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ユーリカリア達の事情


 ジューネスティーン達の移動手段についての報告を思い出したジルランドは、多少遠い場所であったとしても、問題無く、誘き寄せることができるのだろうと思うのだ。


 それなら、2kmもの全力疾走の囮役でもツノネズミリスから逃げ切って、設定した戦場に誘き寄せることも可能だとジルランドは考えたようだ。


「そこに引っ張ったら、魔物の殲滅をするのか? 」


 誘き寄せる具体的な内容について、ジルランドは聞くことはせずに、討伐の方法について質問した。


「ええ、そうなります。 ただ、場所を確認して周辺の地形を錬成魔法で陣地を作り、こちらの都合の良い地形にしてから、戦闘を行おうと思ってます。」


 ジューネスティーンとシュレイノリアについて、高等学校からの報告書に錬成魔法も使える事が記載されていた事を、ジルランドは思い出したようだ。


「成る程、自分達の戦い易い戦場にしてから討伐に入るのか。 だが、魔法職への負担が大きくならないか?」


 実際の戦闘となったら、魔法職の広範囲魔法が頼りになるのだから、その点について更に質問してきた。


「範囲攻撃魔法は、10人が火魔法を使えますし、2人は雷魔法で対応します。 火魔法をメインにして、あと、雷魔法を使って殲滅戦に持ち込めれば、後は時間の問題だけになります。」


 ジューネスティーンの答えを聞いて、ジルランドは、驚いた顔をする。


「なんだ、お前達はみんな魔法を使えるのか。 しかも全員が範囲攻撃魔法を使える。 ユーリルイスは、こんなパーティーを送ってくれたのか。」


(しかし、全員が魔法職のパーティーなんて、今年、卒業したジューネスティーン達のパーティーだけだと思ったが、ユーリカリア達は、報告書の範囲では、魔法職は、ウィルリーン1人だけだったはずだ。 12人の魔法職? ユーリカリアは、他のパーティーの魔法職を臨時で雇ったというのか? どうなっている。)


 話をしているとジルランドには、疑問が浮かんできた。


「今回のツノネズミリスの討伐だが、君のパーティーだけで引き受けてくれたのか? 」


「うちだけでは、無理だと思ったので、隣のジューネスティーン達のパーティーと合同で引き受ける事にしました。 それに、うちのパーティーも全員が魔法を使えますので、全員で攻撃に参加します。」


 それを聞いて、ジルランドは、魔法職の人数が多い事に気がついた。


「なあ、ユーリカリア、お前のパーティーは、魔法職がウィルリーン1人だけだったんじゃないのか? さっき、範囲攻撃魔法を12人が使うって言ってなかったか? それとも、別のパーティーから今回だけ魔法職を雇ったのか? 」


「いえ、うちのメンバー全員、範囲攻撃魔法が使えるようになっただけです。」


 ジルランドは、顔を顰めた。




 魔法適性は、子供の頃に各国が、検査して選別される。


 その後に魔法適性無しと判断された人が魔法を使えるようになった話は聞いた事が無かったジルランドは、何で、ウィルリーン以外のメンバーが使えるようになったのか疑問に思った。


「どういうことなんだ。 5人とも魔法適性が無かったんじゃないのか。 それが何で魔法が使えるようになったんだ。」


 ユーリカリアは、ジューネスティーンを見る。


「こいつに教わったらできるようになった。 ただ、私と、シェルリーンは、火魔法は使えないから雷魔法になる。」


 ユーリカリアがあっさりと言ってのけるのだが、魔法が使えるようになりましたと言われて、はいそうですかと、直ぐに納得できるような話ではない。


 ジルランドは、怪訝そうな顔で、ユーリカリアに聞く。


「どうなっているんだ。 範囲攻撃魔法は、かなり上級の魔法だぞ、水を出す程度の簡単な魔法じゃないんだぞ。 魔法適性のあった中から100人に1人か、それ以下と言われているのに、魔法が使えるようになったら、範囲攻撃も使えるようになりましたって、そんな虫のいい話が、はいそうですかって聞き流せるような話じゃないだろ。」


 ユーリカリアもジルランドの話を聞いて、もっともだと言いたげな表情をする。


 ユーリカリア自身も、つい先日までジルランドと同じ認識をしていたのだが、ジューネスティーン達と出会って、魔法が使えるようになってしまったのだ。


「確かに、所長の言う通りなのですけど、ジュネスに教わったら、使えるようになってしまったんです。 使えるようになった私自身、半信半疑と言うか、本当に魔物に対して有効なのか疑問もあるんですよ。 それに本格的に魔法だけの攻撃に特化した魔物の狩なんて、今回が初めてなんですよ。」


 そのユーリカリアとの話の流れから、ジルランドには、一つの疑問が生まれたようだ。


「なあ、ユーリカリア。 今の話を聞いていたら、魔法が使えるようになって、そんなに時間も経ってないように聞こえるのだが。」


 ユーリカリアは、キョトンとした顔をする。


「ええ、魔法を覚えてから、1ヶ月も経ってないですよ。 範囲攻撃魔法は、ここに来る途中に覚えたので、覚えたのは、3日前ですよ。 流石に範囲攻撃魔法を覚えてから3日間は悲惨だったよ。 頭が朦朧としてたからな。 脳みそが栄養をよこせって、大騒ぎしていたようだったよ。」


 ユーリカリアの話にユーリカリアのメンバー達も納得したように、同意する様子を見せる。


 それをジルランドが、唖然としたようにユーリカリア達を見た。


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