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ツカ辺境伯領へ最終移動する監視部隊


 コリン、メイミン、ヲンムンは、早朝、朝日が登る前に移動を開始した。


 ジューネスティーン達が、同じ宿に泊まっていたのだから、可能な限り顔を合わせないようにという事と、移動に掛かる時間を考えると、これでも遅いかもしれないのだ。


 ジューネスティーン達の使う馬車の1日の移動距離は、約150〜180kmと考えると、明日には、余裕でツカディヲに入ってしまう。


 自分達の移動距離は、頑張って1日に100kmというところなのだ、ツカディアから、ツカディヲまで、約100kmとなれば、ヲンムン達の地竜では、ギリギリ今日中にツカディヲに入れる距離なのだ。


 今日中に、ツカディヲに入りたいと考えていたヲンムン達は、早朝から地竜を使って移動を始めたのだ。


 何としても、今日中にツカディヲに入って、ジューネスティーン達の動きを観察する必要がある。


 その想いだけで、必死に体に鞭を打って、動いているのだ。




 早朝、朝日が出る前、空が明るくなった頃に出て、地竜を走らせる3人だった。


 何度かの休憩を挟んで、昼休憩を街道から少し離れた場所で取っていると、ジューネスティーン達の馬車が街道を走り抜けていく。


 一般的な馬車が長距離を走らせることはなく、人が歩く速度で移動するので、マラソンランナー並みの速度で走る馬車は、圧倒的に速い馬車だと言える。


 通常の馬でも地竜でも、その速度で走らせられる事は無い。


 それが可能なのは、野生の地竜が野を走るなら、話を聞くことがあるのだが、一般的な馬車を引いてそんな速度というのは、存在しないのだ。


 それを可能にしている何かがジューネスティーン達が使う地竜か馬車には有ると考えられる。


 コリンは、そんな事を考えていると、隣から声がした。


「やっぱり抜かれてしまいましたね。」


 メイミンがコリンに話しかけてきた。


「ああ、だが、ここはちょうど中間点の辺りだ、今、昼を少し回ったところなら、昨日位の時間までにはツカディヲの街に入れるだろう。 今日は、ツカディヲの街までの移動なら、何とか追いつける。」


 すると、ヲンムンがコリンに話しかけてきた。


「今回の依頼は、帝国軍からギルドに出ています。 ツノネズミリスのような魔物の討伐に範囲攻撃魔法を使うのなら、軍にも辺境伯にも連絡がいくはずです。 駐留軍基地にギルドからの報告が入るはずですから、それも確認した方が良いでしょう。」


 ヲンムンの指摘は正しい。


 国土での大規模な攻撃魔法を使うとなれば、ギルドの冒険者といえども、許可が必要になる。


 万一許可無しでとなれば、軍は侵略とみなして逮捕なり、攻撃を加える事が有るのだ。


 今回は、帝国軍から依頼となっているので、帝国軍に依頼に対する討伐の設定された戦場の許可、利用する魔法の種類等を、あらかじめ報告の必要がある。


 その事務的処理は、ギルドが冒険者から話を聞いて、クライアントである帝国軍に報告を行うのだ。


 ならば、駐留軍基地に報告が上がっていてもおかしくはないのだから、闇雲にジューネスティーン達を探すより、駐留軍基地に向かえば、情報は得られることになる。


「軍曹の言うとおりだ。 ツカディヲに入ったら駐留軍基地に急ごう。」


 向かう先は、ツカディヲの駐留軍基地、ギルドの報告書を確認して彼らの戦略を確認後、自分達の監視の場所を設定すれば良いのだ。


 3人は、方向性も決まると、後は、本日中にツカディヲに入る事を考えるだけになったので、肩の荷が少し軽くなる。


 だが、日の出の前に出て昼に中間点なのだから、到着は日の入りの後になる事は、3人にも予想ができる。


 これ以上、地竜に負担をかけてしまったら、途中で地竜がバテてしまう可能性も有ると考えると、焦って急がせるわけにもいかないのだ。


 ギリギリの旅程になると思うと、小さなミスで計画が頓挫する可能性がある。


 コリンは、2人を上手く誘導して今日中にツカディヲに入る為には、このペースを維持して余計な負荷を地竜に掛けないように調整する必要があると考えていた。




 コリン達3人がツカディヲの街の門に着いたのは、昨日よりは少し早いが、辺りは暗くなり西の空にわずかに太陽の光が、赤く残っている時間となっていた。


 門は閉ざされていたので、身分と任務を伝えて門に入るのだが、手頃な宿と駐留軍基地の場所を確認する。


 昨日のように、都合良く別の部隊が気を利かせてくれているとは限らないので、今日は、その場で確認を行ったのだ。


 門を抜けると、閑散としており、人通りもほとんどなくなっていた。


 コリンは、周囲を確認して、兎機関の人間が居ないか確認するが、やはり、そう都合良く現れる事は無かった。


「一応、駐留軍基地に向かおう。 この時間だと、情報は得られないかもしれないが、念のため顔だけは出しておこう。」


 コリンは、そう言ったが、内心では、ギルドの報告書を読む事が可能なら、明日の活動も早めに行えると思ったのだ。


 また、ツノネズミリスに対応するため、残っている隊員から、何か聞ける可能性もある。


 コリン達は、駐留軍基地に向かった。




 ツカ辺境伯領の西は、他国になる。


 その為、国境警備隊も含めて駐留軍基地になっているので、今回のツノネズミリスへの対応も、かなり早く対応していたのだが、ツノネズミリスの討伐に対応するだけの兵士を駐留軍だけで賄う事はできなかった。


 ただ、領地と臣民を守るために、ギリギリのところで、防衛ラインを敷くことができて、今の所は、魔物の被害が拡大はしていなかったのだが、いつ、その防衛ラインが破られてツノネズミリスが周辺の街や村を襲い、そして、ツカディヲに到達するか予断を許さない状況であった。


 駐留軍基地に討伐本部を設置して、対応を行なっているのだが、対応が後手に回ってしまい、防衛ラインを進めてツノネズミリスの討伐までには至ってない。


 むしろ、発生した後、異常に増え続けているツノネズミリスに対して、よく持ち堪えていると言った方が良い状況なのだ。


 そんな状況であれば、駐留軍本部に詳しい人間が、昼夜を問わず交代で情報を集めている。


 駐留軍本部で情報の収集と、対応策を考え、前線の駐屯地からの報告を受けている。


 駐留軍本部から具体的な前線への指示が有るとは思えないが、状況は駐留軍本部に届けられている。


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