたのかと思ったのだが、当てが外れてしまったのだ。


「それで、その冒険者とやらは、どうなんだ? ツノネズミリスを10匹位は倒してくれるのか? 」


 ツカ少佐は、嫌味のつもりで言ったのだが、コリンには、別の思惑があるので、はっきりさせる必要が有ると判断した様子で答える。


「ツカ少佐、今回のギルドへの討伐依頼によって派遣された冒険者は全部で13人です。」


 ツカ少佐は、ため息を吐くとコリンの話に答える。


「たったそれだけの冒険者に何が出来るというのだ。 6万匹の魔物に13人で何が出来るというのだ!」


 ツカ少佐は、少しイラついたように言うと、話を続ける。


「全員が魔法を使えたとしても、一度に倒せる魔物の数なんて高が知れている。 それに詠唱と詠唱の間に距離を詰められてしまったら、その13人なんて直ぐにツノネズミリスの餌食だろ。」


 コリンは、もっともな意見だと思うのだが、一昨日の訓練の内容を見ているので、その事も報告する必要があると判断した。


「今回派遣された冒険者の13人ですが、その内の12人が範囲攻撃魔法を使えておりました。 ただ、自分が魔法を確認できたのは、7人ですが、先行していた偵察隊の話では、12人が範囲攻撃魔法を使っていたと聞いております。」


 ツカ少佐は、軍本部からの緊急の依頼で、偵察隊をツカラ平原に送った事を思い出す。


(そうか、こっちから派遣した偵察隊は、この3人より早く偵察に入れたのか。 まだ、戻ってこないのは、3人が先行して、こっちに向かったって事なのだろう。)


 ツカ少佐が、考えているのを他所にコリンは、話を続ける。


「ジューネスティーン達の範囲攻撃魔法は、炎と雷の魔法でしたが、規模は、中隊規模か大隊規模の魔法を放っており、その間隔も魔法の効果が終わる前に新たな魔法を放っておりましたので、圧倒的な攻撃力と言えます。 ですので、派遣された12人の魔法であれば、殲滅とはいかなくても、かなり撃ち減らす事が可能だと判断しております。」


 その話を聞いて、ツカ少佐の顔が一瞬変わる。


 ツカ少佐としても、魔法に関する知識は持っているのだが、その自分の魔法知識と、今の話を比べてみると、あり得ない内容がいくつもあるのだ。


 直ぐには信じられないのだろう。


「少尉、君は魔導士部隊の人間だったな。 今の話を聞いてどう思う? 」


 ツカ少佐は、俄には信じられない内容を聞いて、手放しで喜ぶことはできないのっだ。


 そのツカ少佐の言わんとしていることは、コリンにも分かったのだ。


「はい。 自分も話だけを聞いたら、笑い飛ばしていたでしょう。 そんな魔法は聞いた事が無い。 そう言って終わるでしょう。」


 コリンは、真剣な顔でツカ少佐に答えた。


 ツカ少佐もコリンの表情から、話の真意を確かめているようにコリンを見つめていた。


「ですが、彼らの訓練を、ツカラ平原で見る事ができました。 あれだけの魔法が使える12人が居て、地を滑るように走るフルメタルアーマーが6人居ます。 そのフルメタルアーマーは、人の走る速さより早く移動しており、疲れる事も無いようでした。 万一、魔法攻撃を突破してきたとしても、そのフルメタルアーマーが、魔法職を守る事が可能だと判断します。」


 ツカ少佐は、自分の記憶とコリンの話を照らし合わせ始めた。


(地を滑るように走る? そういえば、宮廷で聞いた事がある。 確か、南の王国、そうだ、ギルドの高等学校の武道大会の優勝者が、そんなフルメタルアーマーを使って優勝したとか。)


 ツカ少佐は、考え込むような顔をする。


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