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追跡部隊の対応

 

 話は2日ほど遡る。


 ヲンムンは、ジューネスティーン達が、テントの片付けを始めたのを確認すると、慌てて、コリンに進言する。


「あいつら、移動する。 こっちは直ぐに出ないと置いていかれてしまう。」


 そう言うと、ヲンムンは、そそくさと自分の荷物の整理に入る。


 その慌てぶりをみて、コリンは、何を言っているのか、その慌てぶりは何なのかと、呆気に取られている。


「あいつらの地竜は、通常の5倍の速さで長距離を走る。 まるで、荷物を持たない野生の地竜のようなはやで走っていくんだ。 こっちは、人を乗せて走っている。 先に出ても直ぐに追い抜かれてしまうんだ。 直ぐに出て、少しでも距離を稼いでおかないと、また、ツカ辺境伯領まで、遅れを取る。」


 そう言われて、コリンも納得はするのだが、そこまで急ぐ必要があるのかと、疑問に思ったようだ。


「サイツ軍曹、行先は、ツカ辺境伯領と決まっている。 彼らが最初に訪れるところは、ギルド出張所じゃないのか。 これから先の行動は、掴めるのだから、それ程慌てずに、後を追った方が良いのではないか? 」


 ヲンムンは、手を止めると、コリンの前に行く。


「少尉、ここからつか辺境伯領まで、200kmといったところです。 我々は、彼らを追ったとして、2日目に到着できるかどうか、今ならギリギリですが、彼らは、下手をしたら、1日で走破してしまう可能性が有ります。 ですので、彼らより先に出て、一刻も早く、ツカ辺境伯領へ向かえば、明日の夕方には、ツカ辺境伯領に入れると考えます。」


 ツノネズミリスの被害は、日に日に大きくなると言われている。


 ジューネスティーン達は、ここで、かなり大掛かりな魔法の訓練をしていた。


 それも、魔法を放っていたのが、ユーリカリア達だったのだから、戦力的に、かなり大きな力となっている。


 その戦力は、1人だけでも、自分達の軍の10人分には軽く匹敵するとなれば、討伐に掛かる時間は、過去の討伐に比べたら、圧倒的に速くなる。


 もし、このまま、直接ツノネズミリスの生息場所に行って、討伐を開始されたら、自分達が到着する頃には、討伐が終わってしまっている可能性も有る。


 それでは、自分達がジューネスティーン達を追いかけた意味が無くなってしまう事になると言うより、監視に失敗したと言われても、おかしくは無いのだ。


「なるほど、片付けに入っているなら、もう、ここで見るものは無いのか。 後は、ツカ辺境伯領での行動を少しでもみれるように、先に進んだ方が良いという事か。」


「はい。」


(言われた通りだな。 急げば、中間点のツカディアまで行けるかもしれない。 ここでのんびりしていたら、中間点のツカディアを通過するのは、明後日となってしまう。 ここは、サイツ軍曹の言う通りにした方が良いな。)


 コリンは、ヲンムンの意見に納得した様子を見せる。


「よし分かった。 直ぐに移動しよう。 目指すのは、ツカディアの宿場町だ。」


 すると、駐留軍の偵察隊に向く。


「君達は、彼らが、移動するまで、ここで確認しておいて欲しい、それと、移動を確認したら、あの馬車を追いかける必要はない。 キャンプを引き払って、駐留軍に合流して欲しい。 もし、私達が、出た後に何か変わった動きがあったら、駐留軍に合流後に私たちに伝えてくれれば構わない。」


「了解しました。」


 駐留軍の偵察隊に、指示を出すと、コリンも移動の準備に入る。




 コリン、メイミン、ヲンムンの3人は、地竜を走らせ、ツカ辺境伯領の中心都市であるツカディヲに向かう。


 朝食を取って、ヲンムンが、直ぐに、ジューネスティーン達の移動に気がついてくれたおかげで、早めに出発することができたのだ。


 しかし、昼に差し掛かる頃には、猛スピードの馬車に追い抜かれることになった。


 その馬車は、地竜に引かせていたのだが、走る速度は、何も付けてない野生の地竜と同じ速度で通過していった。


 その馬車には、10数人の人と亜人が乗っており、快適に街道を走り抜けていく。


 乗っているのは、ジューネスティーンとユーリカリア達の2パーティーが乗っている。


 それを追い越しをされている時に、コリン達3人は、中の人の顔を確認できたのだが、これだけの猛スピードで追い越していく馬車など、大陸中にジューネスティーン達の馬車以外に無いのだ。


 幸いな事に、ジューネスティーン達は、コリン達に気がついた様子を見せなかったので、3人はホッとして、その走り去っていく馬車を見送った。


 ヲンムンは、苦虫を噛むような顔をして、2人の後を地竜に乗って走っている。


 その顔を見て、メイミンは、コリンに並走するように、少し前に移動した。


「抜かれる時に、何かされるかと思いましたが、何事も無く通過していきましたね。」


 メイミンが変な事を言ってくると思った様子で、コリンは答える。


「今、私達に何かしても、彼らにメリットは何も無い。 むしろ、帝国軍に危害を加えたことになって、彼らは帝国内で、お尋ね者になってしまうからな。 私達が手を出さない限り、彼らは何もしてこないさ。」


 コリンは、メイミンに応える。


(そうか、キツ中佐は、こんな事もあるかと思って、彼らに対して接触を禁止したのか。 誰かを誘拐して、走り去ったとしても、こうやって追いつかれてしまうからな。 今は、その時では無いと言うことか。)


 メイミンは、コリンが黙ってしまったので、気になったようだ。


「あの、中尉? 」


「ああ、すまない。 少し考え事をしてしまった。」


 コリン達にしてみれば、途中で、猛スピードのジューネスティーン達の馬車に抜かれるが、それは想定の範囲である。


(やはり、あの地竜は、早い。 サイツ軍曹の言った通り、野生の地竜が走っているようだ。)


 コリンも地竜がバテない程度にギリギリのスピードで走らせているのだが、そんなスピードでは無かった。


 全速力とは言わないが、人が長距離を走る程のスピードは出ていた。


「メイミン曹長。 今の、あの地竜の速度は、どの位だと思う? 」


「はい、おそらくは、時速20kmは出ていたと思われます。」


 メイミンの見立ても同じようだとコリンは思ったようだ。


「途中の休憩中に、馬車の速度について、アンミン曹長に、報告をあげておいてくれ。」


「了解です。」


 そういうと、メイミンは、また、後ろに下がって、コリンの後を追うようにして走っていく。


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