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ツカ辺境伯領 ギルド出張所

 

 ジューネスティーン達は、ツカディアを出て、順調にツカ辺境伯領の中心都市であるツカディヲに向かう。


 ツカディアの宿を、朝早くたつ、約100kmの道のりを地竜が馬車を引いて走っていく。




 移動には、ユーリカリア達とジューネスティーン達の13人が馬車で移動となった。


 しかし、ルイネレーヌ達の姿は無かった。


「なあ、ジュネスよ。 ルイネレーヌは、どうなっている? 」


 ユーリカリアは、ルイネレーヌの顔を見てないので、気になった。


「さぁ、どうでしょう。 あの人達の行動までは、何とも言えません。」


 ジューネスティーンとすれば、今回の戦闘には、ルイネレーヌは、人数に入ってないので、特に気にする様子も見せてない。


(彼女からは、情報を得ればいいのなら、それでのいいのか。 ツノネズミリスの数もおおよその数字も分かったし、使えそうな戦場も教えてもらえたのだから、それで良いのかもしれないな。)


 ユーリカリアも、ルイネレーヌが居ないことについて納得した。


「そうだな。」


 ジューネスティーンは、一応、話をしておいた方が良いと思ったのだろう。


「それに、必要になったら、顔を出すと思います。」


(何か必要な事が有れば、顔を出すって事なんだな。)


 ユーリカリアは、ジューネスティーンの話から自分なりに考えをまとめたようだ。


「ふーん。」


 ユーリカリアは、ジューネスティーンの顔を見ながら、相槌を打つように答えるとそれ以上は追求しなかった。


 ルイネレーヌに対して、ジューネスティーンは、高い信頼を置いているのだろうと、ユーリカリアは判断したようだ。




 ツカ辺境伯領の中心都市である、ツカディヲにジューネスティーン達を乗せた馬車が入る。


 早速、ギルド出張所に到着の報告のために立ち寄る。


 ただ、地竜と馬車が気になった。


 ツノネズミリスの発生で、慌ただしい街なら、当然のことのように、慌ただしい街には、火事場泥棒のような盗賊が現れるものなので、馬車と地竜の警備のため、アメルーミラを馬車に残す。




 ギルドに入り、受付に話をすると、受付も話を聞いていたのか、直ぐに、会議室に通される。


 会議室で待っていると、出張所の所長のジルランド・ブレン・サクヤが、入ってきて出迎えてくれた。


 依頼を引き受けたメインのパーティーであるユーリカリアが、代表してジルランドに挨拶をする。


「ユーリカリア・ソルボ・アメルリアンと言います。 ツノネズミリス討伐の依頼を受けました。 それと、サブパーティーとして、ジューネスティーンのパーティーが一緒に依頼にあたります。」


 ユーリカリアの挨拶を聞いて、ジルランドは、安心した様子で応える。


「やあ、助かったよ。 Aランクパーティー限定とか、帝国軍が条件つけてくれたから、本来必要な魔法職を集められないと思ったが、魔法職が居るパーティーに引き受けてもらえて助かったよ。」


 ジルランドは、ユーリカリアを歓迎すると、サブパーティーと紹介されたジューネスティーンに向く。


(ユーリルイスのやつ、本命のパーティーを、サブパーティーと言う形で、上手く派遣してくれた。 感謝するよ。)


 先に、ユーリカリアに挨拶はしたが、ジューネスティーン達が居れば、安心して任せられると、ジルランドは、思ったようだが、言葉には出さない。


「君が、ジューネスティーンか。 君の話は聞いている。 来てくれて助かったよ。」


 ジューネスティーンに、もっと話をしたいと思ったのだろうが、ジルランドは、ユーリカリアがAランクパーティーとして引き受けた手前、それだけで話を切り上げた。


 そのジルランドの表情には、少し名残惜しそうな様子が伺えた。


 直ぐに、ユーリカリアの方を向くと、簡単な説明を始める。


「ツノネズミリスは、厄介な魔物なのでな、駐留軍も手を焼いている。 あれの被害は、途中のツカラ平原を見て貰えばわかると思うが、10年以上経っても全く使い物にいならないのだ。 今は、ほとんど放棄状態になってしまっている。」


 ジルランドの説明で、訓練をしていた土地の事を思い出した。


 広い広大な土地なのだが、草も生えてなかった事を思い出す。


 ただ、今は、ツカラ平原の話を聞くときではないので、ユーリカリアが、現在発生しているツノネズミリスの状況を聞く。


「それで、今、西の山のツノネズミリスの状況は、どうなのでしょう? 」


 ユーリカリアの質問にジルランドは、顔を曇らせる。


「ああ、帝国軍の駐留軍が対処しているのだが、状況は良くならない。 帝国の魔道具で、麓のギリギリの所で防衛に当たっているが、いつ破られてもおかしくない状況だ。 南側に半円形の防御壁を作って、そこに誘い込んでは、倒しているのだが、全く追いついてない。 当初、確認された数は、1万匹程度だったが、今では、6万匹以上に膨れ上がっている。 帝国軍の対応では、一度に10か20匹程度の討伐なのでな、とても追いつかない状況なのだ。」


 それを聞くと、ルイネレーヌの情報は正しいとユーリカリアは思ったようだ。


「あのー、北にも山が有って、その山は崖になっていると聞きましたが、そっちはどうなのでしょうか? 」


 その場所については、討伐に都合がいい場所として、検討された事は有ったのだが、距離が長い事で、そこまで誘き寄せる手段が無いとなり、除外されていた。


 ただ、その場所なら、何も無い場所なので、他に被害が及ぶ心配も無いので都合が良い場所である事をジルランドも知っているのだ。


「ああ、有るにはあるが、そこまでは、ツノネズミリスの発生箇所から2kmは有る。 あそこなら、周りに被害が出そうもないからな。 あそこでの討伐だったら、大軍を用意して対応できたかもしれないが、流石に2kmもツノネズミリスを移動させる手段が無いのだ。 結果として駐留軍は、南に戦場を設置することになったんだ。」


 ジルランドは、その場所を使えない理由を説明してくれた。


「では、その辺りに、今、人は居ないのですね。」


 ジューネスティーンが話に入ってきた。


「ああ、岩場だからな。 あんな場所を好き好んで住む住人は居ない。」


 所長のジルランドは、サブパーティーのジューネスティーンにも、ユーリカリアと同ように接してきた。


「だったら、その場所を戦場に設定させてもらっても問題はなさそうですね。」


「ああ、問題はない。 だが、そこまでどうやってツノネズミリスを誘き寄せるんだ? 馬や地竜を使っても、途中で追いつかれてしまうぞ。」


「ああ、囮りについては、問題ありません。」


 ジルランドは、怪訝そうな顔で、ジューネスティーンを見るが、直ぐに、表情を戻した。


(ああ、そうだった。 ギルドの報告書の中に、高速で移動できる魔道具が有ったが、あれも、ジューネスティーンの名前があった。 あれを使えば、囮りを使って誘き寄せることも可能なのか。)


 ジルランドは、、魔道具による移動手段を持っているとあった事を思い出すと、馬や地竜のような生き物の移動手段では無いのなら対応できるのかと考えたようだ。


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