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着替えた追跡隊の3人


 ヲンムンは、風呂で念入りに体を洗ってから出ると、脱衣所に置いておいた自分の服が無くなっていた。


 従業員が、洗濯に回すといっていたので、もう、洗濯に回されたようだ。


 朝一番に出ることになるので、乾かす事も考えれば、ランドリーの係員にも負担がかかるだろうから、持っていかれたのだろうと、ヲンムンは、理解したようだ。


(ありがたく、新しい服を使わせてもらうか。 しかし、用意してくれた衣装はなんだ。 まるで貴族じゃないか。 まあ、宿が用意してくれたのだから、ありがたく使わせてもらおうか。)


 ヲンムンは、その服を見てから、髪の毛を乾かし始めた。




 ヲンムンは新しい服に着替える。


 ただ、あまり着慣れないデザインなので、着るのに手間取った。


 ヲンムンは、帝国の一般臣民なので、帝国軍に入ったのは、特に意味はない。


 食べるために、職に就こうと思ったら、それが、たまたま、帝国軍だったのだ。


 なので、店のレベルに合わせた、貴族風の衣装は、着ることがほとんど無いので、着替えには少し手間取ってしまった。


 なんとか、着替え終わると、夕食を食べるために、最上階のラウンジに向かう。




 一番最初にラウンジに来たのはヲンムンだった。


 ヲンムンは、ラウンジの入り口で名前を告げると、待合室に通される。


 コリンとメイミンが、まだなので、2人を待つ様に言われると、直ぐに別の従業員が、軽いおつまみとお茶を持ってきてくれた。


 その対応も、丁寧な物腰だったので、いつもの金の帽子亭の従業員もそれなりに洗練されていたのだが、ここは、それ以上の対応をしてくれていた。


(かなり、品の良い宿なのだな。)


 ヲンムンは、従業員の対応に感心していると、注いでもらった、お茶の香りが鼻腔に届いた。


 その香りは、ヲンムンが、今まで嗅いだことのない香りだった。


 茶葉も高級なもので、僅かに高級酒の匂いが漂っていた。


 ヲンムンは、お茶を楽しむ様な趣味は無いが、その高級酒の匂いにつられて、お茶を飲む。


 のんびりお茶の匂いを嗅ぎながら、飲んでいると、コリンとメイミンがラウンジに着いたと言われて、ボーイの後を追う様にして、レストランの中に入っていく。




 レストランの入り口には、後から来たコリンとメイミンが、ドレスに着替えて立っていた。


 かなり、体の線を強調する作りになっていたので、2人は、いつもの軍服とは違った魅力があった。


 女子2人は、髪の毛もセットされていた。


 2人には、髪の毛をセットする、付き人も付いていたので、着替えも髪の毛のセットも手伝ってもらえたのだ。


 2人の姿をヲンムンは見惚れていると、メイミンが、その視線に気が付き、恥ずかしそうに、頬を赤くしていると、それに気がついたコリンがヲンムンに注意する。


「あまりジロジロ見ないで欲しい。 こんな服は着る機会なんて、ほとんど無いのだから、似合ってないのだ。」


 そう言われて、ヲンムンは、慌てて我にかえる。


「ああ、失礼しました。 あまりに魅力的でしたので、つい見惚れてしまいました。 それに、お二人とも、とても、似合ってますよ。」


 自分が似合わないと言ったのだが、ヲンムンに似合っていると言われて、コリンは、恥ずかしくなった様子で、少し顔を赤くしていた。


 そして、ヲンムンが、そんな気の利いた言葉をかけてくるとは思ってなかったのだろう、少し驚いた様子を、コリン達はしていた。


 コリンは、その恥ずかしさを紛らわそうと、ヲンムンに声をかける。


「さっさと、食事を終わらせよう。 明日も早い。」


 自分の恥ずかしさを隠すように言うと、さっさと、ラウンジに入っていく。


 すると、その後をメイミンも隠れるように慌ててコリンの後を追う。


 ボーイが慌てて、2人をテーブルに招く様に追いかけるので、ヲンムンもその後を追う。




 3人がテーブルに着くと、直ぐに食前酒が3人に振舞われる。


「酒は頼んで無い。」


 食前酒を持ってきた従業員は、にこりと笑顔をコリンに向ける。


「今日のおもてなしは、承っておりますので、それに従ってお出ししております。 こちらは食前酒ですので、お食事の前に、軽くお口を潤す為にお出しいたしました。」


 コリンは、待遇の良さに驚きつつ、ツカディアの門のところで話をした、 “うさぎ” と、名乗った男の事を思い出した。


 士官の中で、時々、聞く帝国の諜報機関の活動である。


 現皇帝のツ・リンクン・エイクオンは、正室との間に子供はないが、側室からは、8男12女を儲けており、近隣諸国との政略結婚の道具にしている。


 その優先順位を付けるため、各国や、国内の貴族の動向を探るための機関が存在すると、噂が有るのだが、その存在を知るものは帝国内でもごく一部だけで、コリンの様な士官の所には、噂程度の情報しか回ってこない。


(あの男は、兎機関の人間だったのか。 本当に、そんな機関が有ったとは驚きだ。 これもあの男が手配したのだろうな。)


 そんな事を思っていると、ヲンムンが、2人に隠れる様にし始めた。


「すみません、ジューネスティーン達です。 私は顔が割れてます。 お二方そのままでお願いします。」


 そう言うと、ヲンムンは、2人の影に隠れる様にしながら、ジューネスティーン達の様子を伺う。


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