ヲンムンの情報と翌日の方針
コリンの話にメイミンも、ジューネスティーン達がパワードスーツを使って、ユーリカリア達の魔法訓練を行なっていた時の状況を話し始める。
「聞いていたのは、ジューネスティーンだけが持つ、フルメタルアーマーと聞いていたのですか? でも、6人が全て同じ様な物を持っているとは、思って無かったということなのですね。」
メイミンが、ヲンムンの話を確認するように話し始めた。
出発した時には、上官風を吹かしていたとは思えない変わりようであるが、メイミンは、そんなことを気にする様子もなく、監視していた時のことを思い出していた。
「ただ、私が見た限りでは、あのフルメタルアーマーは、一人一人の能力に応じてカスタム化されているように思えました。 特に、魔法職のシュレイノリアのフルメタルアーマーは、頭に、魔法職のような、大きな帽子の形になっていましたから、あれにも、何か秘密がありそうだと思えました。」
メイミンが、丁寧に自分の意見を話したのを聞いて、コリンも自分の思ったことを話し始める。
「ああ、遠目に見ても魔法職と分かりそうなフルメタルアーマーだったな。 あの形にする意味か。」
コリンも、自分が魔法職ではある。
自分自身、フルメタルアーマーを装備して先頭に赴くことは無いのだ。
だが、シュレイノリアは、魔法職なのに、他のメンバーと同様に、フルメタルアーマーを着ていたのだ。
魔法職がフルメタルアーマーを使って、なおかつ、魔法職っぽい形にするような、必要性を思い当たらないのだ。
コリンが、考えていると、メイミンが話しかけてきた。
「少尉、そういえば、あの帽子のツバのようなところですが、外側が回っていたように思えます。 見ていた時は、何だろうと思いましたが、あれにも、何か意味があったのかもしれません。」
メイミンに言われて、コリンもそれをみたことを思い出したようだ。
「そうだな。 不可解だった。」
(本当に、研究所の人間を連れてくるべきだったな。)
コリンは、そう思ったが、言葉には出せなかった。
自分の理解を超えるフルメタルアーマーを見たのだが、だからと言って、詳しい人間を連れてくるべきだったとは、2人の前で言うことはできなかった。
「それと、これは、自分が、彼らに巻かれてしまった時に、起こったと思われる話が情報部に上がってました。 そのおかげで、奴隷を彼らのパーティーに潜り込ませることになったのです。」
ヲンムンは、自分の失敗した時の話なので、あまり、いい顔はしてなかったが、魔法を使われた時のことなので、2人の魔法職には、教えておいた方が良いと思い話をすることにしたようだ。
「帝都の西に200m程の湖が有るのですが、そこで大掛かりな魔法を使った話も情報部に上がってます。」
魔法と聞いて、コリンもメイミンも、興味がそそられたようだ。
その話を2人は興味深く聞きいる。
「近所にたまたま、居合わせた人の話ですが、湖から轟音が聞こえたと思ったら、湖の周りの、木々よりも高く水柱が上がったらしいのです。 その後の調査では、湖畔に湖の水が溢れ出た痕跡が残っていたとのことです。 打ち上げられたと思われる魚が、周辺に有ったと思われるように、魔物や動物に食い散らかされた魚が周りの森の中からも発見されたと聞いてます。」
コリンとメイミンは、怪訝そうな顔をする。
「轟音の後に水柱という事は、水中で爆発が起こったのでしょう。 その爆発の影響で湖の水が湖畔に溢れたと考えられます。」
「確かに、メイミンの言う通りだな。 そうでなければ、湖の魚の死骸が森の中で発見されるなんて事はあり得ないだろうな。」
「しかし、水の中で火魔法というのはどういう事なのでしょう。」
「ああ、そんな話は聞いた事が無い。」
2人は、ヲンムンの話を聞いて、自分たちの知らない魔法をジューネスティーン達の中に感じ取っていたようだ。
ただ、それは、ジューネスティーン達の魔法の訓練を見たから、そう思ったのだろうが、もし、それを見てなかったら、笑って終わっていただろう。
「これは、私たちは、魔法について詳しく見ておく必要がありそうだな。」
「はい。」
ヲンムンの話から、調査が必要なのは、あのフルメタルアーマーだけではないと感じると、自分達2人もヲンムン同様に彼らの監視をして、魔法に関する秘密を報告する必要があると感じたようだ。
「明日も呑気にしていられないな。 何とか、明日中にツカディヲの駐留軍の詰所に入らないといけないな。」
コリンは、そう言うとメイミンを見る。
「私とメイミンは、彼らの魔法を漏らさず監視することになるな。」
メイミンが、頷くと、コリンは、ヲンムンを見る。
「フルメタルアーマーもそうだが、それ以外にも秘密がありそうだ。 フルメタルアーマーにだけ気を取られずに、それ以外の武器や装備にも気を配っておいてくれ。 それと、2人とも気になる動きは常にチェックだ。 私達の知らない何か多すぎる。」
「了解です。」
ヲンムンが答える。
「今日は、早めに休んで、明日1日でツカディヲまで地竜を走らせよう。」
コリンの提案に全員が賛成すると、出てきた食事を早々に平らげて部屋に戻っていくのだった。




